プラスワン・マーケティングのような企業は、日本ではまだあまりなじみがないかもしれない。一方で、グローバルの規模で見ると、こうした新興企業が急成長する例は珍しくない。フランスでは、「Wiko」と呼ばれるメーカーが急成長しており、大手メーカーのシェアを脅かすようになっている。Xiaomiをはじめとする、中国新興メーカーの躍進はいわずもがなだ。Windows Phoneでは、Yezz、BLUなども徐々に知名度を上げている。市場動向が異なるため、同じように当てはめることは難しいが、日本でもMVNO市場は順調に拡大している。この波に乗って、FREETELブランドが浸透し、存在感を高められる可能性は十分ある。
一方で、そこには発表したとおりの内容をきちんとやりとげられればというただし書きもつく。同社が過去に発表した「freetel XM LTE」は、発表した端末のデザイン、スペックを大幅に変え、ZTEの「Blade Vec 4G」とほぼ同じ形で出ることになった。この場合はスペックが当初より高くなっているのでまだいいが、出してみたものの品質が伴わず、ネット上で不評が散見される機種もある。同様に、通話とSMSに特化したフィーチャーフォンの「freetel Simple」は相次いで延期を繰り返し、まだ発売に至っていない。
freetel Simpleの発売が遅れた理由を増田氏は「『ぱぴぷぺぽ』というボタンを押したときの音が微妙にずれる。ショートメールや連絡先だけなのでいいかもしれないが、やはりどうも……」と述べている。OSがAndroidではなく、独自のものであることも理由の1つだという。とはいえ、freetel Simpleが発表されたのは2014年11月のこと。すでに半年以上が経過しており、このタイミングでも発売日を明言できていない。多少の延期はやむを得ないかもしれないが、ここまでズレると本当に品質管理ができているのか、疑いたくなってくる。
Windows 10 Mobileについても、同じことがいえる。現時点ではMicrosoft自身が、OSの完成時期を明言していない。海外メーカーを中心に取材を進めると、秋という時期もおぼろげながら見えてくるものの、まだ確定した情報はない。Windows 10 Mobileをいち早く投入したい気持ちは分かるが、同じことを繰り返さないためには、発表は発売直前まで控えておいた方がよかったのではないか。
増田氏は「もうくだらない理由で遅れることはない。新しいチップセットが思ったほどの速度が出ないなどあれば改善するが、そういうことがなければタイムリーに出せる体制が整っている」と述べており、過去の反省を生かしている様子はうかがえる。いみじくも同氏は「よくベンチャーであるような、社長がしゃしゃり出てくるのは好きじゃない。メーカーであれば製品で語りたい」と語っていたが、ぜひそれを次の端末で証明してほしい。
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