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» 2017年05月09日 06時00分 UPDATE

ITライフch:「IIJmio Meeting 15」が開催 総務省の担当者も登壇で消費者への疑問に回答

IIJは、「IIJmio」のユーザー向けトークイベント「IIJmio Meeting 15」を開催。今回は総務省の担当者がゲストとして登壇し、IIJの取り組みだけでなく、MVNO業界全体に関するテーマに関してトークが繰り広げられた。

[ITライフch]
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「IIJmio Meeting 15」が開催 総務省の担当者も登壇で消費者への疑問に回答

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月15日、同社がMVNOとして展開する通信サービス「IIJmio」のユーザー向けトークイベント「IIJmio Meeting 15」を開催。今回は総務省の担当者がゲストとして登壇し、IIJの取り組みだけでなく、MVNO業界全体に関するテーマに関してトークが繰り広げられました。

SIMロックを解除したスマホ利用 ドコモは山間部に弱い!?

 最初の初心者向け「みおふぉん教室」では、IIJ広報部 技術広報担当課長の堂前清隆氏が、SIMロックを解除した大手キャリアのスマートフォンの利用に関する注意点について説明。現在大手キャリアから販売されているスマートフォンの多くは、他キャリアのSIMを挿入しても利用できないようSIMロックがかけられていますが、最近の端末は一定期間経過後にSIMロックを解除でき、他社のSIMを挿入しての利用が可能です。

資料 日本で販売されているiPhone(正規品)

 しかし堂前氏によると、SIMロックを解除したスマートフォンの全てが、他社のSIMを使用して快適に利用できるわけではなく、各キャリアが使用している周波数帯の違いなどによって、利用できない場合もあるとのこと。大きく分けるとiPhoneとAndroidとで違いがあるそうです。iPhoneの場合は国内で販売されている全てのモデルが同じ型番であることから、SIMロックを解除さえすれば全てのキャリアやそのMVNOのSIMで利用できます。

資料 キャリアスマートフォンの対応Band

 Androidの場合、販売するキャリアが採用している周波数帯の電波にしか対応していないことが多く、他キャリアのSIMで使うと場所によって通信ができなかったり、電波が弱くなったりすることがあります。なかでもauやソフトバンクで使用していたスマートフォンをSIMロック解除し、NTTドコモやそのMVNOで使用した場合、NTTドコモは山間部などのカバーに活用している800MHz帯(バンド19)が利用できません。

資料 2.1GHz(Band1)でつながる……ぞ?

 堂前氏は、NTTドコモがバンド19のみでカバーしているとされる西武鉄道西武秩父線の芦ヶ久保駅に訪れ、SIMロック解除したソフトバンク版のGalaxy S6 edge(404SC)にドコモ回線を用いたIIJmioの「タイプD」のSIMを挿入して検証した様子を公開しました。実際には遠方の基地局から飛んできたと思われる2.1GHz帯(バンド1)の電波を拾い、かろうじて通信はできたそうですが、電波が非常に弱く不安定で、800MHz帯が使えないと快適に利用できないことは確かなようです。SIMロック解除したAndroid端末を利用する上では、こうした点に注意する必要があるとのことでした。

総務省の担当者がMVNOに対する消費者の疑問4点に回答

 続いて、総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部料金サービス課の企画官 内藤新一氏が登壇。消費者が抱いているMVNOにへの疑問について、総務省の役割を踏まえながら解説しました。

資料 Q2. MVNOの通信品質は、大手携帯電話事業者と同じなの?

 1点めの疑問は「MVNOはなぜ料金が安いのか」。シェアの大きい大手キャリアには、電気通信事業法によって、競合であるMVNOに対してもネットワークを貸すことが義務付けられており、そのことが600以上のMVNOを生んで市場競争を加速し、料金低下につながっているのだそうです。

 2点めの疑問は「大手キャリアとMVNOは通信品質が同じなのか」。こちらも電気通信事業法によって、キャリアはMVNOに提供するネットワークを不当に差別してはいけないと定められていることから、ネットワーク品質には差が出ないようになっているとのこと。ですがデータ通信に関しては、MVNOの設備とキャリアの設備とを接続する部分の容量を、MVNOがどれだけの金額で借りるかによって品質が変わってくることから、全てのMVNOが同じ品質とは限らないとのことです。

資料 Q4. ドコモの端末はMVNOでもそのまま使えるのに、他の大手の端末は使えないのはなぜ?

