インタビュー
» 2015年01月21日 08時50分 UPDATE

MVNOに聞く:LTEの接続問題、SIMロック解除義務化、無制限プランと価格競争――IIJにMVNOのアレコレを聞く (1/2)

MVNOのSIMカードを使うと、APNの設定をしたのになぜか通信できないことがある。その理由は? SIMロック解除の義務化や、最近話題の無制限プランはどう考えているのか?――といったMVNOにまつわる話題を、ざっくばらんに聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 MVNOの老舗でもあるIIJ(インターネットイニシアティブ)は、ユーザーとの交流を図る懇親会「IIJmio meeting」を定期的に実施している。「てくろぐ」でも最新OSの対応状況など、積極的に、しかも早くユーザーに情報を開示している。そして東京では1月24日に実施する第6回のIIJmio meetingでは、総合通信基盤局 電気通信事業部 事業政策課 企画官 富岡秀夫氏が登壇する予定だ(大阪では1月17日に実施済み)。

 モバイル通信サービスではデータSIMが2Gバイトで900円(税別)から、音声SIM(みおふぉん)が2Gバイトで1600円(税別)からとなっており、月に7Gバイトまで使える「ファミリーシェアプラン」では最大2枚のSIMカードを追加できる。

 IIJmioの大きなニュースといえば、2014年10月からクーポン(高速通信)のデータ容量を増加したこと。それ以降、楽天モバイル、NifMo、freetel mobile、DMM mobileなど、さまざまなMVNOが誕生した。また、NTTぷららやU-NEXTの無制限通信プランも話題を集めている。

 今回は、よく問い合わせがあるというLTEの接続問題、第6回のIIJmio meetingでも説明する通信品質の検証、そのほか最近のMVNO関連の話題を中心に、ネットワークサービス部 モバイルサービス課 担当課長の佐々木太志氏、プロダクト本部 プロダクト推進部の堂前清隆氏、ネットワークサービス部 技術開発課 リードエンジニアの大内宗徳氏に聞いた。

photo 左から大内氏、堂前氏、佐々木氏

LINEやiPhoneの問い合わせが増えている

―― IIJmio meetingの参加者の反応はいかがですか?

堂前氏 第5回のGPSの話(MVNOのSIMを使うとGPSが使えない?をテーマにしたセッション)は、Ingressが盛り上がっていたので、「そういうことね」ととらえていただけました。「細かいところに突っ込んでいくのはIIJらしいね」というご意見もいただいています。マーケティングのセッション「IIJmioをご利用いただいている人はどんな人?」に共感を覚えていただいた方も多かったようで、これは我々としても意外でした。

photophoto 第5回のIIJmio meetingでは、多くの参加者が集まった。写真は東京会場(写真=左)。堂前氏はプレゼンターとして毎回イベントで登壇している(写真=右)

―― 第3回ではLINEの話もされましたよね。

堂前氏 LINEはずっとお問い合わせをいただいています。問い合わせが多い件は話しておこうと思っています。

―― ほかによく聞かれることは?

堂前氏 GPSの件も、よくお問い合わせいただいています。あとは「通話料金を安くしたい」や、iPhone関係のお問い合わせは非常に増えています。Twitterでも「キャリアプロファイルのアップデートをしても大丈夫ですか?」という問い合わせはよく来ます。ここしばらく感じているのは、iPhoneでMVNO(のSIMを使うこと)は、特に「mineo」さんのこともあって、一筋縄ではいかないということ。心配だねという声も残念ながらあります。

―― Apple側と情報共有はされているのでしょうか?

堂前氏 前回(のIIJmio meetingで)NDAの話をしていましたけど、これはディベロッパー契約したときに(iOSの)β版を使う際のNDAのことで、β版のiOSを使った人は、β版のことを口外してはならないというお話です。

―― アプリ開発者と共有している情報と変わらないのですね。iOSは、バージョンが0.01とか上がるたびに検証していますよね。

堂前氏 そうなんですよ。(2014年の)12月につらかったのは、ドコモのキャリアプロファイル(ドコモ18.2)がアップデートされた後に、iOS 8が8.1.2に上がったことです。おかげで2日連続で何十機種ものテストをする羽目になりました(苦笑)。

―― iOSは、今のところ問題はない。

堂前氏 はい。以前と変わりません。最近よく言われているのが、3GからLTEに接続がなかなか移行しないということ。放っておいて、一度LTEをつかめば、次に電源を入れるときはほぼLTEにつながるのですが……。我々は、そこまで致命的なことだとは思っていないのですが、今まで以上に丁寧にご説明しないといけないと感じています。

佐々木氏 まず3Gで位置情報を登録をして、すぐにLTEへ移行するはずが、なかなか移らない(ことがある)。数分、十数分たてば(LTEに)上がるのですが、そこでの挙動が非常にドキッとする。僕らでもドキッとするということは、お客様にとっては、ある意味不安な挙動に見えているのかなと。

堂前氏 現象だけでも把握しようと、いろいろ調査をしているのですが、正直、ちゃんと数字を出してとか、裏を取ってご説明できるまでの情報は得られていないんですよね。

ネットワークにつながりにくくなる原因は?

