達人が選ぶ「2022年を代表するスマホ」5機種 スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022(1/3 ページ)

» 2022年12月28日 11時00分 公開
[井上晃ITmedia]

 ITmedia Mobileでは、2022年を代表するスマートフォンを決定する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022」を開催しました。

 審査の対象となるのは、2022年1月1日から2022年12月中旬までに発売したスマートフォン。審査員がそれぞれ5機種を推薦し、その中で票が多く集まった10機種をノミネート機種として選定しました。2022年は「ハイエンド部門」と「ミッドレンジ部門」に分け、各部門で5機種ずつ(計10機種)、最終的に各部門で1機種(計2機種)を選定します

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022

 2022年の審査員は、ITmediaなどで活躍し、1年間を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐野正弘氏、島徹氏、房野麻子氏、村元正剛氏、山根康宏氏(五十音順)の8人とITmedia Mobile編集部です。今回は、審査員が推薦した5機種とその理由を紹介します。

石川氏:円安下でインパクトを感じた「iPhone SE」、ストーリーがあった「AQUOS wish」

・推薦機種……iPhone SE(第3世代)、Pixel 7 Pro、Galaxy Z Fold4、Zenfone 9、AQUOS wish

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022 石川温氏

 今年(2022年)はインパクトのある機種が少なかったという印象ですね。大抵のメーカーが去年(2021年)から完成度を上げてきたという気がします。そんな中で、唯一インパクトを感じたのが「iPhone SE(第3世代)」。円安もあってなかなか端末も買えないよねっていう中で、iPhone 13や14シリーズではなくて、適当な値段で買えればいい――という象徴的な機種だったかなと思います。

 それ以外では、「Pixel 7 Pro」はカメラすごいよねとか、「Galaxy Z Fold4」はOSが上がったことで使い勝手がよくなったとかがありましたが、小粒なアップデートではありました。

 「AQUOS wish」は、日本メーカーでも値段を下げてあそこまでやるんだという点に驚いたのと、単に安いだけでなくてストーリー性を付けてきたところを評価しました。開発はZ世代がやっていますし、エコも意識している。頑張っているなと感じました。

石野氏:Pixel 7 Proにはカメラ×AIでこんなことができるんだと驚かされた

・推薦機種……iPhone 14 Pro、Galaxy Z Fold4、AQUOS sense7、Pixel 7 Pro、Pixel 6a

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022 石野純也氏

 22年のハイエンドは、新規軸の製品が登場するというより、“カイゼンの1年”だったと感じます。ただ、その中でも「iPhone 14 Pro/14 Pro Max」は、フルモデルチェンジだった印象です。発表時にオッと思ったのは、皆さんもおっしゃっていたダイナミックアイランド。ノッチについて散々批判されてきた中で、あれをUIに昇華して発表会で拍手喝采を集めるというのはなかなかできないでしょう。実際使っていても便利なので、実用性と楽しさをうまく掛け合わせてきたところに、Appleの底力を感じましたね。カメラ性能が大幅に改良されたり、無印のiPhoneと比べるとチップセットの性能も上がったりしているなど、買いの要素は多かったと思います。

 Galaxy Z Fold4は、発表会を見たときはAndroid 12L頼りのマイナーチェンジだなぁ、と思ったのですが、いざ実機を触ってみたら、ディスプレイの比率が変わったことで閉じたときにキーボードが打ちやすかったり、開いたときにコンテンツが見やすくなっていたりと、わずかな違いで使い勝手が大きく変わっていることが分かりました。これはいい改善だったなと。あと、実は日本市場でのGalaxyのフラグシップとしては、初めてのデュアルSIM対応モデルなんですよ。非常時ローミングの代替手段としてeSIMの推進が唱えられつつある最中に、SIMの組み合わせができるようになったのはよかったですね。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022 実際に触るとGalaxy Z Fold3 5Gからのアップデートを強く感じたという「Galaxy Z Fold4」

