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» 2012年06月19日 00時00分 UPDATE

「auスマートバリュー」の利用率は全国の2倍――関西で進むスマホシフトの舞台裏 (1/2)

固定通信とスマホをセットで割り引くKDDIの「auスマートバリュー」が、100万契約を突破するなど好調だ。中でも特に利用率が高いのが関西エリア。関東と比べてスマホ普及率は低いが、「スマートパスポート構想」は全国でも特に支持を集め、順調にスマホ率が伸びている。

[田中聡,ITmedia]

 KDDIが6月18日、大阪でauプレスカンファレンスを開催し、同社理事 コンシューマ関西支社長の甘田純一氏が関西地区におけるauの現状を説明した。

 auの関西地区における純増数は、2012年4月と5月で連続1位となった。甘田氏は好調の要因を「iPhoneやGALAXY、Xperiaなどスマートフォンの人気機種のラインアップが増えてきたこと」に加え、「3月に開始した『auスマートバリュー』が大きな強みになっている」と説明。「auスマートバリューは関西の市場環境にマッチした“最強バリューセット”としてご好評いただき、多くのスマートフォンユーザーを獲得できた。この勢いをさらに加速させていきたい」と意気込んだ。

photophoto KDDIの甘田純一氏(写真=左)。2012年4月と5月に純増1位となったKDDI。ちなみに全国に比べてもともとauのシェアは高く、全国の28.3%に対し、関西では32.5%を占めている

料金に厳しい関西人だからこそ受け入れられたauスマートバリュー

 auスマートバリューが多くのユーザーに受け入れられている背景には、スマートフォンへ乗り替える際に、多くのユーザーが「利用料金の安さ」を重視していることが挙げられる。KDDIが携帯3キャリアのユーザーを対象とした意識調査を実施したところ、関西では約2割のユーザーが「現在契約中のキャリアに不満がある」と回答した。その理由は「利用料金」が35.9%で最も高く、次いで「本体価格」「料金プラン」(いずれも29.7%)が多い。毎月の通信料金については32.1%が「高い」、55.8%が「どちらかといえば高い」と答えており、計87.9%の人が毎月のコストに不満を感じていることになる。次に、「スマートフォンに変更していない理由」を聞いたところ、関西では62.2%のユーザーが「利用料金」、54.5%のユーザーが「本体価格」を挙げており、ここでもコスト面での不安がネックになっていることが分かる。また、「スマートフォンを使いこなせるのか、セキュリティに不安がある、操作が難しそうだ……といった点を心配する声が挙がっている」と甘田氏が話すように、重要なのは料金だけではない。

 「料金・価格」「通話品質とエリア」「サービス」という3つのニーズを満たすべく、「リーズナブルな料金」「携帯と固定を組み合わせた、どこもでも快適につながる安心・安全のネットワーク」「さまざまなアプリやコンテンツを楽しんでいただけるサービス」を提供していくと甘田氏は話す。そこで発表したのが、マルチユース、マルチデバイス、マルチネットワークの3M戦略を実現する「スマートパスポート構想」だ。その第1弾として「auスマートパス」と「auスマートバリュー」を開始し、「お得に快適に、楽しくスマートフォンをご利用できる環境を整えてきた」(甘田氏)。

photophotophoto 関西では料金に対して不満を抱いているユーザーが特に多い(写真=左、中)。料金、エリア、サービスの面からユーザーの満足度を上げるために考案したのが「スマートパスポート構想」だ(写真=右)

 あらためておさらいすると、auスマートバリューはauスマートフォンで「ISフラット」または「プランF(IS)シンプル」を利用し、auひかりなど対象の固定通信サービスに加入すると、毎月の利用料金が1480円割り引かれるというもの。甘田氏は「加入者から声を集めると、『ケータイとプロバイダの料金の見直しを考えていたが、必要なくなった』『1月の通信費を把握しやすくなった』『スマートフォンに変えて高くなると考えていたけど、逆に割安になった』という喜びの声も聞こえてきた」と手応えを話す。

 関西はブロードバンド各社の激戦区ということもあり、月々3000円台からサービスを提供している固定事業者も多い。こうした固定サービスのユーザーがauスマートバリューでスマートフォンに乗り替えると、家族3人で月々4440円(1480円×3)の割引となり、固定の月額料金が無料になる計算だ。この分かりやすいメリットが「料金に敏感な関西のユーザーを後押ししたのでは」と甘田氏はみる。「関東よりも関西の方がコスト意識が高い方が多い。価値が理解できないと飛び付かないが、逆に丁寧に説明してメリットを理解いただければ、使いたいという人は多い」(甘田氏)

 auスマートパスは、月額390円でKDDI指定のアプリが使い放題となるサービス。その中にはクーポンやウイルス対策アプリなども含まれる。甘田氏は「初心者から上級者まで安心してスマートフォンを使いこなせるサービス」と自信を見せる。auスマートバリュー/auスマートパスは「新規ユーザーにauのサービスを強く後押しでき、既存auユーザーにもauでよかったと実感していただけるサービスなのではと思っている」(甘田氏)

