電力システム改革

「電力システム改革」の連載記事一覧です。

動き出す電力システム改革(83):

2020年度に実施する発送電分離に向けて、発電事業者が保有する火力発電所の容量を市場で取引する検討が進んでいる。火力発電は需給調整に欠かせないことから、小売電気事業者が市場を通じて容量を確保しやすくなる。一方で電力会社を支援する狙いもあり、適正な運用には課題が残る。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(82):

電力システムの改革に向けて2020年度までに新設する4つの市場のうち、「非化石価値取引市場」が最も早く始まる。再生可能エネルギーや原子力で作った電力を対象に、CO2を排出しない価値を証書で取引できる市場だ。2017年度に開設して、固定価格買取制度の電力から取引を開始する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(81):

卸電力市場の活性化に向けた対策の中でも特に注目すべきは「ベースロード電源市場」である。発電コストが低い水力・原子力・石炭火力の電力を売買できる市場で、2019年度に取引を開始する予定だ。電力会社が独占してきた電源を新電力に開放する一方、原子力を推進する狙いが明確に見える。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(80):

電力の使用量を30分ごとに自動計測するスマートメーターが全国に普及してきた。設置台数は合計で2300万台を超えて普及率は3割に達している。関西では5割以上の家庭に導入を完了した。スマートメーターは電力の購入先を変更する場合に必要で、使用量に基づく生活支援サービスも可能になる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(79):

小売全面自由化後に契約を変更した家庭や商店は2016年12月末に250万を超えた。全国の契約件数の4%に相当する。実際に契約を切り替えた需要家の満足度は高く、毎月の電気料金が安くなったことが最大の理由だ。電力会社の規制料金から自由料金メニューへ変更する家庭も増えている。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(78):

電力の小売全面自由化から6カ月後の競争状況を国の委員会が検証した。新電力の数は300社を超える一方、家庭向けの販売シェアは2.7%にとどまっている。東京・関西・北海道でシェアが高く、その他の地域は低い。地方では自治体が出資する事業者が増えて、シェアの上昇に期待がかかる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(77):

政府は電力市場の改革に向けて、発電コストが低い「ベースロード電源」の取引市場を新設する方針だ。電力会社と電源開発が保有する水力・原子力・石炭火力のうち一定量を市場で売買するように義務づける。2019年度に市場を創設して、新電力が供給する需要の3割を目安に取引量を拡大する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(76):

電力システム改革で重要なテーマの1つが卸電力取引の活性化だ。市場を通じて安い電力の売買が拡大すれば、事業者間の競争が活発になって電気料金の低下につながる。現状では電力会社が大半の電源を抱えていて市場の取引量は少ない。電力会社に一定量を供出させる新たな対策の検討が進む。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(75):

電力システムの改革と同時に喫緊の課題になっている原子力発電所の早期廃炉に向けて、政府は巨額の廃炉費用を託送料金で回収する制度を導入する方針だ。新電力の利用者も廃炉費用を負担する仕組みに変更して電力会社の負担を軽減する狙いだが、国民の理解を得られない不条理な制度と言える。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(74):

政府は地球温暖化対策の1つとして、CO2を排出しない電源の環境価値を売買できるようにする方針だ。原子力・再生可能エネルギー・大型水力で作った電力の環境価値を「非化石証書」で取引する。小売電気事業者がCO2排出係数を低減するのに利用でき、国民が負担する再エネ賦課金も減らせる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(73):

電力システム改革の新たな施策の1つとして「容量メカニズム」の検討が急速に進んでいる。従来の電力量(kWh)を単位に取引する方法に代わって、発電設備の容量(kW)を含めて支払額を決定する新しい制度だ。需給調整に欠かせない火力発電設備の維持・改修・新設を促進する狙いがある。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(72):

政府が検討を始めた電力システム改革を「貫徹」する施策の中には、電力会社を優遇する案が盛り込まれている。火力発電所の投資回収を早めるための新市場の創設や、原子力発電所の廃炉費用を電気料金で回収する新しい制度だ。電気料金を上昇させる要因になり、国民の反発は避けられない。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(71):

日本では地域ごとに送配電ネットワークが分かれていて、地域間でやりとりできる電力の容量に制限がある。地域間をつなぐ連系線の容量を割り当てるルールは新規参入の事業者には不利な形になっている。各事業者が公平に連系線を利用できるように、有料のオークション方式に変更する方向だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(70):

