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» 2010年12月24日 15時25分 UPDATE

元店員が語る携帯ショップの舞台裏:第2回 量販店、専売店、併売店の違いは?――携帯ショップのカギを握る「代理店」

携帯電話はどのような流れで販売されるのか。量販店や併売店、専売店は何が違うのか――。携帯電話の販売に携わったことのある人には常識的な内容だろうが、そうでない人には、何となく分かっているようで明確に答えることは難しいと思う。今回は、携帯電話を販売している店舗の形態や代理店について紹介する。

[2106bpm(K-MAX),ITmedia]

 「ケータイショップ」と一言で言っても、さまざまな店舗が存在します。今回は携帯電話販売の仕組みや販売形態など、一般のユーザーがあまり見る機会の少ない部分を紹介していきたいと思います。これから販売員を目指す方や代理店事業をやってみようと思う方にとって参考になれば幸いです。

携帯電話を販売するには代理店契約が必要

 まずは代理店について。携帯電話を販売するには、まず代理店契約を行わないといけません。代理店には契約相手によって種類(ランクのようなもの)があります。通信事業者であるキャリアと直接代理店契約を交わした代理店を一次代理店(以下、一次店)、その一次店と代理店契約を交わした代理店を二次代理店(以下、二次店)、同様に二次店と契約した代理店を三次代理店(以下、三次店)、それ以下は四次店、五次店となります。いずれの場合も携帯電話の販売(契約の取り次ぎ業務)を行う契約が交わされた後に「代理店コード(販売店コード)」が発行され、どこの店舗で販売されているかをキャリア側でも把握できるようになっています。

photophoto NTTドコモのFOMAサービス契約申込書の右上には「代理店コード」を記入する欄がある。申込書にはこの代理店コードと店舗名を記載することが原則となる
photophoto auの総合カタログには未成年者の申し込み時に必要となる「親権者同意書」が添付されている。右下の販売店使用欄には「受付販売店コード」を記入する欄が設けられている

 一次店であればキャリアとの直接契約になるので、キャリアからの支援金やインセンティブなどがキャリアから直接支払われます。交渉もできますが、それ以降の二次店、三次店となると契約した代理店との条件になるため、条件面のバラつきもあり、二次、三次、四次……となるにつれ、どんどんと厳しい条件になっていきます。

 具体的にどういった面で条件が厳しくなるかというと、顧客管理システムを導入することができず、また在庫が不充分などの理由で、その場での契約や機種変更処理にすぐに対応できないなどです。もちろんインセンティブ(平たく言うと“もうけ”)も少なく、もっと細かい話をすると、モックアップも十分に手に入らなかったりします。機種によってはモックがない場合もあります。また、二次店以降はキャリアではなく代理店との契約になるので、一次店に比べ、直接キャリアとやり取りをする機会が少なくなり、こちらも二次、三次……となるにつれどんどん減っていきます。そのため、特殊な例を除き、四次店以降の契約は“ビジネスとしてのうまみ”がほとんどありません。

photo 各店舗が代理店契約をして携帯電話を販売している。代理店がさらに代理店を持つことで、店舗での販売以外に卸販売が可能になる。店舗運営する場合はその店舗毎の代理店契約となり、それぞれに代理店コード(販売店コード)が発行される。キャリアに近づくにつれ条件面では有利になり、逆にキャリアから離れるにつれて条件面では不利になっていく

 代理店契約は“どこと行うか”で、その事業や店舗の立ち位置が変わってくる重要なポイントです。条件面を考えるとキャリアと直接代理店契約を交わすことがベターです。しかし、携帯電話がまだ普及していない時期はキャリアと直接契約を交わすこともできましたが、成長期を経て現在は市場が飽和状態といわれており、ケータイショップ自体も多く存在します。

 そんな状況下でキャリア自体は新たな代理店を必要としておらず、むしろコスト削減のためにも代理店はある程度淘汰されていくのが現状です。加えて、一次店契約をするためには膨大な保証金が必要となります。必要とする金額や保証金制度を設けているかどうかはキャリアによって異なりますが、キャリアが新たな代理店を必要としていない状況では、保証金ももちろん高額になるわけです。そのため、何年も前からではありますが、一次店になるのは狭き門であり、そこまでリスクを負ってまで新たに代理店契約をして事業を始めるのは豊富な資金力がある限られた企業のみとなります。

