ニュース
» 2015年03月27日 12時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:イオンがVAIO、ソニー、京セラの日本ブランドスマホを投入 ━━販売網、コンテンツ、出張サービスで、キャリアを脅かす存在に

イオンがVAIO、ソニーモバイル、京セラのSIMロックフリースマホの発売を発表した。端末とサービスの両面でキャリアを脅かす存在になるのだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 3月19日、イオンリテールは「イオンモバイル2015春夏モデル発表会」を開催した。このご時世、キャリアが発表会をやらないと宣言しているにも関わらず、ついにMVNOがラインナップ発表会をやる時代が来てしまった。発表会終了後、イオンリテール・橋本昌一デジタル事業部長の囲みが行われた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年3月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


「石川温のスマホ業界新聞」バックナンバー

 3月19日、イオンリテールは「イオンモバイル2015春夏モデル発表会」を開催した。このご時世、キャリアが発表会をやらないと宣言しているにも関わらず、ついにMVNOがラインナップ発表会をやる時代が来てしまった。

 発表会終了後、イオンリテール・橋本昌一デジタル事業部長の囲みが行われた。

━━ どのくらいの台数を見込んでいるのか。

橋本昌一デジタル事業部長 台数については前々回から公表を控えている。

━━ Nexus4よりも多いのか。

橋本氏 それは多いですね。

━━ 現在の契約者数はどうなのか。かつて4万件という数字があったが、それ以降は公表していないのか。

橋本氏 そうですね。競合他社や商談のこともあり、公表は差し控えたい。

━━ 「VAIO」と「Xperia」が並んでいて、棲み分けは難しいのではないか。

橋本氏 VAIOのほうはブランドということもあるが、高速データ通信がし放題。Xperiaは、私どもとすればモバイルWAONなどのおサイフケータイ機能を重視している。それと2000万画素以上のデジカメ機能を重視するお客様向けということで、棲み分けはできるのではないかと考えている。

(★ VAIOはデザインについて一切触れないのが何とも悲しい)

━━ VAIOは回線で、Xperiaはハードウェアということか。

橋本氏 そうですね。

━━ こだわりスマホという表現をしているが、格安スマホという言葉と使い分けるのか。

橋本氏 私どもは格安の看板を降ろすつもりはない。値段、コストは重要だと思っている。しかし、客層を広げて支持をいただくためには、ハードであるとか、回線が従来よりもパワーアップしたものが必要だろう。やはり、ガラケーからスマホへの移行では、スマホのことをご存じないので、選択肢が多すぎると何を選んでいいか分からない。

 しかし今回は、今スマホを使っているユーザーの乗り換えを狙う。節約志向のユーザーがメインで、価格は絶対的に安い。だが、いまスマホを使っているお客様はすでにいいスマホを使っているわけですから、魅力のない機種ラインナップでは難しい。そのため、こだわりの部分については充足できるようなものを用意した。まず日本ブランドを幅広く選べるのが重要ではないか。

 私どもはフラグシップモデルはオーバースペックという考え方で、スペックをトレードオフして、価格を安くする。フラグシップで多機能なものをお客様がすべて使いこなしているかというと、必ずしもそうではない。あるところにこだわったお客様で、節約志向のユーザーをターゲットに展開していく。

(★ イオンは「ハイスペックモデルを売らないキャリア」という感じかな。もはや、スマホの進化も止まりつつあるので、イオンで扱うぐらいのスペックでちょうど良いのかも知れない)

━━ 端末と回線が対の関係になっている。Xperiaならソネットで、VAIOなら日本通信。Xperiaを日本通信のサービスで使いたいユーザーもいるのではないか。今後、イオン自身がMVNOとして通信サービスを提供しないのか。

橋本氏 おっしゃることはよく分かります。やはり段階といいますか、着実にやっていきたいと考えている。スタートしてまだ1年でございますので、ここをしっかりとやっていき、今回、ラインナップを充実させましたけど、サービス面やお客様への現場での対応など、そこの面を充実させようとしている。次のステップとしては、ご質問にあったように、回線に関しても我々のオリジナリティを出せるようにしていきたい。

(★ VAIOは日本通信、Xperiaはソネット、京セラはビッグローブというのが、やや分かりにくいような気がする)

━━ イオンスマホが登場して1年が経過したが、最初に購入したユーザーからの問い合わせや対応は現場では相当、大変だったのではないか。

橋本氏 第1弾はスマホデビューのお客様ですので、使い方に対するお問い合わせは非常に多かったです。私どもが提供している有償の電話サポートは、最初の2カ月間は無料にしている。スマホの使い方を無料期間の2カ月で習得したというのであれば、解約すれば1円もかからない。それでもセキュリティや落としたときの補償などもあるので、契約を続けていただけるお客様も多数いらっしゃる。

