UQモバイルが年間90万契約の獲得目指し、新料金プランを投入――絶壁のワイモバイルに追いつき、個性で勝負できる日は来るか石川温のスマホ業界新聞

» 2017年02月03日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 1月25日、UQコミュニケーションズが春商戦向け発表会を開催した。終了後、野坂章雄社長が囲みに応じた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年1月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


―― WiMAX 2+の10GB制限への緩和の発表について、反響はどうだったのか。

野坂社長 「割とマスコミのみなさんに、現状をきちんと書いていただいたおかげか、みなさんから好意的な反応をいただけたのが、いい意味での驚きだった。よかったかなと思います。

 我々、かつてのノーリミットの時代から、3日間で3GBを入れてお騒がせしたこともあって、1年半、相当、悩んだテーマだった。最大限、ここまでならできる、是非お願いしたいという結果として、皆さんにご理解いただいたし、ユーザーさんからも変なお答えはいただいていない。ほっとしているのが、実際に2月1日、2日からは始まります。そうするといままで大量に使っていたお客さんが使ってみると、今日、おかしいと気がつくこともあり得ますので、これからお話し合いもしなくていけない。UQの基本的なスタンスは公平性だと思っていますので、このスタンスは揺るがずにやっていきたい」

(★ 現状は伝わってきたので、あとはユーザーが実際に使ってみてどうなるか、ですね)

―― 2月から昼の時間帯は制限がかからないと言うことだが、トラフィックに余裕はあるのか。

野坂社長 「そこはさんざん、計算してやっていますので、18-2時の間で10GBで抑えさせていただければ、大丈夫だと思っています。スマホはお昼がピークになり、WiMAX2+は夜がピークになるという違う状況になっている。それが昼間にシフトしていったら、いろんなことがあると思うが、少なくともいまのルーターとスマホの使い方は全然、違うので、そこは心配していません」

(★ なんだかんだで、自宅でパソコンにつなぎ、YouTubeを見まくる人が多いってことですな)

―― スマホとWiMAX 2+のセットで目覚まし時計をプレゼントするとあったが、割引の方向には行かないのか。

野坂社長 「それも社内ではいろいろと議論はしているんですけども、今日もどぎつく数字が1980、4380、6360とは書いていなくて、たとえば380円を引けば、5980円にはできるんですけど。気持ちだけ、割り引けばいいというのがもともとあります。

 そのとき考えたときに100円、200円引けばいいのか、いま三姉妹がとっても評判だし、WiMAX2+とスマホを両方使うとこんなにいいんだよというほうがいいのかというのを判断しまして、営業のキャンペーンとして、やらせていただく。

 家電量販店での現場ではマルチ獲得といっていますが、本当におすすめできる。スマホを買われた方にWiMAX 2+を足しても6000円ちょっとですむということで、結構、(獲得を)いただいていたりする。さらに目覚まし時計もついてくる。そんな感じで行けるかなと」

(★ あの目覚まし時計、女性ユーザーは欲しいと思うのかな。もうちょっと複数から選べた方がいいと思うが)

―― 他社は学割で25歳以下向けのプランもあるが、UQとしては19歳以上のプランは展開しないのか。

野坂社長 「割とシンプルにいきたいなと思っていて、今回はアンダー18ということでスタートさせていただきたい」

(★ ただでさえ、音声プランがわかりにくいだけに、学割がたくさんあっても仕方ない)

―― ワイモバイルと比べると、向こうはヤフーのポイント増倍などがあるが、ほかにあまり違いがない。横並びでいいのか。

野坂社長 「僕の心境からすると、ワイモバさんが絶壁だと前も言ったけど、相当、先行されているじゃないですか。そこに対して、UQモバイルが対抗軸になり得るような存在なんだよということをまず認識していただくのが先だと思っている。その先、勝っていくというところまではいかないというのが現実。

 もうひとつはワイモバさんの名前でヤフーさんでのなんとかポイントがあるが、それとUQモバイルは違う会社というのもある。

 逆を言うとある種、きまじめにいろんな品質とかを言わせていただいているのは、そういうことの方がいいと思うお客さんもいると思っている。現実に家電量販店のなんとかカメラさんとかがあるなかで、いろんな店頭で、シェアを比較するとワイモバさんに勝てるところも出始めてきた。

 ということは根強いファンもいらっしゃる。決して派手ではないけども地道にやっていく。だけど、存在感を示せる会社になれればいいなと思っている。

 まずは(ワイモバイルの)背中が見えてこないといけない」

(★ それにしてもワイモバイルを意識しすぎて、横並び感が強すぎる。もうちょっとUQモバイルらしさが欲しいところ)

―― mineoがようやく50万件を達成した中、UQモバイルは年間90万件を狙うようだが、達成は可能なのか。

野坂社長 「昨年、4月でボンと上がって、10月でボンと上がって、年末と言うことで、12月も数字が出た。これが出ないと今日も気持ち悪くなるが、その流れで3月はいけると読んでいる。問題は、3月は特殊な月なので、もうちょっと下がったところの12倍というのは80万とか90万はいかないが、3月に行く力をもう少しつなげていけば、いけると思う。