政府は小売全面自由化や発送電分離を柱とする電力システム改革を「貫徹」するため、6項目にわたる施策の検討に入った。電力会社が石炭火力や原子力で作る低コストの電力を市場で取引するよう促す一方、再生可能エネルギーと原子力を合わせた「非化石電源」の取引市場も創設する方針だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(69):

2020年度に実施する発送電分離に向けて、送配電ネットワークの費用負担の見直しが始まった。新たに発電事業者にも負担を求める方向だが、送配電ネットワークの負荷が小さい分散型の発電設備などは負担率を低く抑える。懸念点の1つは原子力発電で、送配電の料金を上昇させる可能性がある。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(68):

電力市場の構造改革に伴って送配電ネットワークの費用負担を見直す。現在は小売電気事業者が電力会社の送配電ネットワークを利用するために託送料金を支払う仕組みになっている。2020年度に実施する発送電分離に合わせて、発電事業者も送配電ネットワークの費用を負担する制度に変わる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(67):

小売全面自由化を機に、新電力よりも電力会社のほうが契約変更を積極的に進めている。5月末の時点で電力会社と新電力を合わせた契約変更件数は全体の5%を超えて、そのうち半数以上は電力会社の認可料金から自由料金へ切り替えたケースだ。販売単価も新電力と比べて5円以上も安い。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(66):

節電した電力を売買できる「ネガワット取引」が2017年4月に始まる。取引のスキームは3種類あるが、当初は需要家と事業者が節電量などを直接協議して決めるスキームから開始する予定だ。ネガワット取引に必要な広域機関のシステム改修が間に合わないため、当初は暫定的な運用方法になる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(65):

電力に続いて都市ガスの小売全面自由化が目前に迫ってきた。政府は自由化に先立って8月1日からガス小売事業者の登録申請を受付開始した。いち早く申請を出したのは関西電力で、電力と都市ガスのセット販売に備える。一方で都市ガスの大手5社は自由化後に適用する託送料金の認可を申請した。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(64):

企業や家庭の節電で生まれる電力を流通させる「ネガワット取引」の全体方針が決まった。これをもとに政府は運用ルールを整備して2017年4月の開始に備える。節電量の算定や事業者間で発生する調整金の計算方法を規定するほか、ネガワット取引の電力を卸電力取引所で売買できるようにする。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(62):

家庭を中心に電力会社から契約を変更した件数が5月中にも100万件を超える。契約数全体の1.5%とはいえ、市場は着実に変化している。小売電気事業者の登録数も300社を超えて、需要家の選択肢が広がってきた。一方で契約変更にかかわるシステムやスマートメーターの問題が解消できていない。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(61):

内閣府の消費者委員会が「電力小売自由化について注視すべき論点」を公表した。電源構成を含めて消費者にわかりやすい情報提供を事業者に促す一方、電気料金の比較サイトの独立性にも言及した。電力会社には契約変更に必要なスマートメーターの早期配備を求めている。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(59):

4月1日に実施した電力の小売全面自由化は早くも成果と課題の両方を生み出している。電力会社から契約を切り替えた家庭は全国で68万件に達したものの、4月に入って伸びは鈍化し始めている。自由化で先行した企業向けの市場では新電力のシェアが着実に上昇して10%に近づいてきた。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(58):

小売全面自由化に続く電力システム改革の取り組みとして、需要家が節電した電力量(ネガワット)を小売電気事業者や送配電事業者が需給調整に利用できるようになる。政府はネガワットを取引するためのルールやガイドラインを整備して、ガスの小売全面自由化と同時に2017年4月に開始する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(57):

2016年4月1日は日本のエネルギー産業にとって大きな節目になる。家庭向けの電力小売を自由化するのと同時に、従来の電力会社を頂点とする市場構造の転換が始まるからだ。電力会社を含めて300社を超える事業者が料金とサービスの両面で競争して需要家にメリットをもたらす。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(56):

電力の取引に関しては経済産業省と公正取引委員会が共同で作成した指針があり、小売全面自由化を前に内容を改定した。小売・卸売・託送の3分野を中心に問題となる行為を挙げて、独占禁止法や電気事業法に違反する可能性を示している。特に電力会社に対する規制を数多く盛り込んだ点が特徴だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(55):

