インタビュー
» 2013年09月02日 20時49分 UPDATE

開発陣に聞く「Xperia Z Ultra」(3):Zより薄い“6.5ミリ”を実現できた理由――「Xperia Z Ultra」の機構設計を聞く

Xperia Zよりも大きなディスプレイと薄いボディをまとった「Xperia Z Ultra」。インタビューの第3回では、厚さ6.5ミリのスリムボディを実現した秘密に迫る。

[田中聡,ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズの新型スマートフォン「Xperia Z Ultra」は、6.4インチという大きなディスプレイはもちろんだが、フルHDディスプレイ搭載スマートフォンでは世界最薄という「厚さ6.5ミリ」のスリムなボディも大きな特徴。「Xperia Z」も7.9ミリのフルフラットなボディを実現しており薄かったが、Xperia Z Ultraは、Zよりも1.4ミリ薄い。今回はこの薄型ボディの秘密について、メカニカルエンジニアの小竹氏に話を聞いた。

photophoto 6.4インチディスプレイ搭載の「Xperia Z Ultra」。ボディカラーはBlack、White、Purpleの3色

基板上の部品を片面に集約

 Xperia Z Ultraも、Xperia Zと同じくフルフラットなボディを実現しながら、厚さは6.5ミリに抑えている。その分、体積は増しているのだが、それだけではZより1.4ミリも薄いボディは完成しない。小竹氏も「設計のコンセプトはXperia Zとあまり変わっていませんが、Zを真似しただけでは6.5ミリの薄さは実現できません」と話す。

photo Zよりもさらに薄い厚さ6.5ミリを実現した

 ではXperia Z Ultraでは、どこを工夫したのか。小竹氏は「一番頑張ったのは基板です」と話す。Xperia Zで基板の両面に部品を載せていたが、Z Ultraでは片面に部品を集約した。「Zよりも表面積は大きくなりましたが、単純に基板上の部品を移植しても薄くはできません。回路や配線を工夫し、チップを片面に集約しています。薄さを実現するために、電気チーム、デバイスチーム、ソフトウェアのチームが、1つの目標を定めて、どうすれば薄くできるかを重点的に検討しました」(小竹氏)

photophoto いずれの写真も左がXperia Z、右がXperia Z Ultraの基板。Xperia Z Ultraの基板は片面に設置しているため、もう片面には基板は載っておらず、薄型化しやすくなった

液晶ユニットと基板の接続方法を変更

photo メカニカルエンジニアの小竹氏

 もう1つが、液晶ユニットと基板の接続方法だ。液晶ユニットはフレキシブルプリント基板(以下、フレキ)でメイン基板に接続しているが、Xperia Zでは基板への接続にコネクタを使っている。一方、Xperia Z Ultraではフレキを基板に“圧着”させることで液晶ユニットを接続し、コネクタ分の厚さを減らせる。小竹氏によると、フレキを圧着させることで、Zのコネクタよりも3割ほど薄くなったという。フレキの圧着は「もう少し小さなコンポーネントではやっていましたが、液晶で取り組んだのは初めて」(小竹氏)とのこと。一方で苦労したのが「強度」だ。Z Ultraではフレキを貼り付けて固定しているので、衝撃に弱くなりがちだが、「接続や固定の方法を工夫することで、落下しても接続部分にダイレクトに力が加わらないように工夫している」そうだ。

photophoto Xperia Zではコネクタを使って基板とフレキを接続しているが(写真=左)、Z Ultraではフレキを基板に圧着させている(写真=右)

タブレットよりも厳しい強度テストをクリア

 イヤフォンジャック、スピーカー、カメラといった部品ごとの強度確保もハードルが高かったそうだが、“電話機”としての強度確保にも苦労した。Xperia Z Ultraはタブレットではなくスマートフォンなので、電話機能を安全に使えるかも重要だ。例えば通話をしている最中に端末が落下してもスマホとしての機能を有するか――など。電話機として使うことを想定するため、タブレットよりも酷な状況下で耐久テストを実施した。「タブレットは膝上で使って、そこから落ちたらと……いう状況を想定するのに対し、スマートフォンでは高いところから落とすことも想定するので、基準は厳しくなります」(プロダクトプランナーの市野氏)

 このような薄型化と強度確保の両立はハードルが高かったが、「試行錯誤を繰り返して、最終的には十分な強度を確保できました」と小竹氏。その際に工夫したのは、部品ごとの強度ではなく、筐体と部品を組み合わせたときの強度を保てるようにしたこと。「強度の高い形状や、部品の固定方法、最適な配置場所を、各部品と筐体で同時にシミュレーションして設計しました」と小竹氏は説明する。

 Xperia Zではボディ周辺のフレームにナイロン樹脂を採用することで強度を保っていたが、Xperia Z Ultraでもナイロン樹脂は継承している。ただしZから若干カスタマイズしており、ガラス繊維の配合率を変えたという。さらに、側面にアルミを用いたことも、強度の確保に貢献している。

Zより約3割薄くなったバッテリー

 バッテリーはXperia Zの2330mAhから3000mAhに増量され、当然バッテリーパックの体積も増しているが、Z Ultraの方がZよりも3割ほど薄い。Zのバッテリーもなかなかの薄さだが、Z Ultraのバッテリーに触れると、まるで厚紙かと思えるほど薄く感じる。小竹氏が「スマートフォンでこれより薄いバッテリーはないのでは」と話すほどだ。

photophoto いずれの写真も左がXperia Z Ultra、右がZのバッテリーパック。Z Ultraのバッテリーは体積が大きくなった分、薄くなっている

背面への衝撃を減らすための工夫

 Xperia Z Ultraは、Xperia Zと同様に背面にガラスを用いているが、Zよりも薄いことで、ガラスの耐久性も懸念される。Zと同様に、背面の周囲に溝を設けたことで、極力ガラスが触れないように工夫しているが、Z Ultraではさらに、背面カバーを取り外した(実際は取り外せない)際に見える内側の部品を、隙間なくフラットに並べた。Zの背面内側の部品には多少の凹凸があるが、Z Ultraではこの凹凸をなくすことで、落下時の衝撃を面で受けられるようになり(ピンポイントでの衝撃が防げる)、ガラスにかかるストレスを減らせるというわけだ。

 「Xperia Z Ultraはカバーを開けた状態が格好良いんです」と小竹氏は笑う。こうした高密度な部品の配置も、Z Ultraの“薄くて強いボディ”に一役買っているのだ。

(続く)

 ※次回はソフトウェアの進化点を聞きます。

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