NTTドコモのソニーモバイルコミュニケーションズ製スマートフォン「Xperia Z SO-02E」の開発者インタビュー前編では、日本向けモデルの企画意図やデザイン、カラーについて話を聞いた。後編では、機構設計とソフトウェアに焦点を当てる。
Xperia Zで特筆すべき点の1つが、7.9ミリという薄くてフラットなボディを実現できたことだ。機構設計担当の大口氏は「これまでのXperiaではアークデザインが多かったので、アーク形状に合わせてアンテナやスピーカーなどの配置をうまく最適化しました。今回は薄さはもちろん、フラットな形状にもこだわりました。同じ厚さになるよう、部品の高さを調整したり、配置を最適したりしたことが、当初は一番苦労しました」と振り返る。
まず、背面がガラスパネルになったことで、設計の手法がガラリと変わった。従来はディスプレイ面と背面のケース(筐体)をネジで留め合わせていたが、Xperia Zでは「背面がガラスパネルになったことに伴い、ディスプレイ面と背面のケースを一体化した」(大口氏)という。この一体化したケースに、液晶パネル・背面パネル・上下左右側面のパネル(計6パネル)を貼り合わせている。
基板とバッテリーが重ならないように配置する手法は今回も継承した。ただ大口氏は「バッテリー容量を大きくすると、(残ったスペースに入れられる)基板がどんどん小さくなってしまいました」と苦笑する。そこで、基板に載せる部品同士が重ならないように調整した。Xperia AXでは基板上の部品同士が重なっていたためゴチャゴチャしていた印象があるが、Xperia Zでは新しい部品を使いつつ、それらを均等に配置することで、フラットな形状を作ることができたそうだ。
カメラユニットの位置も工夫した。「Xperia acro HD SO-03D」や「Xperia GX SO-04D」などはディスプレイとカメラを重ねて配置していたので厚みが増してしまった。そこでXperia Zではディスプレイと重ならないよう、上の方にカメラユニットを配置している。これはXperia AXと同じ手法でもあり(参考記事)、ディスプレイ面と背面パネルにカメラが挟まれているイメージだ。microSDスロットとmicroSIMスロットは、Xperia AX/VLなどでは両スロットが重なっていたが、Xperia ZではmicroSIMスロットを右側面、microSDスロットを左側面に分散することで、薄型化に貢献した。
Xperia AXでは、ディスプレイのフレームと一体化させる金属(シャシー)をアルミに変更したが、Xperia Zでは従来のステンレスに戻している。Xperia AXのアルミと剛性はほぼ同じながら、AXの0.3ミリからZでは0.2ミリに薄くなったという。また放熱性もアルミの方が優れているそうで、Xperia Zの基板の下には熱を拡散させるためのシートを貼っている。
加えて、ボディの周りを覆うフレームは、今まではポリカーボネートを主に使っていたが、Xperia Zでは剛性を高めるために、ナイロン樹脂を使っている。ナイロンの方が「倍以上固い」(大口氏)というほど頑丈だ。
これまでのXperiaからXperia Zに乗り替えた人はお気づきかもしれないが、Xperia Zではバイブレーションが強く振動する。これは「ポケットの中に入れていても気づけるように」(企画担当の柏原氏)と配慮し、バイブレーション装置を新しいものに変更したため。前モデルでは長方形の装置を用いていたが、Xperia Zでは円形に変更した。こちらの円形の方が「薄いけど面積は広い」(大口氏)という。
薄さがクローズアップされやすいXperia Zだが、5インチという大きなディスプレイを搭載したことに伴い、幅は71ミリに増えた。これは、ほかの5インチディスプレイ搭載機と比べてもやや太い。この点について大口氏は「同じ液晶のサイズ(5インチクラス)を維持しながら、どう小さく作り込むかは継続した宿題」とした。今後は持ちやすさの向上にも期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.