もはやスマートフォンでは非対応のものを探す方が難しくなったBluetooth。しかし、対応しているバージョンやプロファイル(接続仕様)は端末によって異なり、接続できる機器とできない機器を見極めるには、しっかり下調べをしておく必要がある。
「ARROWS X F-10D」では、Bluetooth 4.0に準拠したBluetooth機能を搭載している。この規格は「Bluetooth Low Energy」とも呼ばれ、省電力性を重視している。ホスト、クライアントともに準拠していれば、バッテリー消費を抑えられる。ただし、この規格は従来と異なり、古い規格との後方互換性を備えているとは限らないので注意したい。後方互換性を備えない“専用”機器には「Bluetooth Smart」というロゴが、後方互換性を備えている“対応”機器には「Bluetooth Smart Ready」というロゴが付与されるので、判別ができる。F-10Dは「Bluetooth Smart Ready」機器であるため、従来のBluetooth機器も安心して接続できる。
新しいバージョン、古いバージョンどちらにも対応することが分かっても、対応プロファイルもしっかり確認しないといけない。F-10Dが対応するプロファイルは、HID、DUN、OPP、SPP、HSP、HFP、A2DP、AVRCP、HDP、PBAP、ANP、PASPの12種類。「ARROWS X LTE F-05D」と比較すると、「DUN」(Dial-Up Network)、「ANP」(Alert Nortification Profile)、「PASP」(Phone Alert Status Profile)が追加されている。
DUNは、その名の通り、Bluetooth機器からダイヤルアップ接続するために利用するプロファイルだ。PCとの接続はUSBまたは無線LANでのテザリングを使うことが多いだろうが、カーナビでは、DUNを利用して外部からのデータを取得するもあり、その際に重宝するだろう。筆者は残念ながらカーナビを持っていないので、PCからダイヤルアップを試みたが、うまく接続できなかった。
ANPとPASPはBluetooth 4.0で新たに追加されたプロファイルで、対応したデバイスに電話やメールの着信を通知することができる。F-10Dでは標準で通知項目設定が用意されており、端末設定の「通信とネットワーク」→「Bluetooth Low Energy設定」とたどり、「Alert Nortification」をタップすると通知対象のアプリを選択できる。なお、Bluetooth 4.0で追加されたプロファイルの中で、接続した機器を捜索するFMP(Find-Me Profile)や、接近を感知するPXP(Proxlmity Profile)には対応していない。ソフトウェアアップデートなどで対応すると、連携できる機器が増えるのだが……。
オーディオ出力に利用するA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)に関しては、より新しい「aptX」というコーデックにも対応している。Bluetoothをオンにすると、その旨が表示される。このコーデックに対応した出力機器と組み合わせて利用すると、従来のコーデックよりも音声の遅延と途切れが少なくなる上、高音質となる。対応機器を購入する際は、aptXロゴが入っているか確認しよう。
Android 4.0では、OSの標準機能として「Wi-Fi Direct」に対応している。Wi-Fi Directはその名の通り、対応無線LAN機器同士が特別な設定をすることなく直接通信を行える機能で、スマートフォンだけではなく、デジタルカメラやテレビなどでも対応機器が市販されている。F-10Dでは、OS標準そのままのWi-Fi Direct機能を搭載しているので、対応アプリをダウンロードすることで、画像の共有・保存やプリンターへの直接出力などが可能になる。オン/オフの切り替えは端末設定の「無線とネットワーク」項目の「その他」を選んで出てくるチェックボックスをタップすればよい。機能が有効になると、通知画面に通知が出るので、それをタップすることで設定にジャンプすることもできる。Wi-Fi接続やWi-Fiテザリングは同時に利用できないので注意しよう。
なお、メーカーによっては、独自に画像を共有する機能を搭載していることもあるが、F-10Dにその類の機能は一切なく、インストールする対応アプリによって“できること”が決まってくる。
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