従来の電力会社から別の事業者へ契約を変更する手続きはITを活用したシステムで処理する。国の広域機関が運用する「スイッチング支援システム」が3月1日に稼働するのと合わせて、電力会社10社でも対応するシステムの開発が進んでいる。すでにテストの大半を終えて3月末までに準備を完了する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(53):

小売電気事業者が電力会社の送配電ネットワークを利用するために支払う「託送料金」の単価が確定した。これを受けて各事業者は2016年4月から提供する家庭向けの料金メニューを設定する。新たに決まった託送料金は従量部分の単価が一律で、従来のような3段料金制をとる必要はなくなった。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(52):

政府は電力の小売営業に関するガイドラインの素案を策定した。小売電気事業者に家庭向け標準メニューの公表を求めるほか、ガスや電話とセット販売する場合の割引・解除条件の説明も必要とする。原子力や再生可能エネルギーを含む電源構成の開示は義務化せずに、「望ましい行為」にとどめる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(51):

小売全面自由後に事業者が電力会社に支払う「託送料金」の水準が確定した。託送料金は電力会社の送配電ネットワークを利用して電力を供給するために必要なコストで、各事業者は2016年4月から新しい料金プランに反映させる。注目の家庭向けでは関西の託送料金が最も割安になる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(50):

電力の小売自由化が一般にどのくらい認知されているのか。資源エネルギー庁が全国1000人を対象に調査した結果、9割以上が自由化を認識していて、購入先の変更を検討する人も8割に達した。電気料金の低下に期待する一方で、電気の質など供給面の情報は浸透していない。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(49):

家庭向けに電力を販売できる小売電気事業者が100社を超えて、料金とサービスの両面で活発な競争が始まる。電気料金は確実に安くなり、ガスや電話と組み合わせた割安のセット料金が全国に広がる見通しだ。競争が進まない地域では、需要家が電力会社の規制料金を選択することもできる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(48):

2015年8月に始まった小売電気事業者の登録申請は10月末の時点で100社に達する見通しだ。登録を完了した事業者は2016年1月から需要家の契約変更を受け付けて4月の全面自由化に備える。再生可能エネルギーに注力する事業者が数多く出そろい、家庭で利用する電力の選択肢が広がっていく。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(47):

電力システム改革の第1弾で2015年4月に発足した「電力広域的運営推進機関」は中立の立場で全国の送配電ネットワークを運用する役割を担う。事業者から苦情や相談を受けて調停する機能もあり、最初の6カ月間で33件を受け付けた。その多くは発電設備の接続に関する電力会社の対応だった。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(46):

家庭向けに電力を販売できる「小売電気事業者」に新たに8社が加わった。電力とガスのセット販売を予定している大阪ガスのほか、スマートハウスを中心に家庭のエネルギー管理に力を入れる大和ハウスグループの登録が完了した。小売電気事業者の提携先も営業の代理や取次が可能になる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(45):

小売電気事業者は需要家の意向を受けて契約を変更する場合に、全国どこでも「スイッチング支援システム」を利用して手続きを進めることが可能になる。すでにシステムの準備が整って連携テストに入る段階だ。小売全面自由化の1か月前にあたる2016年3月に本番の運用を開始する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(44):

消費者が電力の購入先を選ぶ時に、原子力や再生可能エネルギーなど電源の種類が判断材料の1つになる。政府は小売電気事業者に対して電源構成の開示を義務づける方向で検討を進めてきたが、義務化しない可能性が高まってきた。消費者の誤解を招きかねないなどの理由を挙げている。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(43):

2016年4月以降に電力を販売するためには「小売電気事業者」の登録が必要で、申請後に経済産業省と電力取引監視等委員会による審査を通過しなくてはならない。第1回目の審査で40社が適格と認められて、経済産業省が事前登録を完了した。各社は料金プランなどを決めて営業活動を開始する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(42):

家庭を含めて電力を販売できる「小売電気事業者」の登録手続きが進んでいる。8月3日に事前登録の受付を開始して、すでに69社が申請を済ませた。経済産業省と電力取引等監視委員会による2段階の審査を経て、登録を完了した事業者は10月から公表される見通しだ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(41):

自由化が進んでいく電力市場に証券市場と同様の取引を監視する委員会が9月1日に発足する。経済産業大臣の直属組織として、卸と小売の取引に加えて送配電事業者の行為を監視する役割も果たす。委員会が有効に機能することで電力とガスを合わせたエネルギー市場の健全な発展を促す。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(40):

