2013年度中には150Mbpsまで高速化したい――KDDI石川氏が「4G LTE」の狙いを説明まずは2.1GHz帯、iPhone 5から(1/2 ページ)

» 2012年09月14日 21時05分 公開
[田中聡,ITmedia]

 KDDIが、9月21日から次世代高速通信サービス「4G LTE」を提供する。同社は14日に急きょ記者説明会を開催し、KDDI 取締役執行役員専務の石川雄三氏が詳細を説明した。

MNPによる純増数は11カ月連続で1位に

photo KDDI石川雄三氏

 石川氏はまず「あれから1年」(iPhone 4S発売から1年のことだと思われる)と切り出してこの1年を振り返った。「我々は、スマートフォンをより便利に使ってもらうためにさまざまな努力をしてきた。その1つとしてつながりやすさを強化し、2012年6月にEV-DO Advancedを全国に導入した。これは、混雑している基地局にいる人が、隣の(混雑していない)基地局を利用できる技術のこと。EV-DO Advancedを導入した結果、お客様の体感速度が約2倍に向上した」と説明。また、iPhone 4Sをはじめとするグローバル端末(ほぼiPhone 4Sのことだと思われる)にもEメール(〜@ezweb.ne.jp)や留守番電話サービスの機能拡張などを実施してきた。「Eメールのリアルタイム着信も可能になり、他社(のiPhone)に比べても劣らない。それどころか、一部の機能では我々の方が優位に立っている」と石川氏は胸を張る。

 その結果、KDDIは2012年の総合満足度、スマートフォンの通話品質、スマートフォンの圏外の少なさで満足度1位を獲得できた。またMNPによる転入は11カ月で1位を記録し、約60万人がKDDIに流入したという。スマートフォンにおいて「お客様から要望いただけるサービスは、まずまず提供できたと考えている」と石川氏は手応えを話す。

photophoto 「EV-DO Advanced」を導入したことで、体感速度が2倍に向上した(写真=左)。グローバル端末(iPhone 4S)の機能強化も図ってきた(写真=右)
photophoto コンシューマーの満足度1位を獲得(写真=左)。MNPによる純増において11カ月連続で1位を獲得。auへの転入のうち、8割がスマートフォンだった(写真=右)

当初は2.1GHz帯でサービス提供、75Mbpsは一部エリアのみ

photo 2012年12月から大幅に前倒ししてLTEを開始

 そして9月21日から4G LTEを提供する。KDDIは、2012年12月から当初提供予定だったLTEサービスを今秋に前倒しするとともに、800MHz帯と1.5GHz帯に加え、2.1GHz帯でもLTEサービスを提供することをアナウンスしていた。石川氏は前倒しの明確な理由は述べなかったが、同じく9月21日に発売する「iPhone 5」の登場を見据えたことは明白だろう。というのも、21日時点で利用できる4G LTEの周波数帯は2.1GHz帯のみで、この2.1GHz帯での通信は、当面はiPhone 5のみが対応する予定となっているためだ(参照記事)。なお800MHz帯と1.5GHz帯での4G LTEも、当初予定していた12月から前倒しとなり、まもなく発表されるであろう秋冬モデルのLTE端末(Androidなど)で利用可能になるものと思われる。4G LTEの対応機種について石川氏は「21日時点では1機種」と述べるに留まったが、それがiPhone 5であることは間違いない。

 石川氏は「1.5GHz帯と800MHz帯での4G LTE開始は同時期になる。2.1GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯の3バンドを一気に拡大していく。今年度末には人口カバー率96%を目指したい」と意気込む。4G LTEの通信速度は当面は下り75Mbps、上り25Mbpsだが、2013年には下り最大112.5Mbps、2013年度中には下り最大150Mbpsへと高速化することを明かした。ただ、75Mbpsは一部エリア(空港などの施設)に限られ、開始当初は37.5Mbpsの地域が多くを占める。また、これまでKDDIが2.1GHz帯で使用していた帯域は15MHz幅×2だったが、PHSの制御帯域(5MHz幅)の移動に伴い、新たに5MHz幅をLTE用に使えるようになった。石川氏は「3Gのトラフィックを圧迫することなく、LTE用に10MHz幅×2まで使える。LTEで10MHz幅、3Gで10MHz幅という構成が可能だ」と説明する。