 3点めの疑問は「なぜNTTドコモのネットワークを用いるMVNOが多いのか」。MVNOはネットワークを借りる際に「接続料」を支払う必要があり、接続料が最も安いのがNTTドコモであることが大きな要因だとのこと。ただし、キャリアによって接続料の差が大きくなり過ぎないよう今年2月に制度を見直し。キャリア間の接続料格差を縮小する取り組みを進めているそうです。

 そして4点めは「NTTドコモの端末はSIMロック解除しなくてもMVNOのSIMが使えるのに、他のキャリアではできないのはなぜか」。理由は、NTTドコモ以外のキャリアが、同じネットワークを用いるMVNOのSIMに対してSIMロックをかけているため。総務省ではSIMロック解除に関するガイドラインを1月に見直し、今年8月以降に発売される端末には、MVNOに対するSIMロックを禁止することを盛り込んだため、今後は改善されると見られています。

 内藤氏によれば、総務省はルールを作ることで新規参入を促し、サービスや端末を自由に選べる環境づくりをして業界の競争促進を推進しているとのこと。それゆえ「MVNOのグループ化が進み、3社の寡占に戻ってしまうこと」を懸念しており、フルMVNOの拡大などによって、ユーザーがキャリアとMVNOの違いを意識することなく利用できる環境をつくってゆきたいそうです。

業界の横並び、IoT… IIJがフルMVNOをめざすねらいとは?

 3つめのセッションでは、ネットワーク本部技術企画室 担当課長の佐々木太志氏が登壇し、IIJがフルMVNOを目指した理由と、そのねらいについて説明しました。

 佐々木氏によると、IIJがフルMVNO理由は、大きく分けてふたつあるとのこと。

 ひとつは、MVNOの「横並び化」が進んでいること。MVNOの黎明期、キャリアとMVNOが直接交渉してのネットワーク貸し出しがなかなか進まなかったことから、総務省によってMVNOの事業化ガイドラインが制定され、2008年にMVNOが交渉するためのひな型ともいえる「卸標準プラン」が導入されたことが大きく影響しているそうです。

 卸標準プランによって、多くのMVNOがキャリアと交渉してMVNOの事業化を進めやすくなりましたが、一方でその枠組みでしか契約ができず、自由度の高いサービスを展開するのが難しくなってしまったとのこと。その結果MVNOのサービスの横並び傾向が進み、通信サービスで独自性を打ち出すことが難しくなっていることから、IIJではフルMVNOとなって通信サービスでの差異化を図る必要があったとのことです。

資料 IoTの課題

 もうひとつの理由は、成熟化が進むスマートフォンの“次”として注目されているIoT(モノのインターネット)です。スマートフォンは人が利用するため、利用の範囲も人間のリソースに限られてしまいます。ですがIoTはモノとモノ、モノと人とをつなぐ概念であり、人のリソースに縛られないことからスマートフォン以上に広がる可能性を秘めています。

 しかし、従来のMVNOの枠組みでIoT向けの通信サービスを手掛けても、横並び傾向が続くことに変わりはありません。またIoTデバイス向けの通信サービスを提供するにしても、どうやってネットワークに接続設定をするのか、通信料は誰が、どうやって支払うのかなど、多くの課題を抱えているのも事実。IIJならではの独自性を打ち出しつつ、IoTデバイス利用者のハードルを下げるためにはフルMVNOになることが必要だったと、佐々木氏は説明しています。

 フルMVNOになることで、IIJはSIMカードを独自に発行できるようになりますが、SIMカードは現在主流のカード型だけでなく、組み込み機器向けの「eSIM」など、最近はさまざまな形態が存在するようになっています。フルMVNOになれば製品に適したSIMカードを直接供給できるのに加え、ネットワークの設定を不要で利用できるようにしたり、多様な料金設定ができたりするなど、IoTに向けたサービスが提供しやすくなるメリットがあるそうです。しかし、フルMVNOと聞いて多くの人達が期待するスマートフォン向けのサービス提供に関しては、まだ多くの課題があるとのことでした。

恒例のフリートークを実施

 最後に、会場では恒例のフリートークが実施され、Twitterや会場から寄せられた質問に登壇者がテンポよく答えていました。特に今回は、総務省担当者の内藤氏が登壇していたこともあり、総務省に対する意見や要望が多く挙げられていたのが印象的でした。

この記事の執筆者

佐野正弘

佐野正弘

エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。


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