KDDI回線を選んだ理由、端末へのこだわり、そして“iOS 8問題”――「mineo」の狙いと反響MVNOに聞く(1/2 ページ)

» 2014年10月24日 00時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 MVNOとして、初めてレイヤー2接続の形でKDDIの回線を利用したケイ・オプティコム。同社は、「mineo(マイネオ)」というブランドをモバイルサービスを行っているが、関西では有名な電力系の固定通信事業者だ。「eo光」というサービスは、全国区での知名度はないかもしれないが、関西でのシェアは高く、一部ではNTT西日本と互角の競争を繰り広げている。固定通信の分野では、以前から「auスマートバリュー」でKDDIと協力関係にあった。

 ここ1、2年でMVNOが一気に増えているが、そのほとんどんがドコモの回線を使っている。MVNO向けの接続料はドコモが最も安く、その分、エンドユーザーに提示する価格も下げやすいからだ。このような中、mineoは、KDDI回線を使った唯一のMVNOサービスとして話題を呼んでいる。2014年6月にサービスを開始し、まだ半年も経っていないが、ユーザー数は3万5000ほどに上るという。

 端末については、もともとau向けに発売されていたスマートフォンをわずかにカスタマイズした形だが、当初から“自前”で用意していたのも、ほかのMVNOとはやや立ち位置が異なる点といえる。第1弾は京セラ製の「DIGNO M」。第2弾として用意したのが、シャープ製の「AQUOS SERIE」だ。

photo 音声通話付きのSIMや端末も用意し、MNPでの契約もできる

 KDDIのCDMA網に対応したSIMロックフリー端末が市場にほぼ存在しないという事情はあるものの、それ以上の狙いもある。格安スマホをうたうMVNOの端末は、価格の観点で海外メーカーが選ばれることも多いが、あえて日本製の端末にこだわったという。端末は、今後も積極的に拡充していく方針を取る。

 では、ケイ・オプティコムは、なぜあえて“割高”なKDDI回線を選んでMVNOに参入したのか。また、端末まできっちりそろえる理由はどこにあるのか。同社の狙いを、MVNO事業を担当する、経営本部 モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田和佳氏に聞いた。

ドコモより接続料の高いKDDIの回線を選択した理由

photo ケイ・オプティコム 経営本部 モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 津田和佳氏

―― まずは、MVNOでモバイル事業に打って出た理由をお聞かせください。

津田氏 検討は1年半以上前からしてきました。スマートフォンが急速に普及する中で、家計に占める通信費はばかになりません。高くてスマートフォンに手が出せない人もいました。私自身も「そこまで使っていないのに、こんなにかかかるのか」という思いがありました。

 MVNOもありましたが、各社はデータ通信が主体で、スマートフォンを一般の人が使うというところまではいっていません。mineoはサービス開始当初から端末や音声通話も用意していますが、そういうものもまだあまりありませんでした。今のスマートフォンをもっと安くできないか。セットにすれば、十分普及できると思っていました。

 関西ではずっとFTTHをやってきて、価格的には業界をリードしてきた自負もあります。それなりのシェアも取れていますが、競争も厳しくなっています。次の新たな柱としてMVNOを始めようと考えたのが、サービスを開始したきっかけです。

―― 以前からauスマートバリューでKDDIとの関係は持っていましたが、KDDI回線を選んだのも、それを生かしたのでしょうか。逆に、接続料はドコモの方が安い中で、あえてKDDIを使う理由はどこにあるのでしょう。

津田氏 おっしゃるように、我々とKDDIさんは以前から協業関係にあります。参入にあたっては、ドコモさんとKDDIさんの両方を検討しました。ただ、すでに先行事業者がいる中で、同じことをやっても埋もれてしまいます。希少価値を取って、まずはKDDIさんと組むことにしました。

―― 初のKDDI回線ということで、苦労もあったのではないでしょうか。

津田氏 大変でした(笑)。でも、それは当たり前のこと。KDDIさんにとっても初めてのことで、我々と一緒にルールを作りながらやっていく形になりますからね。ネットワークのシステムがうまくいくのか、業務としてどう回していくのかとったルール作りまで、お互いにやってきました。時間もかかったし、苦労もしています。ご協力もいただいていますが、一方でいろいろな条件を交渉しながら、日々やってきたというところですね。

