―― 世界第3位ということろまで来ましたが、さらに上を狙うつもりはありますか? あるとしたら、そのために必要なことは何ですか?
Xu氏 弊社はグローバルで事業を展開していますが、市場のオポチュニティがはるかにわれわれの能力を上回っている。われわれが思っている以上に、市場がわれわれに対して期待しているのだと思います。
この先の弊社の戦略的な方向性としては、まず1つ目はやはり品質です。2つ目はチップセットの技術ですね。通信メーカーとして、これからもチップセットに対する投資や研究開発を強化することで、他社との差別化を図りたい。これはひいては将来、われわれにとって大きなアドバンテージになると信じています。
そして3つ目ソフトウェアのユーザー体験。実はAndroidには、使用期間が長くなればなるほどと遅くなるという問題点があるんです。12カ月後には効率が20〜30%も下がるとも言われていますが、弊社ではMate9以降、ソフトウェアを最適化することで、スムーズに使える機関を12カ月から18カ月に伸ばしました。この点はさらに技術革新を進めて、来年には、Android陣営の中で弊社のスマートフォンが一番使いやすいものになると信じています。
また4つ目として、世界の一流企業とパートナーシップを組むことで機能強化を図っていきたいと思います。これまで弊社では、ライカとの業務提携によって、業界の中で一番良いカメラ機能を実現したり、タブレット製品ではハーマンカードンと協力することでオーディオの効果を最大限に引き出しました。またPCではドルビーとの業務提携によって音響に関しても工夫しています。このようなオープンな姿勢を持って、各業界の優秀なパートナーを見つけることはとても大切です。
最後に5つ目として、エコシステムを構築することも目標にしています。スマートフォン、PC、ウェアラブルと、さらにこれからはスマートホームのソリューションも提供していきますが、これらでエコシステムを作っていくことで、ユーザーにより良い体験をお届けできるようになると思っています。
これら5つの分野に注力しながら、引き続き努力を続けていきますが、いつ競合他社を超えるかという目標は特に設定していません。そうした順位よりも、まず自身の能力を高めること。そして価値を作り出すこと。支払った代金分だけの価値を感じ取ってもらうことや、製品を楽しんで使ってもらうことが、何より大切だと思っています。
―― 今の話の中にあったスマートホームのソリューションとは、どのようなものでしょうか?
Xu氏 中国では今、異なるメーカーの電灯や冷蔵庫、カーテン、レンジをどうつないで、スマートホームを構築していくかということが注目されています。弊社では家電製品は取り扱っていませんが、標準的なプロトコルを提供することでこの課題解決に取り組んでいます。具体的には、中国の家電業界からサポートを受け、プロトコルに最適化したチップセットを作っています。これが実現すれば弊社のスマートフォンから異なるメーカーの家電を操作できるようになります。これについては来年以降、海外向けに展開していきたいと考えています。
―― Huaweiは2017年で30周年とのことですが、ここまでの成長を支えてきたものは何でしょうか?
Xu氏 技術ももちろん大切ですが、より大切なのはマネジメントと文化です。今年72歳になる創設者のRen Zhengfeiが常に掲げてきた理念は、カスタマーファーストであること、そして一生懸命頑張る人に報いるということです。
今ではグローバルに18万人の社員がいますが、その文化はとてもシンプルで、求められているのはただ1つ、目の前の仕事をしっかりやるということだけです。例えば本部のトップが各国の拠点を訪問する際、もし現地の幹部が就業時間中、目の前の仕事を置いて空港に迎えに来るようなことをすれば、その幹部はすぐクビになるでしょう。
勤務中は100%カスタマーのやめに働かなければならないからです。Huaweiには「3人の社員が5人分働いて4人分の給料をもらう」という言葉があり、それくらいわれわれは皆、自らも楽しみながらそれくらい一生懸命に仕事に取り組んでいます。
Huaweiの本社は中国ですが、われわれはグローバル企業です。世界中の一流企業とパートナーシップを組み、そこから多くを学んでいますし、また20年前からIBMのマネジメント手法を導入してきました。特に品質管理については、日本を含む世界中のキャリアから多くを学び、品質に対する意識は今ではわれわれの中に深く根ざしています。
Huaweiは上場していませんので、資本関係で影響を受けることがなく、一度決めた長期戦略の方向性は簡単に揺らぎません。これからもお客さまを第一に据えて、できるだけ長くこの業界で生き残っていきたい。今日の成功は偶然ではなく、そのことに自信を持って、今後も一歩一歩、歩みを進めていきたいと考えています。
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