ITmedia Mobile 20周年特集
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» 2016年12月29日 06時00分 公開

“実質0円”禁止、MVNOとSIMフリースマホの飛躍――2016年のモバイル業界を振り返る石野純也のMobile Eye(2016年総括編)(3/3 ページ)

[石野純也,ITmedia]
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MVNOは新規参入組も続々と登場、通信の秘密などにも注目が集まる

 とはいえ、MVNOの事業者数はまだまだ増加の一途をたどっている。2016年は、イオンモバイルやLINEモバイルなど、もともと通信事業をなりわいとしていなかった会社の新規参入が相次いだ1年でもあった。イオンモバイルはこれまで、MVNOのSIMカードと端末を販売する流通企業という位置付けだったが、2月に独自サービスを開始。MVNOとして、その販路を生かし、事業を展開している。

 これに対し、LINEは9月にサービスを開始した。LINEモバイルの売りは、LINEやFacebook、Twitterの通信量がカウントされないカウントフリー機能で、これは海外で「ゼロレーティング」などと呼ばれるもの。後にInstagramも、その対象に加わっている。LINEモバイルを立ち上げた目的は、スマートフォンユーザーの拡大にあるという。諸外国に比べ、スマートフォン率が低い日本だが、逆に考えればまだ伸びしろがあるということでもある。そのユーザーがLINEを使えば、同社にとってプラスになるというわけだ。

石野純也のMobile Eye LINE MOBILEそのものは3月に発表されており、実際にサービスが始まったのは約半年後の9月だった
石野純也のMobile Eye
石野純也のMobile Eye LINEやFacebook、Twitterなどの通信が無料になる、カウントフリーが売りとなる

 カウントフリー機能は、サービスとしてだけでなく、「通信の秘密」や「ネットワーク中立性」の観点でも話題を集めた。この機能を実現するためには、ユーザーのデータ通信の中身をある程度識別しなければならず、適切に運用しないと、それが「通信の秘密」に抵触する恐れがあるからだ。また、特定のサイトやアプリだけを優遇するのは、「ネットワーク中立性」に反するという見方もある。

 これに対し、本連載でも言及したように、LINEモバイルはユーザーに個別、具体的な同意を取る仕組みを導入。契約時に、MVNEがIPアドレス、ポート番号、ヘッダの一部を機械的、自動的に識別していることを明記した。ネットワーク中立性に関しては確定した見解がなく、議論が進んでいないため、決着は今後に先送りされた格好だが、少なくともLINEモバイルがカウントフリーを実施する際の“模範回答”を示せたことは評価できるポイントだ。

石野純也のMobile Eye カウントフリー実施にあたり、LINE MOBILEはユーザーへの説明を徹底した

 一方で、FREETELは後出しでカウントフリーを導入するなど、全てのMVNOが適切にカウントフリーを運用しているとは限らない。MVNOだけでなく、ソフトバンクがキャンペーンで「スポーツナビ」の通信量をカウントから除外するなど、ネットワークを貸す側であるMNOも襟を正すべき状況がある。この点は、2017年以降、MNO、MVNO問わず、業界全体で解決していくべき課題といえる。

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