楽天は「データ接続料と音声卸料金」「店舗展開」「期間拘束と割賦・下取り」「中古端末」「一括0円」の5点について意見を述べた。
同社はMMD研究所の通信速度調査結果から、サブブランドが大手MVNOの2〜3倍のデータ接続帯域を確保していると仮定。これを前提にデータ接続料と音声通話プランの卸料金を計算すると、サブブランドの「月額1980円プラン」が通常のMVNOの同価格プランでは実現できない“高品質”であることを示した。
この結果をもとに、同社はサブブランドの通信品質が現状接続料の水準から見て妥当かどうか検証し、必要であれば不公平を是正するように訴えた。
合わせて、同社は音声卸料金がMNOの「言い値」で「高止まり」していることと、「定額プラン」「準定額プラン(5分以内の通話定額)」が卸提供の対象外になっていることも競争上問題であると指摘。その上で、音声卸料金をコストベースで検証すると同時に、(準)定額プランの卸提供を促すように求めた。
同社は、サブブランドのリアル店舗の展開方法も競争上不公正であると主張する。
例えば、UQ mobileを扱う「UQスポット」では、親会社のauブランドの携帯電話・スマートフォンも取り扱っている(参考記事)。Y!mobileを扱う「ワイモバイルショップ」も、最近は「ソフトバンクショップ」と隣接・併設されるケースが増加している。
サブブランドのショップは、既存の携帯電話量販店(いわゆる「併売店」)やキャリアショップを「業態変更」したものも少なくない。この場合、既存物件を改装・改築してオープンできるため、立地面でもある意味で有利だ。
メインブランドとサブブランドを両方扱える店舗が増えると、ある意味で「相互送客」も起こる。より良い立地にショップがあることで、認知される機会も増える。結果としてサブブランド以外のMVNOへの乗り換え意欲が減退する可能性がある。
そのため、同社はこのような「ダブルブランド」のショップを規制するルールの必要性を訴えている。
契約期間を拘束するプラン(定期契約プラン)の「自動更新」や「契約解除料」、au(KDDI・沖縄セルラー電話)やソフトバンクが始めた「48回払い」の割賦、各MNOによる端末下取り・残債免除プログラムの存在も、MVNOへの移行を妨げていると同社では考えている。
MNO、MVNOを問わず、通信契約と端末の割賦(分割払い)契約は本来“別個”だが、日本では両者をまとめて支払うのが一般的だ。しかし、両方の契約を「24カ月間」に設定しても、契約“期間”に微妙なずれが生じるため、解約がしづらくなるという問題がある。
48回払いの割賦と組み合わせた残債免除プログラムでは、24カ月を超えた段階で機種変更すると一定条件のもとに残債が免除されるものの、適用可能になったタイミングでMVNOを含む他社に転出すると、債務が残ってしまう問題も発生する。
これらの問題を是正するために、同社は契約の自動更新の抑止、契約解除料の合理性の検証や、割賦を前提とした残債免除プログラムを契約する際の契約手順のルール化を求めた。
中古携帯電話について、同社は「下取り端末の国外流出」と「当初契約者以外によるSIMロック解除ルールの不在」が伸び悩みの原因と考えている。
そこで、MNOやメーカーが下取りした端末を国内で再流通させる取り組みや、SIMロックのかかった端末のロック解除を第三者でも申し込めるようにするためのルール整備の必要性を訴えた。
さらに、MNO端末の「一括0円」販売が再び増加傾向にある現状にも触れ、「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」(参考記事)の運用が適切に行われているかどうかの検証も求めた。
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