 私どもとしては、本当に使い方が分からないお客様には、営業時間も限られていますし、お店に来ていただくのも大変ですから、2ヶ月間の無料期間中でも電話をかけ倒して下さい、わからなかったらすぐ連絡してくださいと案内している。電話もスマホからでもフリーダイヤルにしている。サポートで電話代が有償だと、スマホから電話すると料金が大変になる。

 こちらに通信料の負担もあり、社内で論議もあったが、これはフリーダイヤルにして、お客様が遠慮無くかけてもらえる環境づくりを重視した。

(★ サポートも強化しているという点はイオンの強みかと。イオンの客層に対応できるサポート体制は大したものかも)

━━ 販売台数は非公表というが、事業として黒字なのか。

橋本氏 事業としては黒字ですね。私どもはイオンスマホ単独でビジネスをしているわけではなく、既存のキャリア(商品)も展開している中で、その選択肢の拡大として提供している。新規に参入しているわけではない。

 また、従来から携帯電話の売り場には、自前の従業員をかなり多く配置している。オリジナリティのあるスマホを展開したときも、販売員を新たに雇用する必要はない。キャリアさんの応援の販売員だけで展開していたら、オリジナリティのあるスマホを出しても誰も売ってくれない。元々の自前の従業員で提供していたので、新たな投資はかからない。

(★ MVNOはあまりコストがかからないというのが魅力かと。イオンが扱う他の商材と比べても利益率は高そう)

━━ 利益の想定は上振れしているのか。

橋本氏 1年目はほぼ想定していた計画通りということですね。

━━ 今後、それを1.5倍、2倍にしていくのか。

橋本氏 もっとだ。具体的には言えないが、もっと上のところを目指す。

━━ 今年、SIMロック解除が義務化される。格安スマホの市場はどうなっていくのか。

橋本氏 この市場は異業種からの参入も非常に多くなっている。我々は2014年度から登場したが、2013年度以前は、メガキャリアしか選択肢がなかった。いまは、それ以外の選択肢があると、お客様にかなり認知されたのではないか。そのなかで、私どものような量販店もあれば家電量販店、こういうのはお客様もすぐにわかるが、最近では従来、全く扱っていない業種も扱われて、かなり身近になっているのではないか。

 メガキャリアではない格安スマホのところで、今度は、お客様はどこを選べばいいのか。販売チャネルがいっぱい増えてきたことで、その中で私どもを選んでもらえるようにする。今まではメガキャリアさんとの差別化が一番だった。これからは格安スマホの中からお客様に選んでもらえるような戦略が重要になる。それが、今回発表したような品揃えで、我々の答えだ。日本ブランドでいろいろ選べる。これが私どもが想定したお客様に重要なのではないか。

(★ 競合が増える中で、イオンは一番最初に格安スマホのイメージを作れたのは大きかったかも)

━━ 市場についてどう見ているか。SIMロック解除で注目は集まるか。

橋本氏 それは海外市場を見ても、スマホ市場の10%かそれ以上が、格安スマホにこられるのではないか。それが我々の努力で15%とか20%、それ以上の数字になれば良い。少なくともこの2〜3年で10%以上の市場になるのではないか。

(★ 日本人は保守的な国民と言われているだけに、どこまで伸びるかが全く見えない)

━━ 日本ブランドにこだわるとのことだが、今、中国メーカーの鼻息が荒い。今後、これらの海外メーカーを導入することはないのか。

橋本氏 まず、分かりやすく日本ブランドでいく。海外ブランドでも、日本ブランドより優れているもの、遜色ないものは当然ある。しかし、商品自体は優れていても、ブランドは日本でまだ浸透していないことがある。私どもとしてはタイミングをみていきたい。お客様が望む機種が海外ブランドできっちりはまるのであれば、それは展開するのに支障はない。

 やはりハードについては機能だけでなく、ブランド力は重要。お客様が全く知らないブランドが非常に機能が優れているといっても、お客様はまだまだ不安に感じる。だが、すごいスピードで環境が変わっており、積極的には考えていきたい。

(★ イオンの客層を考えれば日本メーカーは必須かと。去年の4月にイオン担当者にインタビューしたときは「日本ブランドを揃えたいが、なかなか難しい」と言っていたが、やはり日本メーカーも苦しく、キャリアがiPhoneばかり扱うこともあり、だいぶ風向きが変わったようで。とはいえ、ソニーとの商談は、かなり長期間、かかった模様だ)

━━ 今回の日本ブランドモデルは5万円台もある。今までと比べると高い印象があるのではないか。

橋本氏 おっしゃることはよく分かる。そのなかでも京セラ製は2万9800円。ディスカウントではないリーズナブルな価格設定になっている。5万円台のモデルもあるが、通信料金と合わせて、24回払いは無金利で展開している。(分割と通信料金を合わせても)3000円台で、4000円台のさらに上というのは、今は考えてない。

