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» 2011年08月29日 15時30分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:スマートフォンと青少年の関係

スマートフォンのユーザー層が広がり、高校生など青少年の“ガラケー”ユーザーも、スマートフォンへと乗り換えている。インストールできるアプリの自由度が高いスマートフォンだが、健全化という視点で見れば、キャリアやサービス事業者の手が及ばないという一面もある。

[小寺信良,ITmedia]

 スマートフォンの普及につれて、子供たちも高校生ぐらいから徐々にスマートフォンへの乗り換えが始まりつつある。いわゆるガラケーとは違うもの、あるいはガラケーではできないことがやりたいという感覚ではなく、ケータイの新機種として買っているだけのように見受けられる。

 筆者の娘がスマートフォンに機種変する際に気にしていたのは、これまでのケータイメールアドレスがそのまま使えるのかどうか、携帯電話と同様の絵文字が使えるかどうか、というところである。ベーシックなコミュニケーションツールとして、互換性というのは重要な問題だが、ビジネスユーザーではない高校生の場合、そのほかの機能は「その他諸々」という感覚であるのかもしれない。

 ケータイメールに関しては、各端末ともSMSやMMSアプリを搭載しており、過去のメールアドレスも使用することができる。特にSMSのほうは、今年7月13日より4社間で相互接続できるようになったので、利便性も高まっている。

 またスマートフォンのアプリでは、SMS/MMSのやり取りがチャット的な見え方をするので、やりとりの状況が把握しやすい。スクロールもなめらかで過去の発言も簡単にさかのぼれるので、視認性の悪さから発生する誤解、さらにそこから派生するケンカも減少するだろう。

 絵文字に関しては、iPhoneの初期段階では対応していなかったが、2008年末のiOS 2.2から使えるようになった。この段階では子供というよりも、女性からのリクエストが強かったのだろう。厳密に全く同一のイメージが送られるわけではないが、感情を示すエモティコンとしては、ほぼ同じ意味のアイコンに変換されて表示される。

 Androidは後発ということもあって、対応は早かった。さらに独自にIMEがインストールできるため、NTTドコモ専用の絵文字も入力することができるなど、拡張も進んでいる。

「カカオトーク」で試されるスマートフォン市場

 スマートフォンの特徴として、Wi-Fi接続+自由なアプリインストールによって、通話やチャットのようなコミュニケーションが拡張できる点がある。Skype、Viberといったツールは、震災時に通話規制されているときも使えたとして、評価が高まっている。

 しかしその一方で、簡単に登録でき、赤の他人と簡単に1対1のコミュニケーションができるという性質は、方向性を誤ると新しい出会い系ツールに化ける。

 「カカオトーク」は前出のようなチャットを実現するアプリで、iOS/Androidの両対応だ。電話番号を入力すると、SMSに認証コードが送られてくる。認証コードが合致すると、それだけで利用可能になる。

photophoto 「カカオトーク」のチャット画面(左)。プロフィールには電話番号とIDしか乗っていないが、サーバには実名も抜かれている(右)

 ユーザーIDは、自分で好きなものを決めることができる。話したい相手とは、このユーザーIDを入力するか、相手の電話番号か、相手の実名で探すことができる。登録時には実名を入力した覚えはないが、サーバ側に電話番号とひも付いた実名も一緒に引っこ抜かれているということだろう。

 facebookのように実名から相手が探せるのは便利ではあるが、オープンなコミュニケーションならともかく、1対1の会話ツールでこれをやられると面倒なことになりがちだ。周囲から見られているという抑制が効かなくなるからである。

 さらに懸念されるのは、App StoreにしてもAndroidマーケットにしても、アプリの評価欄にIDを載せることで、そこだけがまるで出会い系サイトの掲示板みたいなことになっている点である。正直ここで何らかのトラブルが起こるのは、時間の問題だろう。

photo App Storeのレビュー欄が掲示板化

 これまで携帯キャリアやサービス事業者は、自分たちの責任のおよぶ範囲において健全化に向けて努力してきたが、これらアプリの公式サイト運営者、すなわちOS開発会社まで巻き込んでの運動にはなっていない。Apple、Google、もう少しすればそこにMicrosoftが加わることになるかもしれないが、そうなればいわゆるネットの“三大めんどくさい外資系企業”を相手に、なんとかならないかとお願いしていくことになる。それでらちがあけばいいが。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は津田大介氏とともにさまざまな識者と対談した内容を編集した対話集「CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ」(翔泳社)(amazon.co.jpで購入)。


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