au版とソフトバンク版「iPhone 5」のバッテリー性能を比較する「iPhone 5」徹底レビュー(3/3 ページ)

» 2012年10月26日 23時04分 公開
[田中聡,ITmedia]
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LTEをオフにして3Gのみで通信した場合は?

photo 「設定」→「一般」→「モバイルデータ通信」からLTEをオフにできる

 au版とソフトバンク版iPhone 5は、LTE通信をオフにして3Gのみで通信することもできる。消費電力を抑えたいときはLTEをオフにした方がよさそうにも思えるが、実際はどうなのか。iPhone 5のLTEをオフにした際の消費電力も調べてみた。まずは先ほどと同じYouTubeの動画再生。10月25日の10時7分に東京都江東区の屋内でテスト開始。場所や条件はLTE通信時と同じだ。なお、今回もソフトバンク版iPhone 4Sのみ緊急速報はオフになっている。

 結果は意外なものになった。連続再生時間はau版iPhone 5が289分(4時間49分)、ソフトバンク版iPhone 5が258分(4時間18分)、au版iPhone 4Sが461分(7時間41分)、ソフトバンク版iPhone 4Sが452分(7時間32分)だった。LTE通信時と比べてau版iPhone 5は19分、ソフトバンク版iPhone 5は41分短かった。Appleが公表しているスペックでは、iPhone 5のインターネット使用時間はLTEと3Gどちらも8時間だが、今回のテストでは少し差が出た。

 特筆すべきは、同じ3G通信でありながら、auとソフトバンク版どちらも、iPhone 5と4Sで3時間ほどの差がついていること。Appleが案内している仕様によると、3Gのインターネット使用時間はiPhone 4Sが6時間、iPhone 5が8時間でiPhone 5の方が長いだけに不可解だ。iPhone 5は4Sからディスプレイの解像度やCPU性能が向上したこと、またテストしたiPhone 4SのOSがiOS 5.1.1だったことが関係しているのかもしれない(iPhone 4SをiOS 6にアップデート後に、バッテリーが持ちにくくなったという声が一部で聞かれる)。

YouTube再生時のバッテリー残量(%)※iPhone 5 LTEオフ時
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 7時間後 連続再生時間
iPhone 5(au) 86 65 42 20(49分後に0) 289分
iPhone 5(ソフトバンク) 81 55 30 8(51分後に0) 258分
iPhone 4S(au) 87 77 61 50 34 23 8(41分後に0) 461分
iPhone 4S(ソフトバンク) 84 76 58 48 32 22 5(32分後に0) 452分
※ソフトバンク版iPhone 4Sのみ緊急速報はオフのまま。

 では待受時はどうか。LTE通信時よりは期間が短いが、10月25日17時13分から26日12時1分まで(計18時間47分)、iPhone 5のLTEをオフにして放置した際のバッテリー残量を調べた。テスト終了時のバッテリー残量は、au版iPhone 5が77%、ソフトバンク版iPhone 5が90%で、こちらはソフトバンク版の方が好結果になった。LTE通信時の同じ時間帯の結果と比べると、au版は10%ほど消費量が多く、ソフトバンク版は17%ほど消費量が少ない。つまりau版iPhone 5は、3G通信時よりもLTE通信時の方がバッテリーが持つことになる。原因の1つとして、先述したLTE圏内で通信をしていないときは無駄に電波を発しない、アイドリングストップの差が効いていることが考えられる。あとはauの3Gの通信速度(RBB TODAY SPEED TEST調べ)が下り1Mbps未満、自宅が上り1〜2Mbpsでやや不安定だったため、頻繁に電波を探していた可能性も高い。ソフトバンク版はLTEをオフにすることで、3GエリアでLTE電波を探しに行かなくなったことが好結果につながったと考えられる。

待受時のバッテリー消費量(iPhone 5 LTEオフ時)
場所 iPhone 5(au)の
バッテリー残量(%)
iPhone 5(ソフトバンク)の
バッテリー残量(%)
10/25 17:13 会社 100 100
19:13 100 100
20:13 100 100
21:13 98 100
22:13 97 100
23:13 95 100
23:30 移動 記録なし 記録なし
10/26 1:01 自宅 92 98
6:49 85 94
10:01 81 91
11:01 78 91
12:01 77 90

photo 待受時のバッテリー消費量(iPhone 5 LTEオフ時)

※参考:テスト場所の通信速度
iPhone 5(au) iPhone 5(ソフトバンク) iPhone 4S(au) iPhone 4S(ソフトバンク)
LTEオンでLTE通信 LTEオフで3G通信 LTEオンでLTE通信 LTEオフで3G通信 3G通信 3G通信
自宅(東京都江東区) 下り(Mbps) 10.98 1.79 25.12 6.30 1.72 5.45
上り(Mbps) 7.71 0.97 8.50 1.23 1.29 1.11
会社(東京都港区赤坂) 下り(Mbps) 5.90 0.28 4.45 3.85 0.31 3.09
上り(Mbps) 6.19 0.38 0.55 0.52 0.74 1.36
※それぞれ3回計測した平均値を掲載。

 今回のテスト結果をまとめると以下のとおり。

  • LTE通信中のスタミナは、au版とソフトバンク版iPhone 5どちらも互角
  • 待機中のスタミナはau版iPhone 5の方が上
  • iPhone 5とiPhone 4S(iOS 5.1.1)を比べると、通信中と待機中のスタミナ、どちらもiPhone 4Sの方が上
  • LTE通信中と(LTEをオフにした)3G通信中のiPhone 5のスタミナを比べると、LTE通信中の方がやや上
  • LTEエリアのiPhone 5と(LTEをオフにした)3GエリアにおけるiPhone 5の待機中のスタミナは、au版はLTEエリア、ソフトバンク版は3Gエリアの方が上

 繰り返しになるが、上記の結果は通信環境によって変わることがあるので、あくまで一例としてとらえてほしい。ともあれ、同じiPhoneでも世代や通信キャリアによって、バッテリーの持ちが変わることがあらためて分かった。au版とソフトバンク版のiPhone 5どちらを購入するか迷っている人は、LTEは圏内か、3Gは通信しやすいか、といった点を可能な限り確認しておくといいだろう。この冬にはLTEスマートフォンが続々と登場するが、それらと比べてiPhone 5のバッテリー性能はどうなのか、といった点も後日検証したい。

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