政府は小売全面自由化にあたって事業者が守るべきガイドラインを拡充して、小売電気事業者には原子力・火力・水力など電源構成の表示を義務づける方針だ。固定価格買取制度の適用を受けた再生可能エネルギーの電力は「FIT電気」と表示したうえで、買取制度の説明文を加えるように求める。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(39):

小売全面自由化で再生可能エネルギーの電力の取り扱いも変わる。地域の需給状況に合わせて発電設備の出力制御が必要になった場合には、送配電事業者が太陽光と風力の発電量を予測して小売電気事業者に配分する方法だ。出力制御に従って発電した電力は小売電気事業者が全量を買い取る。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(38):

小売全面自由化に合わせて、固定価格買取制度の認定を受けた電力を買い取る義務が小売電気事業者に発生する。ただし販売量の少ない事業者にとっては、過剰な電力を買い取ることは難しい。政府は買取義務の上限を設ける考えで、事業者ごとに需要の大きさをもとに設定する方法を検討中だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(37):

小売全面自由化が始まると、電力も一般の商品と同じように需要と供給のバランスで価格が決まる。事業者や需要家が1年後に売り買いする電力の価格をキープするためには、先物取引が有効な手段になる。現在の卸電力取引所に先物市場を新設して、15カ月先までの電力を売買できるようにする。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(36):

小売全面自由化の実施に先立って、電力会社も新電力も「小売電気事業者」としての登録が必要になる。8月3日に事前登録の受付が始まり、2016年1月から需要家と契約変更の手続きを進めることができる。政府は契約時の説明義務などを規定したガイドラインを強化する予定だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(35):

小売全面自由化で利用者の選択肢は大幅に増える。再生可能エネルギーで作った電力を販売する事業者の増加が予想されるため、政府は電源構成の表示方法に規制を設ける。固定価格買取制度を適用した電力を販売する場合には「CO2フリーではない」といった説明を義務づけることも検討中だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(34):

小売全面自由化が始まると、事業者間で電力の売買が活発になっていく。発電した電力だけではなくて、節電した電力の取引も可能になる。「ネガワット取引」と呼ばれるもので、需要が増加する時間帯に使用量の削減分を売ることができる。2020年には卸電力市場でもネガワット取引が始まる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(33):

現在の固定価格買取制度では電力を買い取る事業者に対して、火力発電と比べた費用の差額を補てんしている。小売全面自由化に伴って買取義務を小売電気事業者に一本化して、費用の計算方法も変更する。発電コストではなくて卸電力市場の取引価格で費用が決まり、事業者の収益に影響が及ぶ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(32):

2016年4月に始まる小売全面自由化に伴って、電力の市場構造は抜本的に変わる。事業者を発電・送配電・小売の3区分に再編する一方、中立的な立場の広域機関が事業者と需要家の仲介役を担う。契約の変更手続きはシステムで対応できるようになり、家庭だけではなく企業の移行も促進する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(31):

電力市場を改革するための第1段階に向けて着々と準備が進んできた。中核の役割を担う広域機関が500社以上の電気事業者を会員に加えて、4月1日から7種類の業務を開始する予定だ。新電力を含めて会員になる電気事業者は毎年度の供給計画を広域機関に提出する義務が生じる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(30):

小売全面自由化を1年後に控えて、新電力が急増中だ。2015年1月末の時点で届出件数は526社にのぼり、直近の1年間で3倍に拡大した。従来の企業向けの市場では新電力のシェアは4%にとどまっている。家庭向けの市場開放に伴う電力システム改革によって、どこまでシェアを伸ばせるか。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(29):

政府は電力システム改革が確実に機能するように市場の監視体制を強化する。新たに「電力市場監視委員会」を2015年内に発足させて、小売全面自由化と発送電分離に備える方針だ。事業者の情報収集や立入検査を実施して、ルールに違反している場合には業務改善勧告を出す権限も与える。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(28):

小売の全面自由化が始まると、電力会社から別の小売事業者へ契約を切り替える「スイッチング」を求める利用者が数多く生まれる。スイッチングの申込は2016年1月から受け付ける予定だ。全国の需要と供給を調整する「広域機関」がシステムを運営してスイッチングの手続きを迅速に処理する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(27):

