Wonderlink LTE FとDTI SIMが好調を維持――「格安SIM」16サービスの実効速度を比較(ドコモ回線2月編)通信速度定点観測(1/2 ページ)

» 2016年03月14日 12時57分 公開
[小林誠ITmedia]

 MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大150Mbps」「下り最大225Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。

 そこで、2015年7月から各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介している。今回は公開が遅れてしまったが2016年2月編として、先月のドコモ系MVNOの通信速度をリポートしたい。au系MVNOについても同時に調査したので、別途記事化する。本企画がMVNOサービスを選択する際の一助になると幸いだ。

「通信速度定点観測」バックナンバー
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通信速度の調査方法

 今回、テストを行ったのは以下の17サービスだ。

  • IIJmio
  • OCN モバイル ONE
  • BIGLOBE LTE・3G
  • b-mobile(おかわりSIM)
  • So-net モバイル LTE
  • 楽天モバイル
  • NifMo
  • ぷららモバイルLTE(7GBプラン)
  • ワイヤレスゲート
  • FREETEL SIM
  • DMM mobile
  • U-mobile(LTE使い放題)
  • Wonderlink(LTE Iシリーズ)
  • Wonderlink(LTE Fシリーズ)
  • mineo(Dプラン)
  • DTI SIM
  • ドコモ(mopera U)

 本家ドコモのサービスであるmopera Uを除くと、MVNOのサービスは計16。なお1月から「楽天モバイル」のSIMを新しいものに変更し、2016年10月6日以降に申し込んだユーザーと同じAPN「rmobile.jp」となっている。

 なお、いずれのSIMも下り最大150Mbpsまたは225MbpsのLTEサービスに対応したものを使っている。

 調査条件は以下の通り。

  • 計測端末:ZenFone 2×2台
  • 計測アプリ:RBB TODAY SPEEDTEST
  • 計測時間帯:平日午前(8時50分〜)、午後(12時20分〜)、夕方(18時〜)の3時間帯
  • 計測場所:JR横浜駅西口(午前、午後、夕方)、東京都港区のアイティメディア社内(午後のみ)
  • 計測回数:各時間帯・場所で1サービス、上下3回ずつ(平均値を掲載)

 各サービスの測定を開始した時刻は、以降の各時間帯の表を見てほしい。通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再測定とした。

 人力のテストなので、全てのサービスを同時に測定しているわけではないことはご理解いただきたい。またau回線の記事でも触れるが、測定の前半はauのMVNOも同時に計測しているため3台同時の測定となり、前半のサービスは測定を始めるまでの準備に時間がかかっている。

 本企画で紹介する通信速度は、時間帯や場所によって大きく変化するので、記事で紹介されている数値を100%うのみにせず、あくまで参考値としてご覧いただきたい。

平日午前は「b-mobile(おかわりSIM)」が下り27Mbps! 波乱起きる

 今回の測定は2月24日(水)にJR横浜駅西口前、2月29日(月)に東京都港区のアイティメディア社内で行った。まずは横浜駅での午前中の測定結果をお伝えする。

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 当日は曇り。雪は降らなかったものの冷たい風が吹き、雲が厚く、空を見ていると重い雰囲気。いつものように9時を過ぎると通勤・通学の人々が一気に減り、待ち合わせの人もまばらになっていく。

 一方で通信速度が伸び悩んだ1月と違い、下り平均20Mbpsを超えるサービスが4つも登場した。強かったのは下り平均27.05Mbpsの「b-mobile(おかわりSIM)」と、わずかな差で2位となった「BIGLOBE LTE・3G」だ。この2サービスがワン・ツーという組み合わせは珍しい。しかも上りでも10Mbpsを超えてトップ3入りを果たした。

 さらに「IIJmio」「DMM mobile」が下り平均20Mbps超えで続く。IIJmioは上りも速く、19Mbps台でトップと好調だ。1月までとは少々違う展開になっていて面白い。前回トップの「So-net モバイルLTE」は5位にダウンしたが、下り平均15.44Mbpsなので遅いわけではない。結局、下り平均10Mbps台には計6サービスがランクインしている。

 下位を見るとワーストワン・ツーはおなじみで、下り2.31Mbpsの「ぷららモバイルLTE」は1月の1.23Mbpsよりは良いが、朝からつらい結果となった。当連載でいつも3Mbps前後と評している「ワイヤレスゲート」は、下り平均4Mbpsとワースト2ながら安定はしている。

 しかしワースト3に1月に好調だった「NifMo」が入ってしまったのは予想外。さらに上りの通信速度ではワースト1位がなんと「FREETEL SIM」。上りの通信速度は下りよりも得意ではないとはいえ、午前中にまさかの平均1.24Mbpsは、意外な結果といえる。

JR横浜駅西口での測定結果(午前)
計測開始時刻 下り平均(Mbps) 上り平均(Mbps)
IIJmio 8:51 21.48 19.54
OCN モバイル ONE 8:51 11.84 7.7
BIGLOBE LTE・3G 8:55 26.67 13.82
b-mobile(おかわりSIM) 8:55 27.05 12.29
So-net モバイルLTE 9:02 15.44 6.86
楽天モバイル 9:02 14.64 7.53
NifMo 9:05 6.4 6.32
ぷららモバイルLTE 9:05 2.31 5.21
ワイヤレスゲート 9:08 4 5.67
FREETEL SIM 9:08 8.17 1.24
DMM mobile 9:10 21.03 8.2
U-mobile(LTE使い放題) 9:10 7.27 6.83
Wonderlink(LTE I) 9:13 8.49 8.13
Wonderlink(LTE F) 9:17 11.42 6.6
mineo(Dプラン) 9:17 10.58 5.71
DTI SIM 9:19 9.85 9.9
ドコモ(mopera U) 9:13 10.12 6.53

