富士通が6月28日、NTTドコモに供給する夏商戦向け新モデルの説明会を開催した。ドコモ向けモデルはクアッドコアCPUを搭載した「ARROWS X F-10D」、映像機能にこだわったXi・NOTTV対応機「REGZA Phone T-02D」、ANTEPRIMAとコラボレートした女性向けモデル「F-09D ANTEPRIMA」、ケータイからの乗り換えユーザーをターゲットにしたコンパクトな「ARROWS Me F-11D」をラインアップ。ハイエンドからローエンドまで多彩なモデルを取りそろえて夏商戦に臨む。
富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は「MM総研の調査によると、(日本の)携帯電話販売数は2011年度に4年ぶりに4000万台を超え、12年度以降は4200万台規模で推移すると予想されている。弊社は2011年秋にスマートフォンとタブレットの新ブランド『ARROWS』を発表し、MM総研の調査では11年度のメーカー別シェアでトップをいただいた」と振り返り、好調ぶりをアピールした。「2011年度は800万台を出荷したので今年もそれ並みを目指し、シェア1位も継続したい」(同氏)とした。現時点でiPhoneを発売する意向のないドコモは、夏商戦でAndroidとクラウドを連携させたサービスを中心に展開する。佐相氏は「そういう期待に応えるべく、いろいろな新しい機能やサービスを入れている。富士通の技術がぎゅっと押し込められている。夏モデルではEXILEを起用するキャンペーンも大々的にやる。スマートフォン市場をけん引し、日本市場を元気にできるよう貢献したい」と意気込みを話した。
夏モデルの中で最も高いスペックを誇るのがARROWS Xだ。同モデルに搭載するNVIDIAのアプリケーションプロセッサー「Tegra 3」をアピールすべく、NVIDIAコーポレーション 日本代表 兼 米国本社副社長のスティーブ・ファニー・ハウ氏がゲストとして登場した。ハウ氏は「PCに匹敵するスマートフォンのパフォーマンスを、低消費電力でどう実現するかが課題となっている。それに応えるのがTegra 3だ」と話す。4つのCPUコアを持つTegra 3では、負荷に応じて使用するコアを1つ、2つ、4つに変えられる。さらに、負荷の少ないアプリを動作させる際には5つ目の「コンパニオンコア」が働き、その間は他の4コアが停止するので、消費電力軽減に貢献するとされている。同氏は「Tegra 3は従来のTegraに比べて5倍のパフォーマンスを実現し、CPUはPCクラスの能力を提供できるようになった。GPUは3倍強化された。バッテリーライフも5つ目のコアを追加することで60%まで抑えられる」と進化点を説明する。ちなみに、Tegra 3搭載のスマートフォンやタブレットは世界では発売中だが、NVIDIA関係者によると、「Tegra 3搭載のLTEスマートフォン」はARROWS Xが世界初だという。
性能だけでなく、コンテンツにも注目したい。NVIDIAのゲームポータル「Tegra Zone」ではグラフィックをTegra 3に最適化したゲームも配信しており、「家庭用ゲームと同等の体験を得られる」(NVIDIA担当者)という。現在、Tegra 2/3に最適化されたゲームは30タイトル(うちTegra 3向けは5タイトル)が配信されており、2012年内に50タイトルほどに拡大する見通しだ。
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