 Pixel 7 Proは、自社製チップとAIの組み合わせがより進化してきたなと。「Pixel 6」のときはボイスレコーダーや翻訳など、活用の幅を広げてきたことを評価していましたが、やはりカメラはカメラで「30倍ズームでここまで撮れるんだ」という驚きが感じられました。ちなみに、Proじゃない方の「Pixel 7」を入れなかったのは、スペックは似ていてもカメラの性能の差、特にズームの画質差が大きかったからです。

 一方のミッドレンジには、ゲームチェンジングな端末が多かったですね。「AQUOS sense7」はカメラの写りが飛躍的に変わっていて、誤解を恐れずに言えば“ハイエンド並み”になっていた。1/1.55型センサーを搭載していて、言ってしまえばXperiaシリーズのフラグシップよりセンサーサイズは大きいわけです。夜景とかとにかくキレイで、ライカコラボではないですけれど、ノウハウは十分に感じられました。むしろ、センサーサイズが大きすぎない分、“メシ撮り”とかもやりやすい。補正はライカ監修より少し派手目かなとは感じますし、普通の人が使うなら「Leitz Phone 2」とか「AQUOS R7」とかよりこっちの方が使いやすいんじゃないか、とすら思うこともありました。

 「Pixel 6a」は、ミッドレンジではないものをミッドレンジで売っている印象ですね。チップは初代Tensorなので、言ってしまえば去年(2021年)のPixelをカメラの仕様だけ抑えて劇的に安くして出した端末のようなもの。ミッドレンジの定義が変わっちゃうなと。カメラは、素のセンサーとしての差はもちろんあるので、真っ暗にして撮り比べたりすると変わります。しかし、TensorによるAIの補正が思った以上に効いていて、「a」が付いていない去年のPixel 6と比べても十分優秀だし、文字起こしもできるし、コストパフォーマンスが高すぎて、売れるのも納得でした。

太田氏:ミドル中心で選んだのは初めて 中でも抜きん出たのがPixel 6a

・推薦機種……Pixel 6a、OPPO Reno7 A、AQUOS sense7、iPhone 14 Pro、Galaxy S22 Ultra

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022 太田百合子氏

 例年はハイエンド中心で選んでいましたが、ここまで物価が高くなるとコスパを重視せざるを得ません。私としては、この会に参加させて以来、初めてミドルレンジモデルを中心に上げました。

 そのミドルの中でも、ずばぬけていたのがPixel 6aでした。昨今はもうCPUの世代で端末を選ぶ時代ではなくなったのかな、とも思えていて、実際この端末はPixel 7/6あたりを買ってしまった。この端末が出たせいでPixel 7が売れなかったのではないか、とさえ思っています。オンデバイスAIの使いたい機能がほぼほぼ入っていて、価格も安い。購入時にヘッドフォンが付くなど、とGoogleの力の入れ具合もすごかったですね。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2022 ミッドレンジスマホの中ではコスパの高さがずばぬけていた「Pixel 6a」

 「OPPO Reno7 A」とAQUOS sense7については、ほぼ横並び。これらも使いやすさや長く使えるかといった視点で選ばれる端末だと思います。そういった視点でいえば、どちらもカメラをアップデートしていますし、バッテリーも前機種より改良しています。使い勝手という点でおすすめしやすい機種です。特にAQUOS sense7については、顔認証のマスク対応もありました。画面内指紋センサーは手がぬれるとどうしても使いづらいので、想定するユーザー層にとって、きちんと使いやすく整えてきたことは好印象です。

 ハイエンドではiPhone 14 Proと「Galaxy S22 Ultra」を挙げました。iPhone 14 Proに関しては、思ったよりは高くならなかったな、と。この為替の厳しいなかで、健闘したのかなと思いました。ダイナミックアイランドのような新しいギミックも搭載してきましたし、カメラにも、他の機種で既に類似機能が入っていたものもありましたが、動画のアクションモードが追加されるなど、ちゃんと“驚き”を入れてきたのは、さすがAppleだなと思える部分でした。

 「Galaxy S22 Ultra」に関しては、私はNoteシリーズのファンなので、Note復活万歳という意味で入れています。

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