 4G LTE開始当初にどこまでLTEエリアが構築されているのかが気になるが、「当初から政令指定都市はカバーしており、現在急速に基地局を建設している」という。また、auのLTE端末のLTE通信には「オフにする設定はある」(石川氏)そうだが、「オプティマイズドハンドオーバーにより、3Gエリアに入ると瞬時に(3Gへ)切り替わる機能を具備している。できる限りオフにしない形で使ってもらえるようになっている」とのこと。さらに、「既存の基地局に併設していくので、地権者との交渉も少ない」ことから、LTE用の基地局はスムーズに増やしていけるそうだ。「トータルではプラチナバンドでのLTEを提供していくので、このあたりも強みになっていく」(石川氏)

高速CSフォールバックで着信がより速く

 KDDIのLTEサービスでも音声通話は3G網で行うことになる。その際、LTE網から3G網に切り替える「CSフォールバック」という技術を使うが、4G LTEには最新の「eCSFB(enhanced Circuit Switched Fallback:高速CSフォールバック)」という技術を導入し、発信してから着信までの時間が、他のLTEサービスの半分である約4秒で済むという。これは「LTE網で先に信号処理をすることで、3G網にハンドオーバーする際に着信の準備ができているため」(石川氏)。

 この高速CSフォールバックにより、バッテリーの持ちも改善される。CDMAでは音声回線とデータ通信の電波を交互にチェックしていたが、4G LTEではデータ通信(LTE)の電波のみをチェックするため、消費電力を抑えられるという。「緊急地震速報」や「緊急速報メール」の利用時も、従来は待受時とブロードキャスト(同報配信)でそれぞれ電波をチェックしていたが、4G LTEでは待受時の電波をチェックするのみで済む。「ブロードキャストの電波を見に行っていない状態と同じなので、これらのサービスを使っても待機電力を消費しない」(石川氏)

photophoto WIN HIGH SPEEDの下り9.2Mbpsに比べて約8倍の高速化を実現(写真=左)。高速CSフォールバックにより、着信までの時間が短縮される(写真=右)
photophoto 新しいCSフォールバックには省エネ効果もある(写真=左)。緊急地震速報や緊急速報メールも低消費電力で利用できる(写真=右)

LTE端末は全機種5GHz帯のWi-Fiをサポート

 KDDIはEV-DO Rev.A(3G)の通信において、3つの搬送波を1つに束ねることで、3倍の速度を実現する「WIN HIGH SPEED」を提供しており、下り最大9.2Mbpsの通信が可能だ。3G通信においても「高速」にこだわり、auのLTE端末はすべてWIN HIGH SPEEDに対応する。

 Wi-Fiの高速化も進め、auのLTE端末は、2.4GHz帯に加えて5GHz帯もサポートする。KDDIが提供している公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」は20万スポットが設置されており、「一部は2.4GHz帯のみだが、大半のWi-Fiスポットが5GHz帯にも対応している」(石川氏)という。KDDIが自宅用に提供しているWi-Fiルーター「Wi-Fi HOME SPOT」も、2.4GHz/5GHz帯をサポートしており、同社は5GHz帯でのWi-Fi利用を推進している。5GHz帯は2.4GHz帯に比べて帯域幅が広く、現在は利用者が少なく帯域が空いているため、より高速な通信ができる。2.4GHz/5GHz帯のWi-Fi通信に対応する「HTC J」を使ってKDDIが速度テストを実施したところ、5GHz帯での通信の方が、約2倍のスループットが出たという。「実測値でも非常に速いことが実証されている」(石川氏)

photophoto LTE端末の3G通信は下り最大9.2MbpsのWIN HIGH SPEEDに対応(写真=左)。5GHz帯のWi-Fi通信もサポートする(写真=右)
photophoto 2GHz帯と5GHz帯におけるWi-Fiの主な違い(写真=左)。同じ環境なら2.4GHz帯より5GHz帯でのWi-Fi通信の方が高速という結果も出ている(写真=右)

 KDDIは次世代高速通信サービスとしてWiMAXも採用しているが、LTEサービス開始後も、「3GとWiMAXのハイブリッドルーターを提供するといった形で共存していく」と石川氏。スマートフォンの次世代通信はWiMAXからLTEが主役になりそうだ。

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