「実質0円」廃止でもiPhoneの独走は変わらない?――BCNが2月の販売データを分析

» 2016年03月09日 21時38分 公開
[田中聡ITmedia]

 総務省が2015年12月に「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」にて、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアに対して、スマートフォンの“実質0円”販売施策を是正するよう提言。これにより、2016年2月から、3キャリアのスマートフォンが実質0円で販売されることはなくなった。

 実質0円終了が、スマートフォンの販売台数やシェアに、どのような影響を及ぼしているのだろうか? 特に気になるのが2月の動向だ。全国の大手家電量販店やネットショップのPOSデータを集計しているBCNがデータを分析し、チーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏が3月9日に説明した。BCNのデータは2016年1月時点で全国23社、2608店舗のPOSデータを集計したもので、キャリアショップやメーカー独自のオンラインショップのデータは含まれない。

実質0円廃止 「実質0円」廃止による影響のまとめ

2月の販売台数 前月比とシェア――3キャリアが軒並みダウン、Appleも大きくダウン

実質0円廃止 BCN チーフエグゼクティブアナリスト 道越一郎氏

 2月に実質0円販売が終了することを受けて、1月は駆け込み需要が起きて、スマートフォンの販売台数は前年比138.6%だったが「ピークは低水準」(道越氏)で、2月は前月比52.1%、前年比82.5%と大幅に減少した。

 2月のスマートフォン販売台数シェアを3キャリア別に見ると、ドコモが23.2%、KDDIが26.8%、ソフトバンクが24.5%で、3キャリアとも前月比で40%台だったのに対し、Y!mobileがシェア8%、前月比93.1%で下げ幅が最も小さかった。

実質0円廃止 携帯電話に占めるスマートフォンの販売比率と指数。指数は2013年2月を「1」としたもの
実質0円廃止 スマートフォン販売台数の前年同月比。1月の駆け込み需要と、その反動で2月が落ち込んでいることが分かる

 端末メーカー別に見ると、2月のスマートフォン販売台数シェアは、Appleが45.7%でトップを維持しているが、前月比で38.7%は最大の下げ幅だった。道越氏によると、iPhoneで実質0円廃止の影響を最も大きく受けたのは「iPhone 6」の16GBモデルだという。「2月の販売台数は前月比で9割ほど落ちている」というほどで、1月から大きくシェアを落としたのもうなずける。iPhone 6の16GBモデルは実質0円で販売されているケースが多かったので、当然の結果といえる。

 2位のソニーモバイルコミュニケーションズはシェア13%で前月比56.7%。3位のシャープはシェア8.5%だが、「新製品が出た影響もあり」(道越氏)、前月比では唯一100%超えの104.4%となった。一方、ASUS、Huawei、プラスワン・マーケティング(FREETEL)は前月比90%以上となっており、SIMロックフリー勢は好調を維持している。

実質0円廃止 キャリアとメーカー別の、スマートフォン販売台数前月比とシェア

販売台数の前年同月比――ソニーモバイルが最大の落ち込み

 スマートフォン販売台数の前年同月比を見ると、12月と1月は3キャリアとも前年を上回ったが、2月は60〜70%台にまでダウンした。Y!mobileとSIMロックフリーはここでも好調で、2月はY!mobileが170.2%、SIMロックフリーが156.3%まで上昇している。

実質0円廃止 スマートフォンの販売台数の前年同月比(キャリア)

 端末メーカー別では、ソニーモバイルが2月に前年比58.3%と特に低く、次いでAppleが前年比71.9%だった。ソニーモバイルは駆け込み需要のあった1月でも前年比89.9%と振るわず、166.2%だったAppleとは対照的だ。前年比ベースでは、ソニーモバイルが最も大きなダメージを受けた。道越氏は「1年前はXperia Z3 Compact(SO-02G)が売れたが、今回はそれに匹敵するヒットモデルがなかった」と要因を話す。過去機種と比べ、2015年冬に発売したXperia Z5/Z5 Compact/Z5 Premiumの売れ行きがいまひとつだったことが分かる。

