MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大150Mbps」「下り最大225Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。
そこで、本企画では各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介している。前回は8月編のドコモ系MVNOの通信速度をリポートしたが、今回はau系MVNOだ。本企画がMVNOサービスを選択する際の一助になると幸いだ。
今回、テストを行ったのは以下のKDDIの回線を使った3サービス。
いずれも下り最大150MbpsのLTEサービスに対応したものを使っている。このうちauのLTE NETはMVNOではなく、auのスマホに通常提供されているインターネット接続サービス。いわば“本家”の通信速度となる。
調査条件は以下の通り。
なお通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再測定とした。
本企画で紹介する通信速度は、時間帯や場所によって大きく変化するので、記事で紹介されている数値を100%うのみにせず、あくまで参考値としてご覧いただきたい。また、測定は前回のドコモ回線の測定のあとに続けて行っており、上記の計測時間帯よりも30分ほど遅い開始時間となっている。
ドコモ回線と違い、KDDI回線の測定は1台の「URBANO L03」を使って順番に行ったため、測定時間は分単位で異なる。すべてのサービスを同時に測定したわけではないことをご理解いただきたい。
今回の測定は8月20日(木)にJR横浜駅西口前、8月21日(金)に東京港区のアイティメディア社内で行った。まずは横浜駅での午前中(9時27分〜9時37分)の測定結果をお伝えする。
最速はUQ mobileで下り平均64Mbpsを超えた。前回の7月編ではmineoが69Mbpsを出しており、午前中は本家よりもMVNOのほうが速い傾向が続いている。ただ、一番遅い本家のau(LTE NET)でも下り平均39.66Mbpsなのだから、十分に高速だといえる。
一方で上りの通信速度は5Mbps前後と、下りほど高い数値はでない。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 9:37 | 64.64 | 5.56 |
mineo | 9:31 | 48.77 | 5.73 |
au(LTE NET) | 9:27 | 39.66 | 4.56 |
続いて横浜駅での午後(13時1分〜13時12分)の測定結果を見ていこう。
ネットワークが混雑し始めるお昼過ぎ。しかしKDDI回線は依然高速。本家au(LTE NET)が下り平均56.41Mbpsでトップになるも、UQ mobileも54.9Mbpsとほぼ同等だ。
一番遅いmineoでも下り平均30Mbps超えなのだから、ドコモ回線と比べれば雲泥の差。また3サービスとも上りの通信速度は5Mbps程度を維持している。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 13:05 | 54.9 | 5.02 |
mineo | 13:12 | 30.29 | 5.09 |
au(LTE NET) | 13:01 | 56.41 | 5.1 |
昼に続いてネットワークが混雑するであろう、横浜駅の夕方(18時34分〜18時44分)に計測。ここで大きな変化が起きた。
MVNOの2サービスは通信速度が急落。昼間のあの通信速度は影も形もない。7月編ではここまでひどくなかったのだが……。もっとも1Mbpsを切らないあたり、昼間は壊滅状態だったドコモ系MVNOよりはマシだろう。
そして本家au(LTE NET)は遅くなったとはいえ、下り平均35Mbps以上とMVNOとは明らかに異なる良好な結果。混雑時は本家が強いのはドコモとauで共通している。
上りの通信速度は3サービスとも低下。上り平均3.46Mbpsでmineoがトップとなっている。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
UQ mobile | 18:44 | 3.91 | 1.87 |
mineo | 18:38 | 1.49 | 3.46 |
au(LTE NET) | 18:34 | 35.65 | 2.9 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.