内閣府調査に見る青少年のネット利用実態小寺信良「ケータイの力学」

» 2011年11月21日 16時00分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 内閣府が調査した平成23年度版の「青少年のインターネット利用環境実態調査」が、先月発表された。携帯電話やPCの利用を合わせた青少年のインターネット利用と、保護者の意識調査も含めた総合的な実態調査で、平成21年度から継続的に行なわれている。

 今回はこの調査のうち、筆者がポイントになると思う部分をピックアップして、考察を加えていきたい。詳細なデータは「全文」に載っているが、全体を俯瞰するのであれば「概要(PDF)」で十分だろう。ちなみにこの調査の企画分析会議員に参加されている千葉県柏市立高田小学校教頭の西田光昭先生は、筆者も安心ネット作り促進協議会の企画でインタビューさせていただいたほか、拙著「子供がケータイを持ってはいけないか?」でもお話をうかがっている。

スマートフォン化の流れ

 青少年が持つ携帯電話の種類として、いわゆるキッズケータイ、フィーチャーフォン、スマートフォンの所持比率がこの調査で分かった。平成21年度のデータがないのは、当時はまだスマートフォンの調査していなかったということだろう。

photo 携帯電話の種類。スマートフォンは中学生から所持が始まっている

 感覚としては高校生ぐらいから少しずつスマートフォンの所持率が増えるのではないかと思っていたが、すでに昨年から中学生でもスマートフォンを所持しているようだ。伸び幅としては1年でほぼ2倍といったところだが、大人のスマートフォンへの乗り換え率を見ると、都市部では来春の卒入学シーズンをきっかけに、2倍以上の延びを見せるのではないかと予測する。

 この秋冬で各キャリアの新製品を見ても、フィーチャーフォンのラインアップが著しく減少している。来春にはフィーチャーフォンという選択肢がほとんどない可能性もある。

 青少年のスマートフォンに関しての問題点は、すでに現時点でもいくつか指摘されているが、主なポイントは以下の3つになるだろう。

  1. Wi-Fi網に入られると、キャリアのフィルタリングが役に立たなくなる
  2. キャリア網の利用でも、アプリによってはフィルタリングが機能しないことがある
  3. 青少年にはふさわしくないアプリのインストールが制御できない

 この問題に対して技術的な対処も求められるところだが、ベースの考え方としては、フィルタリングというのは元々万能ではなく、十分なリテラシー教育の体制が整うまでのテンポラリ的な対策であったということを思い出して、フィルタリングに頼らない施策を打ち出す必要がある。

 その一方で現実として対照的なのが、青少年のインターネットのトラブルや問題行動の種類である。

photo インターネットのトラブルで突出している「チェーンメール」

 ここで最多となっているのが、「チェーンメール」だ。ついで「プロフやゲームサイトで知り合った人とやり取りしたことがある」ぐらいだが、1位と2位には大きな開きがある。

 正直言って、チェーンメールの問題などは、ネットいじめや個人情報漏洩、福祉犯罪といったレベルに比べれば、軽い問題に属する。チェーンメールは知り合いからのメール転送なので、一般的なスパムフィルタでは排除しづらいというところもポイントが増えた原因かもしれない。

 さらに「チェーンメルを転送したことがある」のポイントは5分の1程度になっているので、情報リテラシー教育による対策もできはじめていると考えていいだろう。

求められる取り組みに見られる保護者側の変化

 保護者の意識として、「子どものインターネット利用に必要な取組」の変化にも注目しておきたい。

photo 取り組みへの期待は年々微減している

 有害サイトの規制強化、家庭でのルール作りといったところが高いのは例年から変わっていないが、フィルタリングの使用徹底、その他、特にないという項目を除いて、すべての項目でポイントが減少しているというのは興味深い傾向だ。

 これをどのように解釈するかはいろいろあると思うが、筆者の感想としては、保護者も現状のIT社会の現実というか、ありようを受け入れ始めているのではないか、と思う。減少分が「特にない」に積まれているところからも、その傾向を感じる。

 特に小中学校への携帯電話持ち込み禁止、小中学生への携帯電話所持禁止の項目が、持たせない運動がもっとも注目された平成21年度から激減しているのが分かる。その方法論は今の社会のあり方から考えると、意味がないという事に保護者がはっきりと気づき始めたということであろう。

 調査の結果がどうであれ、携帯キャリアやサービス事業者は対策を取る社会的責任があるので粛々と行なっていくだけだが、保護者がネットの利用に対する関心が薄くなることが懸念される。そのあたりは、もっとも保護者と近い関係にある教育機関からのアプローチに期待がかかる部分だ。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia +Dモバイルでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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