実質0円廃止 スマートフォンの販売台数の前年同月比(メーカー)

 スマートフォンの販売に占めるSIMロックフリー端末の割合は増加傾向にあり、2月は販売台数シェアで過去最高の17.9%にまで上昇した。

実質0円廃止 キャリア別の販売台数シェアと、SIMロックフリースマホの台数比率

SIMフリーはASUS、Huawei、FREETELが好調

 スマートフォンの販売台数シェアの推移についても見ていこう。Appleのシェアが徐々に下がり、2月は1月の62.8%から45.7%にまで下がったが、他メーカーのシェアがAppleを脅かすほど伸びているわけではない。Appleの独走状態は、依然として変わらないわけだ。加えて、Y!mobileが3月4日「iPhone 5s」を発売したことも、Appleにとっては追い風だ。道越氏によると、2016年2月29日〜3月6日と、2015年3月2日〜3月8日の販売数を比較すると、Y!mobileは267.7%の伸びを記録し、5s効果もあったことが想像できる。

実質0円廃止 メーカーとOS別の販売台数シェア

 SIMロックフリースマートフォンのシェアは、ASUS、Huawei、プラスワン・マーケティングが約24%のシェアを分け合う、三つどもえの戦いを繰り広げている。OS別ではAndroidが9割以上と圧倒的で、iPhoneのSIMロックフリーはBCNが項目に出さないほどシェアが低い状態だ。Windows 10 Mobileスマートフォンは、徐々にではあるがシェアを伸ばしており、4%前後を確保している。

実質0円廃止 SIMロックフリースマホの販売台数シェア

 道越氏は、キャリアとSIMロックフリースマートフォンのスペックの違いについても解説。カメラの画素数はキャリア端末は12〜13メガピクセルと20メガピクセル以上でばらけているのに対し、SIMロックフリー端末は8〜10メガピクセルと13〜16メガピクセルに集中している。動画撮影はキャリア端末は4K対応の割合が2月は75.8%と高いが、SIMロックフリー端末で4K撮影ができるモデルは2月はわずか1%。一方、画面サイズはSIMロックフリー端末は5〜5.5型が大きく、キャリア端末よりも大きい傾向であることが分かった。

実質0円廃止
実質0円廃止
実質0円廃止 キャリア端末とSIMロックフリー端末のスペック比較

 実質0円の恩恵を特に受けていたiPhoneの販売数が下がることは容易に想像できるが、日本でAppleに対抗できる最有力候補といえるソニーモバイルもシェアを落としていることが気がかりだ。一方、MVNO(格安SIM)の契約が増加傾向にあることと、各メーカーが続々とSIMロックフリー端末を投入していることもあり、SIMロックフリー勢の好調はしばらく続きそうだ。とはいえ、これもiPhoneのシェアを脅かすまでには至らない。シェアの変動はあるものの、2016年もAppleがトップに君臨する状態は変わらなそうだ。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月13日 更新
  1. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  2. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  3. どこでもウユニ塩湖? 3COINSで550円の「スマホ用反射ミラークリップ」を試す (2026年03月12日)
  4. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
  5. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  6. ドコモ「ガラケー取扱説明書の掲載を終了します」 3G終了に伴い、事前保存を呼びかけ (2026年03月11日)
  7. Xiaomiからも“デカバ”モデルが登場! 1万mAhバッテリー時代が到来 (2026年03月12日)
  8. 100W出力で急速充電対応「UGREEN USB Type-Cケーブル」が43%オフの743円に (2026年03月12日)
  9. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  10. サムスンに聞く「Galaxy S26」シリーズ開発秘話 AI機能はさらに賢く、商用化まで5年を要した「プライバシーディスプレイ」 (2026年03月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年