“枠のない”無限のつながり――「Xperia」で目指した造形美開発陣に聞く「Xperia」(後編)(2/2 ページ)

» 2010年04月21日 08時30分 公開
[田中聡,ITmedia]
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青と白が形成する“フロー”

photo デザイン担当の浜氏

ITmedia Xperiaはグラフィックも独特です。グラフィックユーザーインタフェース(GUI)へのこだわりを教えてください。

浜氏 GUIは、サンフランシスコのオフィスで先行してコンセプトやテーマを決め、ハードのデザインと同じく、ヒューマンカーバチャーやプレシジョンバイテンションというテーマを取り入れながら進めてきました。Xperiaでは、「フロー(流れ)」と呼ばれる青いテーマで統一しています。

ITmedia なぜ青色を採用したのでしょうか。

浜氏 青はフローというテーマで最も美しく、ユーザーに受け入れてもらえる色だと考えました。水が流れるイメージですね。GUIの肝は、我々が「シグニチャーアプリケーション」と呼んでいる、TimescapeとMediascapeなので、コミュニケーションやコンテンツが日々が流れる様子を表現しました。

photo iPhone 3GSとXperia

ITmedia 4.0インチのフルワイドVGA液晶が、GUIの表現力を広げるのに生きた面もありそうですね。

浜氏 大画面を生かした精密な描写ができました。4.0インチはソニー・エリクソンのスマートフォンでは最大サイズです。

鈴木氏 フルタッチ型のケータイは画面が大きな顔になるので、どれだけメッセージやユーザーエクスペリエンスを提供できるかが重要です。(狭額縁設計により)ディスプレイの窓をギリギリまで広げ、iPhoneにあるようなディスプレイ周辺の枠は省いています。これは「インフィニットボタン」が示す、“無限につながること”にも関連しています。

photophoto インフィニットボタン経由で、TimescapeやMediascapeから関連アプリにアクセスできる

ITmedia インフィニットボタンを使うことで、Timescapeからアドレス帳にアクセスでき、音楽コンテンツからYouTube動画を検索できるなど、アプリ間のシームレスな利用が可能になります。ディスプレイだけでなく、コンテンツの枠も取るということですね。

鈴木氏 あくまでユーザーが中心なので、直感的に使えるよう、アプリごとの境をなくすように努めました。ただ、ほかのAndroid端末ユーザーもいるので、完全にはユーザーインタフェース(UI)をカスタマイズしていません。オープンOSの中で、どれだけソニエリらしさを提供できるかを考えました。

ITmedia ホーム画面やメインメニュー、「設定」項目などは、ほかのAndroid端末とほぼ共通ですね。細かいところですが、プリセットされているアプリのアイコンは、ほかのAndroid端末と同じデザインですか?

浜氏 実は主なアイコンは描き下ろしています。「Eメール」「PlayNow」「アラーム」「カレンダー」「メッセージ」「電話」「カメラ」などです。

鈴木氏 我々は「ホワイトアイコン」と呼んでいますが、プリセットしたアイコンはすべて白を基調にしています。白はブルーの中で映えて見やすいためです。ちなみに、フォントはAndroid標準のものを採用しています。

photophotophotophoto 初期状態ではブルーの水面をイメージした壁紙が設定されている。プリセットされているアイコンは白が基調になっているほか、ウィジェットには白と青が使われている(写真=左端、左中)。青地に白文字が使われている画面が多い(写真=右中、右端)

ITmedia Xperiaは壁紙は変更できますが、「きせかえツール」のように、テーマ全体の変更はできません。ここを替えられるともっと楽しくなりそうです。

浜氏 Androidには、そもそも着せ替え機能がないこともあり、まずは新しいユーザーエクスペリエンスの顔を作っていこうと考えました。ただ、着せ替え機能に対する要望も多いと思うので、今後は考えていきたいです。

ITmedia ほかにGUIでこだわったところはありますか?

浜氏 カメラのGUIは独自に起こしています。これまでのソニエリ端末を継承して、さらに発展させました。縦と横でUIが切り替わったり、撮影済みの写真が画面の右下に出たり、動画と静止画をワンタッチで切り替えられたり、といった部分です。

日本でのXperiaシリーズ化の可能性

photophoto 商品企画担当の西村氏(左)と、ソフトウェア担当の長谷川氏(右)

ITmedia 最後に今後の戦略についてお伺いします。海外でX10 miniやX10 mini proが発表されました。恐らく多くの人から聞かれたと思いますが、これらのモデルが日本で発売される可能性はあるのでしょうか。一方で、ドコモ向け端末として展開する際に、Xperiaのようなスマートフォンに絞るのか、BRAVIAケータイなどのフィーチャーフォンも復活させるのか、そのへんの見通しはいかがでしょうか。

西村氏 ソニー・エリクソンの強みを生かして、Androidプラットフォームを主に活用していく考えはありますが、スマートフォンだけに絞るわけではありません。端末についてはいろいろな形を検討しています。まずはAndroidの新しい市場を立ち上げ、ドコモのビジネスを盛り上げたいと考えています。

ITmedia ということは、日本でXperiaがシリーズ化されることも期待できそうですね。

photo フルワイドVGA液晶を利用して、高画質モードのYouTubeを閲覧できる

西村氏 もちろんこれで終わるつもりはありませんが、どういう形で継続するかはまだ決まっていません。

 今回のXperiaは、高速回線や広いエリアなど、ドコモの強みも生きています。YouTubeの動画は高画質モードでも3G回線で滑らかに再生できますし、ディスプレイも高精細です。ハイスペックなハードウェアとドコモの回線が融合することで、リッチなコンテンツも快適に利用できます。日本は世界でも特にXperiaを快適に使える国でしょう。

長谷川氏 エンジニアから見ると、Androidプラットフォームの存在が大きいです。Androidでなければこの時期にXperiaを発売できなかったでしょう。Webを基点に培ってきたサービスのスピード感は、ケータイとは次元が違います。今後も、Androidとソニー・エリクソンの強みを一体で見せていきたいですね。

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