(★ 型落ちとは言え、メガキャリアの半分というのはインパクトあるな)

━━ 今回、20〜30代を獲得していくと言うことで、大手キャリアと競合する。イオンではキャリア商品も販売しているが、その関係性はどうなるのか。

橋本氏 私どもはキャリアさんとの関係よりも、お客さまとの関係を優先する。私どもはお客様に幅広い選択肢を提供し、決めるのはお客様。お客様が私どもを選んでくれたら、それでいい。メガキャリアさんを選ばれてもいい。メガキャリアとの関係も良好に進めていくが、選択する決定権はお客様にある。メガキャリアだけの選択肢よりも、もっと幅広い選択肢があるのが良いのではないか。

 私は土日は現場に立ち、販売応援をしたり、契約作業も手伝うが、新しく高校生、大学生になる方が親御さんと来られたときは、やはりちょっと高いのは(遠慮される)。ご本人は違うと思うが、親御さんとしては節約志向が働いており、『こちらだったら、買い換えてあげるよ』ということになる。お子さんとしてはかなり長い間スマホを使っている。新しいのを買う上で、本音では一番良いのを選びたいだろう。しかし、親御さんの事情もあるので、我々としては、お客様に幅広い選択肢を提供するつもりだ。

(★ 橋本さんが現場に立っているというのがイオンの強み。メガキャリアの橋本さんのようなポジションの人が、ショップに立ち、契約業務にも携わっているとは思えない。イオンはキャリアよりも現場を知っていると言えるかも)

━━ メガキャリアの中には、フィーチャーフォン、Androidを採用したフィーチャーフォンを出しているが、そういった路線はありえるのか。

橋本氏 今はあまり考えていない。そういう回帰もあるかと思うが、まだいまは、ガラケーからスマホに、まだまだ憧れを持っている人が移行していない。売り場に行くと、お年寄りのなかには『老人会でみんなまだスマホじゃない。俺が老人会のなかで一番、ITで遅れている。俺がスマホデビューしたら、みんなスマホに替える』という人もいる。

 乗り換えたいけど乗り換えられない。お孫さんと交流したいが、ガラケーでは対応しきれないという人がいる。まだスマートフォンで頑張っていきたいと思う。

(★ MVNOがガラケー本体を調達するのはさすがに難しそう)

━━ 店頭での、イオンモバイルとメガキャリア商品の販売比率はどれくらいか。

橋本氏 みなさんが想像されているよりも、かなり上の所にある。毎月、上がっています。2015年度は相当、行くと思っている。現場での台数が上がっていますし、認知においても『格安スマホ=イオン』という感じで、店頭に来ていただけますので、だんだん、上がってきています。

(★ この質問をしたのは自分なんだけど、質問した瞬間に橋本さんがニヤッとしたのが印象的だった。おそらく、相当数、イオンスマホを売っているものと思われる)

━━ 格安スマホを足がかりにデジタルライフに広げていくといっていたが、具体的にはどういうことか。

橋本氏 我々はAV商品、パソコンも扱っている。これまでハードウェアは販売だけだったが、出張サービスで出向いて1時間、2時間、使い方をお教えする。Wi-Fi環境があればchromeキャストを設定するとか、レコーダーがあれば、moveでスマホやタブレットに移動できるが、そういった使い方をお客様はほとんどされていない。

 そういうところをサポートしていきたい。これは出張であったり、電話であったり、他の面でも広がりをもった形を提供していきたい。スマホだけではないと思っている。一番最初に手がけるのは、学研のタブレットで学童のところ、もともと高いご支持をいただいていますので、ここに対してはもっと展開を強化していきたい。

(★ こうした展開は家電量販店でもできていない。今後、イオンの強みになってきそう)

取材を終えて

 イオンは、VAIO、ソニー、京セラといった日本ブランド3モデルを揃え、これまでの40代以上だけでなく、20〜30代のすでにスマホデビューしているユーザーを狙い撃ちにするという。イオンでは、アプリの使い放題サービスや、雑誌の読み放題サービス、動画の見放題サービスなど、コンテンツサービスも揃えつつある。まさに、複数の端末ラインナップから選べ、コンテンツも揃え、さらに電話でのサポート体制、出張サポートなどもあるなど「メガキャリア」と遜色のない、体制になろうとしている。Xperiaといった人気のAndroidがあって、通信料金もいろいろ選べて安い。となるとすでにキャリアであるはずのワイモバイルが太刀打ちできない力を、イオンモバイルは手にしているかも知れない。

 イオンは全国で店舗を持っているからこそ、強大な力を得ている。イオンはキャリアを脅かす存在になるのではないだろうか。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

© DWANGO Co., Ltd.