―― 3G→LTEへの移行のしにくさは、端末によって差があるのでしょうか。

堂前氏 そこも分からないんですよね。社内に何十台とある端末は、10分もすればつながっています。iPhoneもそれほど問題はないですね。(同じ端末の中に)変な個体が混ざっているのかも、分かっていないですね。

佐々木 お客様がお使いのところでどんな電波を吹いているのか、バンドによってつながったりつながらなかったりするのか……。我々の検証結果と違う挙動と言われても、個体差なのか、環境の問題なのか、別のところに問題があるのかは追い切れません。

 追試をするとか、できる対策を着実にやる以外は、非常に難しいかなと。キャリアブランドで端末を出すときは、社内のラボや電波暗室を使う検査とか、非常に綿密な相互運用性の確認をクリアしています。SIMフリー端末は、僕らとしても一貫して保障してお出しすることはできません。ある意味で逃げられない宿命なのかなと。

 「そこをしっかりやります」という話になって、SIMフリー端末を検証に出せないとか、限られた端末しか日本に入ってこないというのも問題です。ただ、MVNOのSIMでセルスタンバイ問題があったころからすると、着実にメーカーさんもMVNOのことを前提にして、端末を日本でローカライズして発売してくれるようになりました。時間が解決してくれる問題だとは思っているので、できる限りのことをやりながら、少しでも環境がよくなることを期待したいですね。

―― 個人的な話で恐縮ですが、先日、複数のSIMフリー端末でIIJmioのSIMカードを入れ替えながら通信速度を測定していたのですが、「Ascend P7」だけ、なかなかネットワークにつながりませんでした。ひどいときは30分くらいかかることも……。何か原因があるのでしょうか。

堂前氏 原理的にないわけではないんですけど、原理を特定するのは難しいですね。AndroidはiPhoneより分かりやすくて、ログを見ることである程度分かることがあるんですけど、無線通信はAndroidより下のレイヤーにあるベースバンドチップでやっていることが多いので、ログが出ているかはその機種次第です。

―― 接続の問題は、iPhoneとAndroidで発生のしやすさはあるのでしょうか。

堂前氏 どちらもどちらとだと思いますけど、iPhoneは単独であまりにも数が多いので、iPhoneで問題が起こると、すごい問題が発生したようには見えてしまいますね。Androidの出荷数は正直単独だと少ないので、「その機種だけの問題じゃん」となってしまう。「オレ問題ないよ」と言うと、その問題が矮小(わいしょう)化される傾向はありますね。

大内氏 特定機種については、我々で把握している問題があります。「Nexus 7(2013)」のLTE版は、ベースバンドチップが原因かは把握していませんが、APN設定の情報が弊社側の機器に渡ってこないので、接続を跳ねてしまうという現象があります。特定のバージョンのファームからおかしくなったようです(現在のバージョンで問題ないかは未確認)。

photo SIMカードを認識しているのに、通信できなくなる場合もある(※写真はあえて他社のAPNを選んで、同じ状況を再現したもの)

―― 接続問題は、SMS対応の有無や音声SIMかどうかは関係ないのでしょうか。

大内氏 関係ないですね。

佐々木氏 Androidでは、端末側が特定のAPNをつかみに行くことがデファクトになっている場合、まずデファクトで試して、それで失敗したら、次のAPNに接続に行くとか、恐らく変なチューニングがされている中で、ふらふらっと端末の動きがおかしくなる……ということが考えられます。それを突き止めようと思うと、メーカーさんにきちんと調べてもらわないといけません。メーカーさんも全部のMVNOで検証しているわけではないですし、最後は迷宮入りになってしまう。

 それが行き着くところまで行ったのがiPhoneです。キャリアのiPhoneは、SIMを挿したらどういう動きをするか、将来的にはVoLTEが使えるか使えないのかも含めて、すべて内部にプログラミングされていて、それがキャリアプロファイルという形で定期的にアップデートされています。

 極めてオペレーターオリエンテッドな挙動をするので、そういう端末になるほど、ちょっとでも違うもの(MVNOのSIM)に対して、極めて不可解な挙動になってしまう。例えばドコモのSIMを挿すと、dなんとかのアイコンが出たり、Safariにドコモのブックマークが表示されるとか、そういうところも含めて、SIMによってすべて挙動が変わります。オペレーターオリエンテッドな世界観は、面倒なことをしなくていいので便利という面もありますが、僕らからすると、しっくり来ないというか……。

 ここはメーカーさんのポリシーやオペレーターさんとの関係性で決まってくることもあるので、MVNOの利用者が増えるのが一番の道です。利用者が増えれば、(キャリアと同様に)MVNOとも一緒にやっていこうという形になると思うので。

堂前氏 実際は、メーカーさんから端末をお借りして、うちで確認して、あまりにおかしいところがあったら、言うようにしているSIMフリー端末もありますね。うちのTwitterで動作確認情報を随時出しているんですけど、端末発売日にほぼ同時に出るものは、だいたい事前にお借りしています。

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