 そういう意味においては、答えからするといけるんじゃないかなと。いきたいな、行かなければならないと思っている。目標的な数字であることは確か」

(★ 強気な数字のような気もするが、CMも継続しそうだし、達成は不可能ではないのかも。難しかったら、auからMNP転出する人をさらに奪えば良さそう)

―― LTEオプションの無料化を実施する上で新規加入を前提としているが、あれはオプションの新規加入なのか、それとも契約の新規加入のことを指すのか。

野坂社長 「それはまさにunder considerationなので、ここで言って変なことになっても困るんだけど、ゼロからAさんと契約したものを一度、切って始めるのではなく、一度、リセットボタンを押させてもらって、何らかの条件をacceptしてもらえば、走れると言うような。言い方は難しいですが、契約を切って始めるというものはない。ちょっとした条件付けをさせてもらって、イエスかノーですかという感じ」

(★ あの1000円は早く廃止したほうがいい気がする)

―― LTEオプションの7GB制限は変わらないのか。

野坂社長 「これはちょっとシステム的なテーマがあって、1000円の料金がなくなって、LTEを使って7GBを超えると128kbpsになる。これはちょっと変わらない」

(★ この7GBは邪魔なルールよね。これがあるから、思いっきり使えない)

―― ビッグローブがKDDI傘下になることで、UQモバイルとKDDIの関係に変化は出てくるのか。

野坂社長 「ビッグローブはKDDIに買収された。我々とはきょうだい会社になる。もうひとつは、ビッグローブに我々のWiMAX 2+とスマホも代理店として売ってもらっている。そういう関係なので、きょうだいの関係。今後については親会社のKDDIが考えること。我々としてはau 4G LTEのスマホもやってもらっている、あちらはドコモのMVNOもされていた。というファクトがあるものですから、私の立場であれがこうなるという発言はない」

(★ ビッグローブは、NTTドコモから取引をお断りされたりしないのかな)

―― ユーザーを引き受けてくれみたいな話は。

野坂社長 「そういった話は一切ない。そういう噂があれば聞いてみたい」

(★ お断りされたら、他の会社が受け皿になりそう)

―― 他のau系MVNOに比べるとiPhoneの対応が充実しているが、これは親会社のサポートがあるのか。

野坂社長 「アップル社さんの件に関しては一切、ノーコメントと言うことで。すいません」

(★ 28日のIIJmio meetingでも話題になっておりました)

―― iPhone 5sの次はどうするのか。

野坂社長 「iPhone人気があって、上位3機種でトップなんですよね。何はともあれiPhone。7が出ても5sとかね。それが1980円だと魅力的なんでしょうね」

(★ ワイモバイルの動き次第で、こちらの品揃えも変わってきそう)

―― 上位3機種の内訳は拮抗しているのか。

野坂社長 「いきなりP9 lite PREMIUMが来て、どうかなと思ったが、かなり売れてて、割といいバランスになっている。3で割ってというわけでもないが、ちょっとiPhoneが多くて、という感じ」

(★ アップル社について、語っている気がする)

―― ワイモバイルはAndroid Oneをプッシュしているが、UQモバイルとしてはどう見ているのか。

野坂社長 

「あれって、どういうところが素晴らしいんでしたっけ?」

―― どの端末でもグーグルが提供するものを体験できるとか。

野坂社長 

「そういう世界もあるでしょうし、我々、後発と言うこともあるし、端末に対するこだわりよりも、ようやくau 4G LTEがそろってきたというところもあって、ワイモバイルと拮抗するまではそこに対する考えは現実的にはいっていない」

(★ UQモバイル的には、VoLTE対応端末が増やすことが第一優先だったはずなので、その次の戦略はこれからなんだろう)

―― UQスポットが増えているが、契約数にはプラスに働いているのか。

野坂社長 

「モバイルにポジティブに効いている。いろんな代理店、併売店とおつきあいしているが、WiMAX 2+も売れているところが一部あるが、基本的にはモバイル。社会的に旬なのはスマホなんだという気がしています」

(★ MVNOはリアル店舗展開での勝負になってきそう)

■取材を終えて

 UQモバイルに関しては、料金にプランLが追加となったが、5分かけ放題の「おしゃべりプラン」と、無料通話の「ぴったりプラン」があり、合計6つから選ぶようになっている。おしゃべりプランとぴったりプランの名称の違いわかりにくかったり、6つから選ぶのも店頭対応とユーザーを惑わせることになりそう。この点、やはりワイモバイルのほうが、3つだけというスッキリしていてわかりやすい感がある。

 UQモバイルはワイモバイルをキャッチアップしようと必死のようだが、後から次々、継ぎ足してプランを作っている感があり、どうしても立て付けが悪く、スッキリ見えないのが残念だ。このあたり、はじめから明確なコンセプトがなかったため、結局、後追いばかりでわかりにくくなってしまったのだろう。

© DWANGO Co., Ltd.

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