小売の全面自由化が始まる2016年4月には、家庭に設置したスマートメーターのデータが電力会社以外の小売事業者にも提供される予定だ。電力会社のシステムで各家庭の30分単位の電力使用量を算出したうえで、小売事業者ごとに分割したデータを取得できるようになる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(26):

全国の自治体が運営する発電所は水力を中心に数多くある。大半は電力会社と売電契約を結んでいるが、従来は規制によって単価が安く抑えられてきた。小売の全面自由化に合わせて卸電力の規制も撤廃することから、政府は自治体向けに売電契約の見直しを促すためのガイドラインを設ける。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(25):

電力システムの改革に合わせて、原子力発電所の廃炉も進める。老朽化した発電所の廃炉を電力会社が円滑に実行できるように、廃炉に伴う財務面の負担を軽減する新しい会計制度を導入する方針だ。廃炉の費用は規制対象の電気料金に含める形にして、すべての利用者が負担する仕組みになる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(24):

電力小売の全面自由化に合わせて、発電事業者や小売事業者に課せられる「同時同量制度」が緩和される。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを供給する場合には、電力の過不足が生じる可能性があるため、発電事業者が責任を負わなくて済む「特例制度」を設ける予定だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(23):

2018年にも実施する発送電分離にあたっては、電力会社から独立する「一般送配電事業者」の中立性を確保することが最大の課題になる。分離・独立後には同じグループの発電・小売事業者とのあいだで、役員や従業員の兼業禁止、影響力行使の禁止などの規制が設けられる予定だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(22):

電力の小売全面自由化と合わせて全国各地の需給バランスを維持するためには、小売事業者と発電事業者が30分単位の需給計画などを広域機関に提出する必要がある。提出方法は3種類から選ぶことができるが、いずれの場合でもデータを暗号化して送信することが求められる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(21):

小売の全面自由化によって事業者間の販売競争は激しくなる。再生可能エネルギーによる電力で顧客を獲得する事業者の増加も予想されるが、その際の宣伝方法に関して政府はガイドラインを設けて規制する方針だ。固定価格買取制度の交付金を受けた電力は制約を受ける可能性が大きい。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(20):

電力は常に需要と供給量を一致させなくてはならない。発電事業者や小売事業者が計画どおりに電力を確保できなかった場合に生じる「インバランス」は一般送配電事業者が調整することになる。そのコストを各事業者に適正に配分するために、新たな料金設定のルールづくりが急がれる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(19):

小売全面自由化に伴って、電力会社の送配電部門は「一般送配電事業者」へ移行する。自由化で増加する小売事業者と発電事業者を束ねて、地域内の需要と供給のバランスを調整することが最大の役割だ。発電量が変動する再生可能エネルギーを加えた高度な需給調整能力が求められる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(18):

2015年4月に業務を開始する「電力広域的運営推進機関」には2つの重要な役割がある。1つは全国レベルの需要と供給を調整すること、もう1つは小売事業者を支援することだ。この2つの業務を効率的に実行するために必要な情報通信システムの開発作業がまもなく始まる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(17):

電力システム改革の第1段階を担う「電力広域的運営推進機関」の設立が国の認可を受けて正式に決まった。2015年4月1日に5人の役員と100人規模の職員で業務を開始する。初年度の事業規模は約38億円を想定していて、職員の7割を電力会社からの出向者が占める見込みだ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(16):

2016年4月の小売全面自由化に合わせて、電気事業者の区分や対象を変更する。従来は発電設備を所有する一般企業や自治体などは電気事業者の対象ではなかった。今後は出力1万kW以上の発電設備を所有すると、電気事業者として届出が必要になり、供給計画の提出などが義務づけられる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(15):

2016年度から電力の供給計画を作成する仕組みが変わる。従来は電力会社が地域ごとに立案していたが、今後は「電力広域的運営推進機関」が全国規模の供給計画をとりまとめる。小売の全面自由化に伴って、発電・送配電・小売の全事業者が年間計画を作成して広域機関に提出することになる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(14):

2016年4月に実施する小売の全面自由化に向けて、利用者が簡単に契約を変更できる仕組みの整備が進んでいる。小売電気事業者と送配電事業者を連携する「スイッチング支援システム」によって、利用者は新しい小売電気事業者に申し込むだけで変更手続きを完了できるようになる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(13):

