多色展開でデザインにも注力――ZTE、5インチフルHD+クアッドコアの「Grand S」発表2013 International CES(1/2 ページ)

» 2013年01月09日 22時00分 公開
[田中聡,ITmedia]

 ZTEが1月8日(現地時間)、米ラスベガスで開催されている「2013 International CES」にて、新型スマートフォン「ZTE Grand S(以下、Grand S)」を発表した。

 Grand Sは、高精細なフルHD表示(1080×1920ピクセル)対応の5.0インチディスプレイを搭載したAndroid 4.1のスマートフォン。このCESで発表された新機種のうち、Sony Mobileの「Xperia Z」、Huaweiの「Ascend D2」がフルHD液晶を備えており、ZTEもこれに続いた形だ。プロセッサーには1.7GHzのクアッドコアCPU搭載の「Snapdragon S4 Pro APQ8064」を採用。投入地域によってはLTE通信もサポートする。サイズは69(幅)×142(高さ)×6.9(厚さ)ミリ。メモリはROMが16Gバイト、RAMが2Gバイト。Grand Sはまず2013年第1四半期に中国で発売され、その後米国で発売される予定。日本での発売は未定。

photophotophoto 「ZTE Grand S」

 ZTEは、これまでGrandシリーズとして「Grand Era」「Grand X」をリリースしてきたが、Grand Sが最上位モデルであり、その次にEra→Xと続く。SはEraとXの要素を含むもので、「芸術と技術が完ぺきに融合したもの」と同社は紹介している。ZTE副社長兼CTOのカン・ユラン(Kan Yulun)氏は「ZTEはLTEの技術を多数保有しており、TD-LTEとFDD-LTEに対応した世界初のスマートフォン・Grand Eraを投入した。IDCの調査によると、ZTEは(2012年第3四半期に)世界4位のスマートフォンメーカーになった」と、LTEやスマートフォンビジネスの手応えを話す。Grand Sについては「クアッドコアCPUとフルHDディスプレイを搭載したフラッグシップ端末。すべてを兼ね備えたオールインワンモデルだ」とアピール。このGrand Sを投入することで、「モバイル業界で新たなリーダーになりたい」と語った。

photophoto ZTE副社長兼CTOのカン・ユラン氏(写真=左)。Qualcommのプロセッサーを搭載していることもあり、発表会にはQualcommのシニアバイスプレジデント、ラジ・タルリ(Raj Talluri)氏も登壇し、「QualcommのLTEモデムの技術を用いることでユーザー体験が向上する。省電力性にも優れている」などと話した(写真=右)
photo Grand Sのデザインコンセプトについて説明するリキシン・チェン氏

 ZTE CEOと北米の社長を務めるリキシン・チェン(Lixin Cheng)氏は「我々は、米国、中国、そして全世界で革新的なビジネスモデルを作りたい」と話し、米国で培った技術を起点にし、中国そして世界に製品を届けていくとした。「米国のパートナーとより密に協業していきたい」とチェン氏は話し、米国市場で引き続き積極的に展開する姿勢を示したが、日本市場への言及はなかった。

 ZTEのスマートフォンといえば、これまでは万人に使ってもらうことを意識してか、デザインの尖ったモデルが多かったように思える。しかしGrand Sでは同社のデザイン哲学をより明確に打ち出し、攻めの姿勢が感じられる。ZTEのデザインにおけるキーワードは「親新簡思」の4文字。親近感(人に対して優しいか)、新しさ(革新的なデザインであるか)、簡単さ(無駄を削ぎ落としているか)、思慮深さ(ユーザーのことを考えているか)……といった要素を重視する。グローバルチーフデザインディレクターのハーゲン・フェンドラー(Hagen Fendler)氏によると、ZTE製品のデザインの根底には、水が流れる様子をイメージした“デジタルプール”という概念があるという。また、外形が“張った状態(Tension)”からも着想を得ており、ここからGrand Sの丸みのあるボディができあがった。

photophoto デザインについて説明するハーゲン・フェンドラー氏(写真=左)。ZTEのデザイン哲学(写真=右)
photophoto “デジタルプール”や“張りのある形状”からデザインの着想を得ている

 5インチながら、幅が69ミリに抑えられているのも特筆すべき点だ。幅3.14ミリという非常に細いフレームを使ったことで、全体的に細いボディが実現した。厚さも6.9ミリとスリムなので持ちやすい。ディスプレイ面を浮かせた構造、アルミ素材を採用したサイドキー、別パーツとして組み合わせたカメラ周辺部分など、ディテールにもこだわった。こうしたデザインへの取り組みが認められ、ドイツのiFデザイン賞を受賞した。ちなみにリアカバーは取り外せないので、バッテリーは交換できない。バッテリーの容量は現時点では公表されていない。

photophotophoto 3.14ミリのフレームを採用することで幅を69ミリに抑えることに成功(写真=左)。厚さは6.9ミリ(写真=中)。ディスプレイ面が浮かび上がっているのもアクセントに(写真=右)
photophotophoto 裏側にカーブをかけて洗練された印象に
photophotophoto カメラ周辺のパーツが立体的に見えるように工夫した(写真=左、中)。ドイツのiFデザイン賞を受賞した(写真=右)

 海外向けスマートフォンでは珍しい、7色ものカラーバリエーションも目を引く。詳細な色名は公表されていないが、ブラックとホワイトといった定番色に加え、イエロー、レッド、ピンクなども用意する。また質感についても、光沢感のあるグロッシーなものと、光沢感のないマットなもの両方を、カラーごとに用意することも可能だという。ただし発売する地域によって、提供する色や質感などのバリエーションは異なるとのこと。

photophotophoto 中国のインクから着想を得たという本体カラー。5層のコーティングが施されている

 カメラは13Mピクセルのものを備え、HDR撮影、パノラマ撮影、笑顔認識などの機能を利用できる。クルマと連携する「ドライブモード」にも対応し、道案内やハンズフリー通話などが可能だ。

photophoto iPhone 5やGALAXY S IIIをしのぐ440ppiを実現(写真=左)。Dolby Mobileもサポート(写真=右)
photophoto 多彩な撮影機能を持つ13Mピクセルカメラ(写真=左)。カーナビのように活用できる「ドライブモード」(写真=右)

 スリムで丸みを帯びたボディ、細部にわたるパーツへのこだわり、そして多色展開は、日本を意識したものでは? と思えるほどの出来だ。これでFeliCaや防水などをサポートすれば、日本でも十分受け入れられると思うのだがどうだろうか。5インチフルHD+クアッドコア搭載機は今後さらに増えるだろうが、Grand Sは、こうした基本スペックとデザインを含め、トータルで勝負できる端末だと感じた。日本への投入にも期待したい。

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