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» 2016年10月14日 10時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:総務省が3キャリアに「不適正な端末販売補助」で行政指導――「クレカ高額決済者優遇」までやり玉に挙げる総務省の理不尽さ

10月7日、総務省が大手キャリアに対し端末価格に関する行政指導を行った。内容を精査すると、その妥当性には疑問を持たざるを得ない。この指導は、果たして消費者のためになるのだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 10月7日、総務省はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに対し、行政指導を行った。各社が展開していた端末購入補助のクーポンなどにメスが入った格好だ。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年10月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


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 9月に新型iPhoneが発売され、各社ともにユーザーに対してクーポンなどを配布していたため、見事に狙い撃ちされたのだろう。しかし、中身を精査してみると、「果たして、行政指導は妥当なのか」と首をかしげたくなるものとなっている。

 KDDIとソフトバンクは、機種変更もしくは新規契約者に対して、端末価格が優遇されるクーポンを配布していた。実際、筆者も、ソフトバンクのiPhoneがちょうど2年縛りが切れそうなタイミングだったため、機種変更が実質ゼロ円になる配布物が届いていた。

 しかし、NTTドコモの場合、総務省の指摘は「クレジットカード加入者に対する特典として端末の購入代金を割り引くためのクーポンを送付する手法」を問題視している。NTTドコモに確認したところ、「指導を受けた、ケータイ購入ご優待券についてはdカードGOLD会員向けの施策であり、年会費での負担やカードご利用額に応じ、感謝の気持ちから還元しているものです。

 これは、クレジットサービスの魅力度向上を目的として一定のお客様負担に基づいて発行しているものであり、電気通信ビジネスの一環で実施されているような一般的なクーポンとは性質が異なるものと考えており、ガイドラインの趣旨に鑑みても、その趣旨に反するようなものではないと考え、実施してまいりました。

 しかし、今回のケータイ購入ご優待券が不適切な端末購入補助にあたるとの指導については真摯に受け止め、今後、適切な対応に努めてまいります。また、是正指導への対応については、別途、総務省に報告をおこなう予定です」とのことだった。

 NTTドコモは、dカードの前身であるDCMXのころから、年間の決済額に応じて、端末を割り引くことのできるクーポンを配布している。dカードGOLD入会初年度は5000円分、2年目以降は年間100万円以上の利用で1万円分、年間200万円以上で2万円分の優待券が受け取れるという施策だ。

 NTTドコモの反論のように、過去から実施しているものであり、新型iPhoneの販売とは直接関係ない。クレジットカードの優遇施策であり、電気通信ビジネスとは別の話だ。総務省の何でもかんでも端末補助に関する施策を敵視している姿勢は理解に苦しむ。

 仮にNTTドコモが総務省からの是正を受け入れ、dカードGOLDの優遇を辞めるとなっては、ケータイ購入優待券をもらおうと、年間100万円、200万円をdカードでコツコツ決済しているユーザーから反発を食らうだろう。

 ソフトバンクが配布したクーポンにおいても、有効期限は11月末となっている。しかし、総務省では10月末までの是正を求めている。ソフトバンクでは「どう対応するかは検討中」としているが、11月になってから機種変更でクーポンの権利を行使しようとしているユーザーに混乱が生じかねない。 

 機種変更を検討するユーザーや、キャリア発行クレジットカードのGOLDを所有する人というのは、「長期利用者」であることが多く、キャリアにとってのお得意様である可能性が高い。総務省では「長期利用者を優遇しろ」という要請をしており、機種変更やカード所有者に対して、端末価格を割り引くというのは「優遇策のひとつ」として認められてもいいのではないか。

 総務省は「通信料と端末代の分離」に躍起になっているが、現場はますます混乱し、ユーザーにとって全くメリットのない方向に突き進んでいるような気がしてならない。

© DWANGO Co., Ltd.

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