平日午後はやっぱりFREETEL SIMとDTI SIMが速い

 午後になると人は増えるものの、気温はあまり上がらずいつもの横浜駅周辺より元気が無い印象だ。コートを着ている人やマスクをしている人が多い。とはいえ、ランチタイムは通信の利用が急増するため、通信速度が落ちやすい時間帯だ。

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 1月と同じく、17サービス中10サービスが下り平均0Mbps台となった。トップは前回に続いてドコモ本家「mopera U」で、下り平均25Mbps超えだ。続くのが下り平均11MbpsのFREETEL SIM、10Mbpsの「DTI SIM」で、12月、1月に続き横浜駅前の午後はこの3サービスがトップ3を独占している。FREETEL SIMの上りの速度も7Mbps台で問題なし。DTI SIMに至っては上りの速度でトップだ。

 さらに下り10Mbpsには届かなかったが、So-net モバイルLTEと「Wonderlink(LTE F)」が実用十分な速度を維持。どちらも実測値の速さで、当連載では上位の常連。下り3.46Mbpsで平常運転のワイヤレスゲートは、上りも4Mbpsで好調なのだが、周りが速く上りでワースト1位になってしまった。1Mbps台と0Mbps台では印象が大きく違う中で、ギリギリ0Mbps台を回避できたのが楽天モバイルだった。

 上りの通信速度ではBIGLOBE LTE・3Gも健闘しており、上り平均10Mbps以上となり2位に。上りの通信速度は7〜9Mbps台が多く、どのサービスも好調だ。

JR横浜駅西口での測定結果(午後)
計測開始時刻 下り平均(Mbps) 上り平均(Mbps)
IIJmio 12:22 0.76 5.97
OCN モバイル ONE 12:22 0.52 7.43
BIGLOBE LTE・3G 12:28 0.64 10.37
b-mobile(おかわりSIM) 12:28 0.86 9.2
So-net モバイルLTE 12:39 6.45 6.61
楽天モバイル 12:39 1.23 8.32
NifMo 12:42 0.98 9.47
ぷららモバイルLTE 12:42 0.31 8.28
ワイヤレスゲート 12:44 3.46 4.66
FREETEL SIM 12:44 11.48 7.55
DMM mobile 12:47 0.88 7.29
U-mobile(LTE使い放題) 12:47 0.94 9.1
Wonderlink(LTE I) 12:50 0.89 7.76
Wonderlink(LTE F) 12:52 5.64 9.67
mineo(Dプラン) 12:52 0.73 7.79
DTI SIM 12:57 10.27 12.49
ドコモ(mopera U) 12:50 25.73 6.77

平日夕方はNifMoとSo-net モバイルLTEが好調!

 2月の夕方は1日で一番人が多いものの、皆立ち止まらずに足早に駅前を過ぎていく。寒さが最後まで周辺の人手に影響していたようだ。とはいえ、帰宅時間であるこの時間帯も、ランチタイムと同様にネットワークは混雑しやすい。

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 下り平均0Mbps台は3サービスあった。ランチタイムよりは改善されたが、最高速度は伸び悩んでいる。1月も遅かったが、2月も同じく下り平均のトップは5.57MbpsのNifMoで、午前の結果を挽回した。続くのがSo-net モバイルLTEで、下り5Mbps以上はこの2サービスのみだった。

 午前と午後に好調だったDTI SIMとmopera Uは、下り平均3Mbps台にまで下がってしまったが、上りの通信速度ではこれら2サービスとNifMo、そしてWonderlink(LTE F)が平均7Mbps以上を達成し、下りよりは好調な結果となった。

 ワーストを見ると下りの平均速度では、ぷららモバイルLTE、OCNモバイルLTE、U-mobile(LTE使い放題)」が0Mbps台、上りの平均速度ではワイヤレスゲートとFREETEL SIMが上り平均3Mbps台でワーストワン・ツー。ワイヤレスゲートは平常運転だが、FREETEL SIMは今回調子が悪いのだろうか。プラスワン・マーケティングは、2月29日頃から、FREETEL SIMでで一部ユーザーの“異常な利用”によって下り速度が低下したと案内したが、今回測定をしたのは2月24日なので、このタイミングとは重ならない。

JR横浜駅西口での測定結果(夕方)
計測開始時刻 下り平均(Mbps) 上り平均(Mbps)
IIJmio 18:00 2.53 5.05
OCNモバイルONE 18:00 0.82 4.31
BIGLOBE LTE・3G 18:04 1.65 6.2
b-mobile(おかわりSIM) 18:04 1.76 6.35
So-net モバイルLTE 18:09 5.27 4.72
楽天モバイル 18:09 1.35 4.72
NifMo 18:12 5.57 7.8
ぷららモバイルLTE 18:12 0.44 6.26
ワイヤレスゲート 18:14 2.54 3.56
FREETEL SIM 18:14 2.11 3.67
DMM mobile 18:17 1.47 4.54
U-mobile(LTE使い放題) 18:17 0.88 4.77
Wonderlink(LTE I) 18:20 1.16 5.56
Wonderlink(LTE F) 18:22 2.48 7.81
mineo(Dプラン) 18:30 1.14 5.76
DTI SIM 18:24 3.32 7.84
ドコモ(mopera U) 18:20 3.27 7.84

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