電力システム改革の第1弾を担う「広域的運営推進機関」が7月17日に発足した。組織の体制や意思決定のルールなどが大枠で決まり、2015年4月の業務開始に向けた準備が進んでいく。機関の重要事項を決定する総会の議決権は電力会社、小売事業者、発電事業者に3等分して中立性を維持する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(12):

法律を改正して小売を自由化しても、電力会社からの契約変更が面倒では新規の顧客は増えていかない。2015年度から業務を開始する「広域的運営推進機関」では契約変更を促進するための「スイッチング支援システム」を開発して、自由化が始まる2016年4月から小売事業者に提供する予定だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(11):

電力の小売全面自由化を推進する中核の役割を担うのが「広域的運営推進機関」である。すでに自由化に必要な準備は進んでいて、システム開発やデータセンターの委託先も10月までに決まる。2016年4月には小売事業者がシステムを使って電力供給の変更手続きを処理できるようになる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(10):

資源エネルギー庁が全国1500人を対象に実施したアンケート調査の結果、電力の小売自由化で購入先の変更を検討する、との回答が過半数の54%に達した。消極的な回答者の多くは自由化後の状況を想像しにくい点を理由に挙げる。実際に電気料金が安くなれば購入先を変える家庭は増えそうだ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(9):

家庭を含む小売の全面自由化が正式に決まった。電気事業法の改正案が6月11日の国会で成立したことにより、政府は2016年をめどに電力小売の規制を撤廃する。巨大な市場に通信・ガス・住宅などさまざまな産業の有力企業が参入して、8000万を超える顧客の獲得競争を電力会社と繰り広げる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(8):

電力システム改革の第2弾になる「小売全面自由化」の法案が国会に提出された。これまで電力会社が独占していた家庭向けの市場を開放するのと同時に、事業者を発電・送配電・小売の3区分に再編して競争を促進するのが狙いだ。順調に進めば2016年に小売の自由競争が一気に加速する。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(7):

現在の電力システムが抱える大きな問題点の1つは、地域をまたいで需要と供給を調整できないことである。今後は地域を越えた需給調整を可能にしたうえで、卸電力市場を活性化させる予定だ。取引所を通じて地域間の流通量が拡大すると、全国で年間に1700億円の電力調達コストを削減できる。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(6):

電力市場の競争を促進するためには、地域を超えて電力を販売できる環境の整備が不可欠だ。2015年に発足する「広域的運営推進機関」の重要な役割のひとつが、地域間を含めて全国レベルの需要と供給を調整することにある。特に東京−中部間の連系能力を改善することが求められている。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(5):

開催中の臨時国会で法改正が成立すると、2014年の年明けすぐに改革の準備がスタートする。第1段階の「広域的運営推進機関」の設立準備組合を1月にも発足させて、夏には全国レベルの需給調整に必要なシステムの開発に入る。順調に行けば2015年の早い時期に業務を開始する見通しだ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(4):

電力会社の独占状態を変革する手段のひとつに、電力を売買できる取引市場がある。国内で唯一の「日本卸電力取引所」では、発電事業者と小売事業者の増加に伴って取引量が徐々に増えてきた。さらに電力の流動性を高めるために、短時間で売買できる「1時間前市場」を新設する計画もある。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(3):

発送電分離が実現すると、電力会社の送配電網は新たに送配電を専門にする事業者に引き継がれる。数多くの発電事業者と小売事業者が同じ送配電網を使って安価な電力を供給できる体制が生まれる。そこで重要になるのが、送配電網を利用する際に事業者が支払う接続料金の決め方だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(2):

電力会社による垂直型の市場構造を打破して、発電・送配電・小売の機能別に事業者を再編する。これが電力システム改革を推進するキーポイントになる。従来は再生可能エネルギーの買取義務をほぼ全面的に電力会社が負ってきたが、改革後は新たに誕生する送配電事業者に移行する見通しだ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()
動き出す電力システム改革(1):

2015年から始まる電力システムの改革に向けて、土台になる施策の検討が急ピッチで進んでいる。競争を促進するためには、電力会社が持つ需要家の情報を小売事業者も共有できるようにする必要がある。新設する中立の運営機関が全国8000万の需要家の情報を管理して提供する案が有力だ。

【石田雅也 , スマートジャパン】()