日本通信がVAIOスマホと格安SIMで大幅赤字を計上――格安スマホは「いつまで経っても儲からないビジネス」なのか:石川温のスマホ業界新聞

» 2016年01月29日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 1月22日、日本通信は2016年3月期の連結業績予想を大幅に下方修正。11億円の黒字としていた営業損益が15億円の赤字になる見通しだと発表した。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年1月23日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。


 格安SIM市場での競争激化が進む中、昨年春に発売した「VAIO Phone」の在庫評価減が影響した。

 同社の福田尚久社長は「MVNOで儲かっているところはないのではないか」とぼやく。格安スマホ市場は、参入企業も多く、価格競争も激しいレッドオーシャンとなっている。どんなにユーザーを獲得しても「毎年、接続料が下がり、それによる価格競争が起こる。顧客基盤が増えたところで、規模の経済が全く働かず、儲けが出ない」というのだ。

 MVNO以外のビジネスがあり、MVNOは本業に付加価値を与える位置づけにできる企業であれば、利益を度外視して格安スマホサービスを提供できる。しかし、通信サービスが本業となると、厳しい価格競争にさらされるというわけだ。

 MVNO市場でのシェアも低下する中、MVNOのパイオニアであった日本通信が選んだのが、「MSEnabler」(モバイル・ソリューション・イネイブラー)へのシフトだ。HRS/HSS機能の解放を視野に、「黒子に徹する」(福田社長)として、法人向け通信事業を主力にしていくという。

 MVNO市場は良くも悪くも「格安スマホ」と名付けられた段階で、命運が決まってしまった感がある。

 格安スマホと名付けられたことで、注目され、市場が一気に広がったものの、安さを求める人と大量にデータを消費する上級者しかユーザーにならなかった。上級者は、各社が手がけるキャンペーンや料金改定にめざとく反応し、MVNOを短期間で渡り歩く。一方、安さを求める人は頑なに最低料金プランで使い続ける。

 様々な属性のユーザーがバランス良く加入していれば、ネットワークの負荷も分散されるが、偏ったユーザーとなるとどうしてもネットワークを効率的に使うのは難しくなる。帯域を借りるとしても無駄が出てきてしまうのだ。

 福田社長は「他のMVNOも2、3年、事業を手がけることで、いろいろなことが見えてくるのではないか」と語る。

 日本通信は、自社ブランド「b-Mobile」を立ち上げ、イオンと組んで「格安スマホ」を仕掛けたものの失速し、「VAIO Phone」で端末事業に進出したが、大失敗して大やけどを負った。

 日本通信がいち早く、事業戦略の見直しを発表したが、2016年は他のMVNOも似たような方向転換を迫られるのかも知れない。

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