ワイモバイルが「Nexus 6」を投入する理由、「シェアプラン」で目指す世界とは

» 2014年11月13日 23時38分 公開
[田中聡,ITmedia]

 ワイモバイルは、2014年の冬商戦でスマートフォンは「Nexus 6」、タブレットは「MediaPad M1 8.0 403HW」を投入する。11月13日に実施した発表会では、エリック・ガン社長が登壇し、冬商戦以降の狙いを説明した。

新規契約者の半数以上は「スマホは初めての人」

photo ワイモバイル 代表取締役社長 兼 CEO エリック・ガン氏

 イー・アクセスとウィルコムが合併し、8月1日に「Y!mobile」ブランドでサービスを開始したワイモバイルは、月額2980円からの安価な料金プランや、「Y!mobile メール」「Yahoo!ボックス」「Yahoo!ウォレット」といったヤフーと連携したサービスを提供してきた。端末はスペックを抑えた安価なスマートフォンや、従来のPHSもラインアップしている。

 ガン氏によると、ワイモバイルを新規契約した人の半数以上となる54%が、初めてスマートフォンを利用する人だという。また、2014年8〜10月における、Androidスマートフォンの新規契約数は、ワイモバイルが4キャリアで最多となる40%を占めた(写真=左下)。さらに、2013年11月〜2014年10月における、Androidスマートフォンの新規契約で最も多かったのが「Nexus 5」となり(写真=右下)、ガン氏は「Nexus 5も、ナンバー1のスマートフォンだ」と胸を張る。

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ハイパフォーマンスの「Nexus 6」を投入して、ユーザーのすそ野を広げる

 そして今回、新たに投入するのが、Nexus 5の後継機種となる「Nexus 6」。ガン氏は「クアッドHDの美しい6型ディスプレイ」「迫力のあるデュアルフロントスピーカー」「Qualcommのベストなチップセット(2.7GHzクアッドコアのSnapdragon 805)」「3Gバイトのメインメモリ」「光学手ブレ補正対応の1300万画素カメラ」「15分の充電で6時間使える急速充電ができること」を、Nexus 6の特徴として紹介した。

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 上記のハードウェアに加え、ソフトウェアでは最新OSであるAndroid 5.0(Lollipop)をプリインストールしていることが大きな特徴となる。Android 5.0では新たに「マテリアルデザイン」を採用し、ホーム画面のUI(ユーザーインタフェース)やGoogle謹製アプリのデザインが一新された。ガン氏はその使い勝手を「ユーザーフレンドリーになった」と評価する。Android 5.0は、13日からNexus 5でも順次アップデートが可能になる。

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photophotophoto マテリアルデザインでUIが一新されたAndroid 5.0(Lollipop)

 一方でNexus 6の価格は32Gバイト版が6万9600円(税別、以下同)、64Gバイト版が7万9200円で、Y!mobileのスマートフォンとしてはなかなか高額。ガン氏は「Nexus 6は今までの低価格スマホとは路線を変え、パフォーマンスを重視した。ベストなハードとベストなOSで、楽しく利用できる」と話す。ワイモバイルCOOの寺尾洋幸氏は「今まではガラケーのユーザーをターゲットにしてきたが、これからは機種変更も増えてくるので、お客さんの選択肢を広げるという意味で、ハイエンド機を出すのがいいと思う。ローからハイまでの幅を作っていく。ヤフーのサービスとサポートを加えて使い勝手を上げていきたい」と補足した。また、Nexus 6よりは安価に購入できるNexus 5(3万8400円)も、併売していく。

photophoto Nexus 6の価格
photophotophoto LTE対応タブレット「MediaPad M1 8.0 403HW」

 なお、Nexus 6はSIMロックフリーだが、タブレットのMediaPad M1 8.0にはSIMロックがかけられている。2015年に義務化が予定されているSIMロック解除については、「前向きに検討したいが、結論は待ってもらいたい」(ガン氏)とした。

ヤフーの連携サービスも拡充

 ワイモバイルは、Y!mobileスマートフォンから「Yahoo! JAPAN」アプリまたはスマートフォン版「Yahoo! JAPAN」のトップページにログインすると、契約プランに応じた「マイル」がたまる「パケットマイレージ」を提供している。これが功を奏し、Y!mobileユーザーの59%が、ほぼ毎日Yahoo! JAPANを利用しているという。このパケットマイレージを拡充し、「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」「ヤフオク!」を使ってもマイルがたまるようにする。

 家庭のホームビデオやカセットテープなどのデータをDVDにダビングする「なんでもダビング」をワイモバイルショップでも取り扱うほか、Yahoo!ボックスへのアップロードも可能になる。価格は1本あたり1480円。

スマホやタブレットとデータを分け合える「シェアプラン」を提供

 ワイモバイルでは、「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」の考えを取り入れ、さまざまなデバイスがインターネットにつながるよう推進していく。その一環で提供するのが、データ通信量を複数のデバイスで分け合える「シェアプラン」だ。スマホプランSなら月980円、スマホプランMなら月490円、スマホプランLなら無料で、スマホやタブレットなど最大3回線とデータ通信をシェアできる。12月4日に発売するLTEタブレット「MediaPad M1 8.0」はもちろん、2015年春の発売を予定している「Car Wi-Fi(仮称)」も、シェアプランの対象となる。

※初出時に「スマホプランSが無料」「スマホプランLが月980円」とする記述がありましたが、正しくは「スマホプランSが月980円」「スマホプランLが無料」です。おわびして訂正いたします(2/16 16:09)。

photophoto 最大3回線と通信量を分け合える「シェアプラン」

ライバルはMVNO各社?

 ワイモバイルの月額2980円からという価格をみると、ライバルは、低価格SIMを提供しているMVNOだと考えた方がいいかもしれない。ガン氏は「我々は、ただ安く売って終わりではなく、ユーザー体験を重視している」と説明し、手厚いサポートやショップの多さなどがMVNOに対する優位性になることを強調した。「我々のユーザーは2年契約が多いが、2年後に更新して、新しい端末に機種変更して、楽しく長く使ってもらいたい」(ガン氏)

 一方で、冬モデルのスマホがNexus 6のみで、初心者をターゲットにした製品がないのは、やや心もとない感もある(夏モデルの「STREAM S」や「DIGNO T」などもあるが)。例えば、MVNO数社もセット販売している「ZenFone 5」などを取り入れても面白かったと思う。ZenFone 5は32Gバイトモデルの価格が2万9800円で、Nexus 6より4万円ほど安く、初心者に向けた「簡単モード」も用意している。ワイモバイルはSIMカード単体も提供しているので、SIMと端末を個別に用意すれば、ZenFone 5でワイモバイルの通信サービスを利用できるが、やはりキャリアが販売する方がインパクトは大きい。シェアプランでデータ通信を分け合う端末の拡充にも期待したい。

photo 冬商戦の新サービスと新商品
photo 寺尾氏(中央左)とガン氏(中央右)

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