販売店の種類と特徴

 上記までの代理店については企業として携帯電話を販売するための第一歩ですが、その契約を元に販売店(ショップ)を運営した場合、販売する商材や店舗の規模によって量販店、専売店、併売店の3つに分類されます。

  • 量販店

 いわゆる“大型の家電量販店”を指します。量販店の中にも「ヤマダ電機」や「コジマ」などの家電系量販店とイオンやマイカルといった流通系量販店があります。また、「ビックカメラ」「ヨドバシカメラ」「さくらや」は3カメと言われ、業界的な分類では家電量販店ではなく大手のカメラ量販店となります(さくらやは2010年2月に閉店)。

  • 専売店

 一般には“キャリアショップ”と言われるもので、「ドコモショップ」「auショップ」「ソフトバンクショップ」「ウィルコムプラザ」がこれに当たります。「ウィルコムカウンター」は他キャリアを販売している場合もあるので、一概に専売店とはなりません。

  • 併売店

 いわゆる“街のケータイショップ”です。扱っているキャリアは店舗によって異なり、ドコモのみしか扱ってないところもあれば全キャリア取り扱っているところもあります。また、ドコモは三次店だけどauは一次店、ソフトバンクは二次店といった具合に、キャリアごとに代理店契約の形態が異なり、店舗で対応できる業務に差がある場合もあります。

 量販店は集客規模が非常に大きく、ほぼすべてのキャリアを取り扱っており、販売台数も多いことが特徴です。ただし量販店といえどもアフターサービスについては取り扱っていないことが多く、基本的には新規契約、機種変更、MNP、買い増しなどが主な業務となっています。店舗の床面積も広いので販売している商材や在庫も多く、周辺機器なども豊富に扱っています。また、一部の量販店では店内に専売店を併設している場合もあります。

 専売店はキャリアのサポートショップという位置付けでもあるので、新規契約や機種変更、買い増しはもちろん、修理対応や料金収納などのアフターサービスも行っています。キャリアの看板を掲げているために“キャリアの直営ショップ”と誤解されがちですが、運営は代理店が行っているショップがほとんどです。キャリア直営ショップも中にはありますが、数は非常に少ないです。ちなみに、ドコモは直営ショップを展開していないため、ドコモショップはドコモの一次店もしくは一次店を介した二次店以降の代理店が運営しているショップとなります。

 併売店は量販店を小さくした感じですが、その店舗形態はさまざまで、店舗の規模や取り扱う商品にも大きな差があります。基本的には主要キャリアは販売しており、周辺機器なども取り扱っています。店舗によってはインターネットプロバイダの取次ぎ業務や携帯電話に直接は関係ない商材など、幅広く扱っているのも特徴です。ただし、量販店に比べ集客面と人材が不足しているところが多く、長時間お店にお客さんがいない状況が発生したり、1人のスタッフが全キャリアを販売したりという厳しい状況が多々発生します。

 また、併売店には各キャリアの顧客管理システムなどが設置されていないのがほぼ前提となっているため、手続きに時間がかかってしまう場合も多いです。もちろんアフターサービスについても対応できる範囲に制限があるため専売店への誘導が行われています。そうした意味では、量販店や専売店に比べ、一番厳しい条件下での運営を強いられています。

 専売店は“キャリアの顔”ともなるため、すでにいくつもの店舗を展開している大手の代理店であっても、専売店より併売店のほうが出店はしやすいです。しかし併売店の弱みはアフターサービスの範囲に限りがあるため、価格競争や周辺機器などの取り扱い商品の面で不利になります。立地条件などを考慮した上で出店するとともに、そのお店独自のサービスや特徴を打ち出し、いかに地元に根付くかがポイントとなります。

 私自身も代理店契約や出店業務に携わった経験がありますが、ケータイショップを始めるまでには多くのステップがあり、また競争に勝っていくためにはどこの代理店になるかが重要です。二次店、三次店の場合、条件の悪い代理店と契約してしまうと競争力が乏しくなってしまい、結局は少しでも条件のいい代理店を探してあらためて契約する、といったことにもなりかねません。逆に一次店や二次店の場合、店舗展開だけでなく、代理店契約をしたい企業への卸業務も可能です。その際、下位代理店に対しての条件面やフォロー体制をしっかりしておかないと、結局は“売れないお店”を作ってしまうことになり、継続した収益を得られなくなります。

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