日本通信とVAIOが2015年1月に「VAIOスマホ」を投入へ ━━競合ではなく、Xperiaとの棲み分けを狙ったのか:石川温のスマホ業界新聞

» 2015年01月05日 14時55分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 日本通信とVAIOは、モバイル機器に関して協業すると明らかにした。これにより、2015年1月にも、VAIOブランドのスマートフォンを日本市場に投入する準備を進めているという。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年12月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


 日本通信と言えば、日本にMVNOという市場を作り上げてきたパイオニアと言える。NTTドコモとケンカ腰で戦ってきたこともあり、敵も多いが、MVNO市場を根付かせようと尽力してきた姿勢は評価できる。一方、VAIOはソニーにおけるPC部門の不振により、2014年7月1日にソニーから独立。「本質+α」「選択と集中」をキーワードに、長野県・安曇野で製品設計や品質管理を行い、高品質なパソコンブランドとして再生しようとしている。

 今回、日経新聞がスクープし、その後、両社から正式発表があったが、タイミングから見て、どちらかが日経新聞にリークをして、記事化されたのだろう。早ければ1月にも新製品が登場するとアナウンスされているだけに、いまから待ち遠しい限りと言える。

 新製品はAndroidスマートフォンになるというのが有力だ。VAIOという会社組織ができて、まだ半年しか経過していない。Androidであれば、中国や台湾などODMメーカー、EMSメーカーも多いことから、製造は彼らに行わせて、まずはVAIOブランドだけをつけるというかたちになるのだろう。将来的には、VAIOが企画、デザインを行ったモデルが登場する可能性もある。

 この報道を受けて、多くのメディアが「ソニー・Xperiaと競合する」と伝えている。おそらく、ここからは推測となるが、ソニーとVAIOとしては競合になるというよりも「棲み分け」を狙ってくるのではないか。格安スマホ市場が伸びてくる中、ソニーとしても、SIMフリーで安価なXperiaを出すというのはあまり現実的ではない。Xperiaの事業を立て直す中で、プレミアムな路線を目指しているだけに、2〜3万円程度の値付けになる格安スマホでは、あまりに商品のイメージとは合致しない。

 Xperiaは、Androidのなかでも最高峰のブランドと位置づけられており、キャリアからも重宝がられているブランドだ。格安スマホ市場が伸びているからと言って、NTTドコモ、KDDI、さらにはソフトバンクを敵に回してまでも、XperiaブランドでSIMフリー版を投入し、格安スマホ市場に挑戦するというのはあまりにリスキーだ。それならば、キャリアから距離のあるVAIOという会社を使い、VAIOブランドを使って格安スマホ市場に出て行った方が堅実だ。

 ソニーの4Kやハイレゾオーディオなどの技術はXperiaに惜しげもなく投入し、VAIOはパソコンのように、ソニーの技術と言うよりも、安く、手軽な価格で売っていく。まさに、ソニーグループとしても、メガキャリアとLCC向けの商品ラインナップとして、XpeiaとVAIOを棲み分けるというのは理にかなった戦略と言えるだろう。

 将来的に、VAIOのノートパソコンでも日本通信のSIMカードが刺さる可能性もあるかも知れない。しかし、ノートパソコンで通信を行うには、いまのMVNOの料金体系は決して安いとは言えず、あまりユーザーには優しくないだろう。そういった点であれば、MVNOと組むよりも、使い放題でネットワークが使えるUQコミュニケーションズのほうが相性が良いのではないだろうか。

 いずれにしても、パソコンもスマホもVAIOが通信モジュールを搭載できることになったことで、新たな可能性が出てきたと言えるだろう。

© DWANGO Co., Ltd.

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