春モデル発表――ドコモとKDDIで対照的なスマホ/タブレット戦略石野純也のMobile Eye(1月21日〜2月1日)(1/3 ページ)

» 2013年02月02日 02時20分 公開
[石野純也,ITmedia]

 1月18日から2月1日にかけての2週間は、春モデルの発表や、第3四半期決算が相次いだ。昨年までの実績をまとめるとともに、それに基づき、通信業界最大の商戦期で天王山とも呼ばれる3月に向けた各種施策を披露したのが、この2週間のハイライトと言えるだろう。今回は、ドコモの春モデルや、KDDIの「INFOBAR A02」に焦点を当て、それぞれの戦略を読み解いていきたい。


フルHDスマホを4機種そろえたドコモ、端末数は絞り込みの方向に

photo ドコモが新たに発表した春モデルは、全11機種。イチオシは、堀北真希さんが持つ「Xperia Z」だ

 NTTドコモは、1月22日に春モデルの新製品発表会を開催した。ここで新たにお披露目されたのは、スマートフォン計8機種。タブレット2機種、モバイルWi-Fiルーター1機種も春モデルにラインアップされている。

 同社の代表取締役社長、加藤薫氏が「高精細、高速通信、高速処理」と特徴を語ったように、ラインアップの目玉は4機種取りそろえた、5インチ・フルHD(1080×1920ピクセル)ディスプレイを搭載したスマートフォンだ。中でも、「ドコモがこの春、自信を持ってオススメするイチオシのモデル」(同氏)というのが、2013 International CESで発表されたばかりの「Xperia Z SO-02E」。「Xperia Tablet Z SO-03E」と一体感を持った端末展開が評価の理由だといい、「(iPhoneとも)性能面では優劣つけがたく、そういう意味では十分対抗できる」(同)と自信をのぞかせた。

photophotophoto ラインアップの目玉は、5インチ、1080×1920ピクセルのフルHDディスプレイを搭載した4機種。ピクセルの密度は、いずれも443ppiになる。中でもCESで発表されたXperia Zは、加藤社長自らが何度も「イチオシ」と述べるほどの入魂のモデルだ

 ほかにもパナソニックモバイルの「ELUGA X P-02E」や、LGエレクトロニクスの「Optimus G Pro L-02E」、富士通の「ARROWS X F-02E」が5インチ・フルHDディスプレイを搭載しており、いずれもピクセルの密度を表すppiは、443ppiとなる。一足に先に発売されたKDDIの「HTC J butterfly HTL21」もヒットしていたが、4機種とも、同等かそれ以上の機能や操作性を備えたモデルだけに人気を集めそうだ。

photophotophoto パナソニックのELUGA Xは、横幅68ミリとスリム。片手操作にこだわったUIも、この機種の魅力だ。LGのOptimus G Proは、3000mAhのバッテリーを搭載。富士通のARROWS Xも、フルHDディスプレイを搭載する

 フルHDスマートフォン4機種のほか、春モデルでは水滴がついてもそのまま操作できる「Ascend D2 HW-02E」や、2つのディスプレイを搭載した変わり種の「MEDIAS W N-05E」、幅を抑えた女性向けスマホ「AQUOS PHONE EX SH-04E」、ブルーライトカットモードを備えた「MEDIAS X N-04E」が発表されている。

photophoto HuaweiのAscend D2は、CESで発表されたものから大きくスペックが変わった。112.5MbpsのLTEに対応するのも、この端末の特徴だ(写真=左)。2つの画面を持つ個性的なモデルとして注目を集めていたのが、NECカシオのMEDIAS Wだ(写真=右)
photophoto NECカシオはMEDIAS Xも発売する(写真=左)。シャープは女性向けのAQUOS PHONE EXを開発(写真=右)

 このようにフルHDを前面に打ち出したドコモだが、一方でその性能を生かすコンテンツがなければ宝の持ち腐れだ。特に、フルHDディスプレイはまだスマートフォンへの搭載が始まったばかり。専用のコンテンツが自然と充実してくるのは、もう少し時間がかかる。そこでドコモは自らフルHDの動画を充実させる取り組みも発表した。

 具体的な施策として、まず、ドコモの子会社であるパケットビデオが開発した「Twonky Beam」をフルHDに対応させた。これによって、対応機種では、DLNAのDTCP-IPを使い、レコーダーに録画した番組をHD画質でストリーミング再生できようになる。機器によっては、動画を端末に保存することも可能だ。対応レコーダーの動作確認も、メーカーの枠を超えて行った。また、Twonky BeamはNTTぷららのサービスである「ひかりTV」のセットトップボックスとも連携する。より手軽にHD画質のコンテンツを楽しむという観点では、「dビデオ」に改名した「VEDIOマーケット」もフルHDに対応してほしかったが、この点については今後の展開を期待したいところだ。

photophotophoto フルHDコンテンツ拡充の施策として、Twonky Beamを強化。対応レコーダーとの検証も積極的に行う。また、NTTぷららのひかりTVとも連携
photo ラインアップの豊富さに定評のあったドコモだが、一方で機種ごとの明確な差別化ができていない面もあった。こうした反省を踏まえ、夏モデル以降、機種数を減らしていく方針だ

 業界最大の商戦期である3月に向け、8機種のスマートフォンを用意したドコモだが、今回はXperia Zをあえてイチオシに指定し、発表会でも大きくプッシュしていた。例外はあるが、今まで、各メーカーの端末を並列に扱うことが多かった同社では珍しいことだ。背景には、ラインアップ数の肥大化に対する反省がある。加藤氏は、1月30日に開催された決算会見で、端末の“集中と選択”を行っていくことを明らかにし、次のように述べている。

 「主力機種の積極訴求ということで、Xperia Zのような商品は積極的に訴求し、プロモーションの最大化を図りたい。ラインアップはニーズや調達コストの観点から絞り込みを行う。魅力ある機種は、他社に先がけ先行的に投入する」

 確かに、ドコモは昨年、秋モデルと冬モデルも発表しており、いずれの端末もまだ販売中だ。スマートフォンに絞っても、秋モデルが3機種、冬モデルが10機種ある。ここに春モデルがスマートフォンだけでも8機種加われば、合計は21機種にものぼり、店頭は端末であふれかえってしまう。

 同時に、発売してまだ1〜2カ月しか経っていないハイエンドモデルの“型落ち感”も強くなる。冬モデルでは、「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」が44万台、「Xperia AX SO-01E」が47万台と順調に販売数を伸ばしているが、これらに対する買い控えも生じてしまいかねない。逆に、こうした秋冬モデルのハイエンドと、春モデルのミッドレンジが店頭で競合する事態も考えられる。結果として価格の下がった昨年の秋冬モデルが注目され、せっかくコストをかけて開発した新機種に、関心が集まらないということもあるだろう。加藤氏は「スマートフォン黎明期で開発途上のときとはちょっと違う。急激に半分になるというものではないが、売れると思うようなものの目利きをして、ターゲットを絞る」と述べていたが、この方針は正解だと感じている。

photo 冬モデルでは、AQUOS PHONE ZETAが44万台、Xperia AXが47万台と特に好調。Xperia Zも「GALAXY S IIIが100万台ぐらいなので、そこを目指したい」と100万台超えを狙う

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