―― ただ、ドコモと比べるとKDDIは接続料が高く設定されています。コストが増えて事業としては大変になるのではと思います。

津田氏 今はまだ黒字ではありませんが、ある程度のところで採算が取れることは見えています。その目標に向かって、ユーザーの獲得をしているところです。

 また、ドコモさんの方が接続料は確かに安いのですが、それ以外にもサポート費用やプロモーション必要もあります。そこまで考えると、ドコモさんでやった方が安くなるとも一概にはいえません。もちろん、接続料についてはKDDIさんに要望も出しています。

―― なるほど。KDDI回線を使うこと自体がプロモーションになるという考え方ですね。ちなみに、ユーザー数は今、どの程度まで増えましたか。

津田氏 9月末時点で、3万5000ぐらいのご契約をいただいています。認知もまだされていない中で、販路も直販だけとしては順調に行っていると思っています。

今秋にau端末がベースでない新機種も投入

―― 他社を見ると家電量販店に加えて、最近では独自のショップを展開するMVNOも増えています。Web以外の販路は、どのようにお考えですか。

津田氏 それもやっていきますが、いきなり全国では始められません。まずはスモールスタートになりますが、今、各量販店さんとお話をしているところです。11月ごろからは、具多的な形で、まずはトライアルとして広げていきます。

 また、中古端末ショップともお話をしています。我々がサービスを開始して、auの中古端末が少し値上がりしたとも聞いていますが、こちらも11月ぐらいから、我々のサイトとちょっとした連携を入れようと思っています。

 さすがに我々が中古端末を直接販売することはできませんが、こういうところで端末をご購入いただけますと、オススメしていきます。また、中古端末ショップには我々のSIMカードを売ってもらいます。そういう連携ですね。

 今入っている方は、複数台端末を持っていて、MVNOやSIMカードを以前から知っているリテラシーが高めの方です。端末とSIMカードを別々に買う文化も、まだありません。ただ、本当にやりたいのは、今の料金に不満があったり、それが理由でガラケーからなかなか乗り換えられない方に安心して使っていただくことです。ですから、我々としては回線と端末とセットで広げていきたいと考えています。

―― 端末は、実際どの程度売れているのでしょうか。

津田氏 1台目の置き換えをと思っていましたが、契約いただいた方を見ると、複数台持ちが意外と多かったですね。データプランの人だけで見ると、半分以上が別のところで端末を買われているようです。

―― 端末までセットで提供した理由を、改めて教えてください。

津田氏 MVNOは端末も安くて、海外製というイメージがあります。ただ、それで安かろう悪かろうのイメージもあって、「本当につながるのか」「音質が悪いのではないか」「データが途切れるのではないか」と思われている方もいます。ですから、端末は最新機種にこだわり、まずは日本製からスタートしました。

 auのLTEなのでエリアも広い。そういったところで支持を得て、1台目の主要回線としてご契約していただいている方もいます。もちろん、不安なお客様もいて、そういった方は最初はデータプランだけを契約して、1カ月、2カ月使ってから音声プランに入れ替えているようです。また、音声プランでもあえてMNPはせず、しばらく使った上で前の回線からMNPで移ってくる方もいます。

―― 今はau端末と同じモデルですが、今後、mineoならではのものも出てくるのでしょうか。

津田氏 今はDIGNO MとAQUOS SERIEを出していますが、今後もすべてauと同じかというと、すべてがそうではありません。当初は秋と告知していて、少し遅れていますが、年内には何かを出せそうです。今、KDDIさんとは違う端末を、国内メーカーで考えています。

photophoto mineoで取り扱っている「DIGNO M」と「AQUOS SERIE」

―― 国内メーカーですか!? ただ、スケールを考えると、mineo専用に端末を作るのは難しいと思います。とすると、海外にも展開している国内メーカーということになるのでしょうか。

津田氏 ご指摘のとおりで、我々向けにいちから端末を作ることはできません。どこかの国で販売されているものを、カスタマイズして導入します。

―― 「デュアルタイプ」(音声通話あり)と「シングルタイプ」(データ通信のみ)の比率はどうでしょう。

津田氏 大体半々ぐらいですね。

―― その音声通話の比率は、高いと思います。

津田氏 MNPで、切り替えがすぐにできるのが大きいのではないでしょうか。30分ぐらいで回線が切り替わるので、そこは使う人にとって便利です。ほかは数日かかったり、郵送されている期間使えなかったりするので、この違いは大きいと思います。

―― 30分でできるMNPという点を、もう少し詳しく教えてください。

津田氏 他社は店舗側でSIMカードを切り替えてから発送しますが、我々は当初から即時切り替えというコンセプトでやってきました。お客さんにまずSIMカードが届き、Webでクリックした瞬間に回線が切り替わるしくみになっています。

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