“LCC”で攻めるウィルコム/「Xperia Z Ultra」の新しい価値/Windows Phone 8の日本発売は?石野純也のMobile Eye(6月24日〜7月5日)(2/3 ページ)

» 2013年07月05日 23時10分 公開
[石野純也,ITmedia]

“6インチスマホ”の新ジャンルを切り開く「Xperia Z Ultra」

ソニーモバイル、6.4インチディスプレイ搭載の「Xperia Z Ultra」を発表

 6月25日、ソニーモバイルは、中国・上海で開催された「Mobile Asia Expo」に合わせ、6.4インチのスマートフォン「Xperia Z Ultra」を発表した。5インチ、フルHDで王道をゆく「Xperia Z」と、デザインテイストや機能を受け継いだタブレット「Xperia Tablet Z」の“間”を埋める製品。「Z」の名を冠していることからも分かるように、ソニーモバイルのフラッグシップモデルに位置づけられている。厚さはわずか6.5ミリ。Xperia Z Ultraより1週間ほど早く発表されたHuaweiの「Ascend P6」がうたう6.18ミリには及ばないが、フルHDや防水に対応していることを考えれば十分スリムだ。

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photophoto 6.4インチのディスプレイを搭載したソニーモバイルの「Xperia Z Ultra」。カラーは、ホワイト、パープル、ブラックの3色。「Xperia Z」と同様、両面がガラス素材で、フレーム部分は金属になった。防水、防塵対応ながら、6.5ミリの薄さを実現した

 タブレットに近いサイズを持ちながら電話もできるスマートフォンとして分類される製品は、海外で「ファブレット」と呼ばれ始めている。この分野を開拓したのはSamsung電子の「GALAXY Note」シリーズで、特にアジア圏では「急速に広がっている」(ソニーモバイル関係者)。最近では、中国、台湾、韓国のメーカーも、ファブレットを相次いで投入している。Xperia Z Ultraも、ここに対抗する製品として開発された1台だ。

photo 中国をはじめとするアジア市場では、大画面スマートフォンが高い人気を誇る。写真は、Mobile Asia Expoに出展されていたBBKの「Vivo Xplay」。このように、新興メーカーも6インチ前後の端末開発にしのぎを削っている

 大画面を生かし、“視聴”にこだわった機能の数々がXperia Z Ultraの特徴といえる。まず、ディスプレイには従来の液晶より色域が広い「トリルミナスディスプレイ for mobile」を採用。ここに、BRAVIAやVAIOといったソニー製品で用いられている映像補正技術の「X-Reality for mobile」を組み合わせた。X-Reality for mobileはデータベース型の映像補正技術。ソニーモバイルで製品戦略などを担当する黒住吉郎氏によると、「720pの映像をX-Reality for mobileにかけると1080p相当になる」そうで、実際に目にすると非常に効果が高いことが分かる。仕組みとしては、低い解像度と高い解像度の膨大な数の映像を用意し、それらの違いをデータベースとして蓄積。これに基づいたアルゴリズムで、映像を高解像度化している。

photophoto テレビの技術を応用した「トリルミナスディスプレイ for mobile」や、映像をアップコンバートするする「X-Reality for mobile」は、今までのXperiaになかったソニーならではの技術だ

 一見、非常に高いパフォーマンスを要求されそうな技術だが、これが実現できたのはXperia Z Ultraに採用された「Snapdragon 800」のおかげだ。同CPUはGPUの性能も上がっており、これを利用することで消費電力もわずかに抑えることが可能になったという。

 手書き入力に対応しているのも、Xperia Z Ultraならでは。ただし、GALAXY Noteシリーズのように専用のペンが必要な形にはしかなった。代わりにタッチセンサーの感度を上げ、鉛筆や爪楊枝といった細いペン状のものであれば、手書きができるようにした。手書きに対応したアプリもプリインストールされる。

photo 手書きにも対応する。写真のように鉛筆など特殊なペンを使う必要がなく、気軽に利用できる

 6.4インチのディスプレイを採用したXperia Z Ultraだが、企画は液晶のサイズありきで決まったわけではない。目指したのはパスポートと同じ横幅だ。会見に登壇したソニーモバイルのデザイナー 勝沼潤氏によると、Xperia Z Ultraは持ち運びやすさを最重要視し、「パスポートやボーディングパス(搭乗券)と一緒に持ち運べるようにした」。ディスプレイのサイズが変則的なのもそのためだ。まさに数値より利用シーンを優先した商品企画といえるだろう。実際手に取ってみると、文字入力などの片手操作はさすがに無理があるが、ネットや映像の閲覧なら片手で端末を持ったまま行える。

photo デザイナーの勝沼氏は、「Slim(薄型)、Light(軽量)、Comfortable(心地よい)」というデザインコンセプトを紹介した。幅のサイズ感は手にしっくりくるパスポートを参考にした

 ソニーらしいチャレンジングな端末に仕上がったXperia Z Ultraだが、残念ながら日本での展開は未定だ。関係者の話に筆者の推測を交えて現在の状況をまとめると、日本では必ずしもGALAXY Noteシリーズが好成績を収めているとはいえず、キャリアも導入に二の足を踏んでいる事情が見えてくる。ただ、端末が出ていなければ市場は開拓できない。鶏が先か卵が先かといった議論も分かるが、スマートフォンも進化の踊り場に差し掛かったと言われる機会が多くなってきた。そうした現状に一石を投じる端末として、ぜひ日本に導入されることを期待したい。

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