UQコミュニケーションズが9月29日、メディア向けに「UQコミュニケーションサロン」を開催した。同社は10月5日から開催されるCEATEC JAPAN 2010で、WiMAXの次世代規格「WiMAX 2」の公開デモを実施する予定。今回はこの出展に先立ち、WiMAX 2の仕様や、他社と比較したWiMAXの優位性をあらためて説明した。
UQ WiMAXの加入数は、2010年9月末で33万を見込んでおり、2010年度の目標加入数は80万。同社代表取締役社長の野坂章雄氏は「ほぼ目標通りの数字。残り(約47万加入)は2010年度後半で追い込む」と見通しを話す。
WiMAXの対応端末は、これまではデータ端末が多くを占めていたが、「iPadが発売されてからWi-Fiルータが売れている」(野坂氏)ようで、端末の購入代金が半額になる「WiMAX Speed Wi-Fiキャンペーン」も好調を後押ししている。また、NECアクセステクニカの「AtermWM3400RN」など、有線LANポートを備えた据え置きタイプの製品も売れているという。
10月からは、WiMAX対応PCでWiMAXを最大2カ月間無料で利用できる「WiMAX PC バリューセット」を開始する。WiMAX PC バリューセットでPCを購入すると、2カ月の無料期間終了後は月額0円〜4600円でWiMAXを利用できる。これは同じく2段階プランの「UQ Step」の月額380円〜4980円よりも安い。「PCにWiMAXの機能が入っていて安く買える。マクドナルドでハンバーガーを買うと、コーラとポテトがついてくるイメージ」と野坂氏は説明。「これまでは、なかなかWiMAXのよさをお客さんに分かってもらえなかったが、“使ったら分かる”こと」を訴求していく。この販売方法により、下半期はWiMAX対応PCもさらに増えるのではと野坂氏は期待する。
データ端末については、KDDIが6月に発売したWiMAXとCDMAに対応したデータ端末も「頑張って売っている」。また、野坂氏は冬商戦向けのWi-Fiルータの新商品を準備していることも明かした。新商品はCEATEC JAPAN 2010で披露する予定だ。
9月1日から米国(62都市)で開始したUQ WiMAXの国際ローミングサービス「WORLD WiMAX」も大きなトピックといえる。ユーザーはWiMAX PCを起動し、ネットワークを検索してClearwireに接続後、ブラウザを起動してオンライン加入手続きをすることでインターネットを利用できる。2011年3月までは追加料金が発生しない(2011年3月以降の料金は未定)。
現在のところ、WORLD WiMAXの対応機種はWiMAX対応PCに限られる。これは「PCとデータ端末では管理体系が異なるため」と、同社執行役員 CTO・技術戦略担当の渡辺文夫氏は説明する。「(WiMAX PCに搭載された)インテルのチップには複数の通信事業者を登録できるため。データ端末も通信方式に互換性があるので、(日本の)契約を解除すれば可能だが、今はそういう仕様にはしていない」(渡辺氏)
UQコミュニケーションズが2012年の商用化を目指している、WiMAX(IEEE802.16e)の後継代規格「WiMAX 2」(IEEE802.16m)は、下り最大330Mbpsの通信速度を実現し、時速350キロの高速移動中でも利用できる(WiMAXは下り最大40Mbps、移動速度は時速120キロに対応)。WiMAX 2では通信速度の高速化に加え、伝送遅延をさらに短縮できることも大きな特徴。同社ネットワーク技術部長の要海敏和氏は「WiMAXの伝送速度は3Gに比べて伝送遅延が3分の1で済むが、WiMAX 2ではこれがさらに半分になる。有線とほぼ同じくらいにしたい」と説明する。
「UQは“高速大容量”がウリ。WiMAX 2でも高速大容量を徹底的に追求していきたい」と要海氏は力を込める。では、高速大容量化とはどのような状態で、実現することで具体的にどんなメリットがあるのか。WiMAX 2では利用できる帯域が広くなることから、「車線数と渋滞の関係に例えると、WiMAX 2では道路の幅が広がるので、渋滞がなくなる状況と似ている」と要海氏は説明する。
ユーザーにとっては、大容量のコンテンツを瞬時にダウンロードでき、「まるで1人でネットワークを占有している」かのように通信できるという。例えば、YouTubeで100Mバイトの動画を再生する場合、下り平均8.5Mbpsの通信速度だとダウンロード完了に94秒かかるが、100Mbpsだと8秒で済む。YouTube HDで2Gバイトの動画を再生する場合、下り平均8.5Mbpsだと31分だが、100Mbpsだと160秒でダウンロードできる。「WiMAX 2で100Mbpsの速度が出れば、固定のインターネットアクセス網は必要なくなるのでは」と要海氏はみる。
WiMAX 2では、既存WiMAXの基地局を運用できるのも特徴だ。同社はこれを、16e(WiMAX)と16m(WiMAX 2)の後方互換(バックワードコンパチビリティ)と呼んでいる。これは新しい16mの基地局が旧来の16eもサポートしているため。16e端末は10MHz、16m端末は10、20、40MHzの帯域で通信をするが、16mの基地局では異なる帯域が混在しながらの通信も可能。なお、要海氏によると、16e端末のファームウェアをアップデートすることで、16mの仕様に対応することは可能だが、「通信速度については対応製品を買っていただく必要がある」とのこと。
UQは2010年度末には16m対応の基地局を建て、車で走行をしながら100Mbps以上の速度が出るかを検証し、公開する予定。また、CEATEC JAPAN 2010では有線接続して映像を流し、WiMAX 2の動態デモを実施する。
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