ニュース
» 2011年06月22日 00時00分 UPDATE

スマートフォンの第3極へ――勢力図を変えるWindows Phone “Mango” (1/2)

今秋にもリリース予定のWindows Phone 7の次期バージョン、Windows Phone “Mango”とはどんなOSなのか。日本マイクロソフトが先日開催したWindows Phone Developer Dayで披露した最新ビルドの動画とともに、改めてWindows Phone 7のこれまでとこれからを確認しておきたい。

[園部修,ITmedia]

 AppleがiPhoneとiOSを世に送り出し、Google主導のAndroid OSが同じ市場で戦いを仕掛けたことで、世界のコンシューマー向けスマートフォン市場は大きな変貌を遂げた。インターネット接続機能を持った高機能ケータイが主流だった日本にもその波は押し寄せ、ほんの数年で主要キャリアから発売される新製品の過半数がスマートフォンになるまでに至っている。

 その市場の激流に、さらなる大きなうねりが流れ込もうとしている。Microsoftの「Windows Phone」最新バージョン、“Mango”だ。

 これが決して大言壮語ではないことは、実際にWindows Phone “Mango”を見てみれば分かる。百聞は一見にしかず。まずは動画で最新ビルドのWindows Phone “Mango”の姿を確認してほしい。


Windows Phoneの攻勢が始まる

 Microsoftは、古くから小型のコンピューティングデバイス向けにWindows CEというOSを提供してきた。通信機能を持たない、PDAと呼ばれた機器が主流の頃から、市場を開拓してきたいわば老舗である。日本のスマートフォン市場の礎を築いた、ウィルコムとシャープの「W-ZERO3」もOSはMicrosoftのWindows Mobileだった。

 しかし、Windows CEの流れをくむWindows Mobileは設計思想が古く、iOSやAndroidと並べて比較されると、ユーザー体験という点で大きく見劣りしていた。Windows Mobileを搭載したスマートフォンは、ビジネスユーザーやパワーユーザーなどから一定の支持は得たものの、iOSやAndroidのように広まることはなかった。

Photo スマートフォン市場を席巻するポテンシャルを持つMicrosoftのWindows Phone 7。写真はWindows Phone 7を搭載したHTCの「HTC HD7」

 その反省を元にMicrosoftが開発したのが、「Windows Mobileのバイナリは1ビットたりとも使用していない」というまったく新しいモバイル端末向けOS、Windows Phone 7だ。

 Windows Phone 7を搭載した端末は、日本国内では発売されていないことから、iOSやAndroidに比べて存在感が希薄だが、これまでのWindows Mobileを根本から見直し、フルスクラッチで設計し直された、スマートフォン時代に即した最新OSだ。

使う人を迷わせない、分かりやすいUI

 Windows Phone 7は、開発コード名を「Metro」といい、大都市の地下鉄の路線図のように、“初めて来た人でも目的地にたどり着ける”ことを目指して開発されている。ユーザーを迷わせず、目的とする機能やコンテンツに案内できるのが特徴となっている。

 待受画面のロックを解除してホーム画面を表示させると、そこには「Live Tiles(ライブタイル)」という名の基本メニューが現れる。Live TilesはWindows Phone 7の“顔”とも言える部分で、「People」「Pictures」「Games」「Music + Video」「Marketplace」「Office」という主要な機能をまとめた6つの「Hub(ハブ)」と、アプリケーションのアイコンが正方形、もしくは長方形のパネルとしてタイル状に並ぶ。

 このHubやアイコン、パネルはそれぞれアプリやWebサービスと連携しており、必要な情報を適宜表示するほか、詳細画面にも簡単にアクセスできる。例えばPeople Hubからは自分のソーシャルネットワーク上の友人アクティビティが確認可能。電話機能なら不在着信の数、Gmailアプリなら未読メールの件数などが随時更新される。またXbox LIVEのゲームとZuneの音楽・ビデオサービスなど、Microsoftがすでに展開している各種サービスとの連携を深めているのもポイントで、すべてのWindows PhoneにはBing検索のためのハードウェアボタンが用意されている。

PhotoPhotoPhoto Windows Phone 7は、左のLive Tilesに普段よく見る情報やアクセスする機能を集中配置する独自のUIが特徴。次期バージョンのWindows Phone “Mango” では、知人のSNS上での発言やメールの履歴などが一元管理できるPeople Hubが強化され、よくやりとりをする人たちを集めてグループを作ったりできる。もちろん検索エンジン「Bing」も活用できる

 カラフルなアプリのアイコンが整然と並ぶiOSや、ウィジェットやショートカットを自由に配置できるAndroidとは異なり、一番よく見るホーム画面を、シンプルなタイル状の「情報」をベースに構成するのが大きく異なる点だ。

 またHubやアプリを開くと、各階層に細分化された情報が、左右にスクロールできる横長のPanoramaインタフェースにより美しく整理されている。画面の右端に次の画面の情報がほんの少しはみ出して表示されることで、次の画面に何かあることが想像でき、自然と指をスクロールさせることができる秀逸なインタフェースだ。こうしたUIは、iOSともAndroidとも異なる形で、快適で分かりやすい操作感を実現しており、Windows Phone 7の最大の魅力と言える。

スペックの一部はMicrosoftが規定、アプリ開発はSilverlightで

 ハードウェアは、Microsoftが基本構造を規定しており、CPUやディスプレイ解像度など、必要条件を満たさないと端末を製造できない半垂直統合モデルを導入している。iOSほどではないものの、ソフトウェアの互換性は確保しやすく、部品を画一化するので、メーカーの調達コストを抑えられる。Androidのような端末のフラグメンテーション(断片化)も避けることが可能だ。

 このWindows Phone 7を搭載した端末は、2010年10月に欧州とアジアの一部地域で発売され、米国でも同年11月にリリースされた。残念ながら日本ではまだ発売されていないが、この秋には、いよいよ国内でも発売されそうだ。そして、Windows Phone 7は日本、そして世界のスマートフォン市場のシェアを大きく変えるポテンシャルを持っている。

 Windows Phone 7のアプリ開発にはSilverlight、XNA、Visual Basicを利用する。Silverlightは、Microsoftが開発したWebアプリ開発のために設計されたアプリケーション開発フレームワーク。Webブラウザ上で動画を再生する際などに利用されているケースが多いが、もともとSilverlightは「RIA(Rich Internet Application)」開発用のプラットフォームで、軽快に動作する美しいUIを持ったアプリが比較的短期間で制作できるという。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.