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 KDDIの調べによると、関西のauユーザーのうち86.7%が「auユーザーで満足している」、96%が「auスマートバリューに満足している」と回答したという(写真=右)。興味深いのが、携帯3キャリアのユーザーのうち「スマートフォンからフィーチャーフォンに戻りたくない」と感じているユーザーは関東が85.9%であるのに対し、関西の方が92.2%と多いこと。ここは後述する、auスマートバリューの関西地区での利用比率が高いことが少なからず影響しているのだろう。

CATV事業者とのアライアンスでauスマートバリューの周知を強化

 auスマートバリューの利用動向について、もう少し詳しく見ていこう。auスマートバリューの利用率(スマートフォンに占めるauスマートバリュー適用回線の割合)は、全国の中でも関西地域が特に高く、全国を100とすると関西は182で約2倍の差がついている。関東地域と比べても約1.7倍高い。auスマートバリュー契約におけるau新規契約の割合も全国比で約1.3倍、関東比で約1.6倍で多い。関西のスマートフォン化を推進するとともに、2012年5月時点では、全auスマートフォンユーザーの割合が、2011年5月から約5倍に増加したという。ただ、スマートフォンユーザーの総数はまだ関東の方が多く、「関東の方が先行していて、関西がキャッチアップしている」(甘田氏)のが現状だ。一方、auスマートパスの利用動向については「関東と関西で大きな差はなく、全国で平均的に伸びている」(KDDI コンシューマ関西支社 コンシューマ営業部長の齊藤裕弘氏)という。ARPU(1ユーザーあたりの毎月の利用料金)についてもフィーチャーフォンは関東の方が高いが、フラット型プランがほぼ前提となっているスマートフォンでは関東と関西で大きな差はないようだ。

photophotophoto auスマートバリューは関西ユーザーが特に積極的に活用しており(写真=左、中)、スマホユーザー増に貢献した(写真=右)

 「MNPも関東と比較して関西がかなり強い。スマートバリューが好調の大きな要因になっている」と甘田氏は説明する。auスマートバリューとau新規契約者におけるMNPの割合は、全国100に対して関西は106、関東100に対して関西は113との結果も出ている。MNPについてはラインアップの拡充も効いている。MM総研が2012年5月9日に発表した調査によると、魅力ある端末メーカーにApple、シャープ、富士通(東芝)、ソニーモバイル、Samsung電子、NECカシオが挙がったが、これら6社のスマートフォンをすべて供給しているのはauのみ。「auスマートバリューでauに移りたいけど、欲しい端末が他社にしかない……」といった状況が起こりにくいわけだ。「もしiPhoneだけを訴求していたら、ここまでMNPは好調ではなかったはず」と齊藤氏は話す。auスマートバリューと端末ラインアップの相乗効果がユーザー増につながったといえる。これは関西に限らず全国に言えることで、人気端末の傾向も関東と関西で大きな差はないという。

 なぜauスマートバリューは関西で特に支持されたのか。料金に厳しい関西人のニーズにマッチしたことに加え、関西圏のブロードバンドサービスの約半分がauスマートバリューの対象事業者であることも大きい。「関西の提携会社10社とauひかりを含めた11社を利用している約540万世帯のお客様が対象になる」(甘田氏)

 加えて、KDDIは光サービスのケイ・オプティコム(eo光)、ケーブルテレビではJ:COM、明石ケーブルテレビ、KCN、KCN京都、ZTV、テレビ岸和田、BAN・BANネットワークス、姫路ケーブルテレビ、Baycomの計10社とアライアンスを組んでおり、KDDIとFTTH/CATV事業者が互いにサービスを訴求している。例えばFTTH/CATV事業者は自社のコマーシャルチャンネルでauスマートバリューを紹介するほか、J:COMやケイ・オプティコムなどは地上波のCMでauスマートバリューを紹介することもある。さらに、「auショップでCATV事業者のスタッフが、自社サービスをauスマートバリューとあわせて来店者に紹介する取り組みも行っている」(KDDI コンシューマ関西支社 コンシューマ営業部 販売促進グループ 課長の糸山新一郎氏)という。その結果、固定通信を利用していない人が、auスマートバリューで固定通信とスマートフォンを同時に契約するケースも多いようだ。関東のauスマートバリューではauひかりが契約に占める割合が多いが、関西では「集合住宅にのみ対応しており(戸建タイプは提供していない)、エリアも関東に比べると狭いので、FTTH/CATV事業者とのアライアンスでカバーしている」(糸山氏)。

※初出時に「auひかりが集合住宅に対応していない」旨の記述がありましたが、正しくは「集合住宅にのみ対応している」です。お詫びして訂正いたします(6/19 11:32)。

photophoto 関西のブロードバンド市場は、KDDI、ケイ・オプティコム、CATV事業者でauスマートバリュー加入対象者の50.3%を占める
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