ドコモ/au版「Optimus G」を比較する(後編)――通信速度やバッテリーの持ちはどう?(2/2 ページ)

» 2012年11月22日 14時04分 公開
[Sho INOUE(K-MAX),ITmedia]
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通信速度を比較する

 L-01E、LGL21は共にLTEでの通信に対応している。スペック上は下り最大75Mbps/上り25Mbps(ともに10MHz幅利用時の理論値)での通信に対応している。となると、実際の通信速度やエリアの広がりの差が気になるところ。端末そのものの比較から若干外れることになるが、数カ所で通信速度も比べてみた。

 今回測定したのは、東京都足立区にある筆者の自宅、JR上野駅の地上ホーム、JR日立駅から歩いて5分ほど離れた海岸、JR水戸駅から歩いて5分の飲食店の4カ所。このうち、日立駅近くの海岸以外はドコモの「Xi」、auの「4G LTE」ともにマップ上はエリア化されている。日立駅近くの海岸はXiは圏外で、4G LTEはエリア内になっている。計測アプリは「SPEEDTEST.NET」(那覇の計測サーバを利用)と、「RBB TODAY SPEED TEST」の2種類を用い、それぞれの場所で5回ずつPING(応答速度)、下り、上りの通信速度を測定した。さっそく結果を見てみよう。

L-01Eの通信速度(SPEEDTEST.NET※Kbps)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
自宅 PING 108 115 107 120 91 108.2
下り 3296 4685 3552 4344 6325 4440.4
上り 491 1014 925 1016 438 776.8
JR上野駅 PING 168 110 115 102 106 120.2
下り 1336 1926 1696 2811 3482 2250.2
上り 2365 1357 1434 1476 1380 1602.4
JR日立駅近くの海岸(3G) PING 149 159 143 209 158 163.6
下り 2037 1827 815 986 1042 1341.4
上り 598 621 199 134 595 429.4
JR水戸駅近くの飲食店(3G) PING 199 170 908 171 105 310.6
下り 1877 3237 1484 3304 2899 2560.2
上り 1532 1985 1572 1306 1456 1570.2
総平均 PING 175.65
下り 2648.05
上り 1094.7

L-01Eの通信速度(RBB TODAY SPEED TEST※Mbps)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
自宅 PING 186 160 169 164 229 181.6
下り 4.93 4.99 3.25 4.19 4.61 4.394
上り 0.65 0.51 0.23 0.55 0.28 0.444
JR上野駅(3G) PING 243 111 133 969 126 316.4
下り 2.23 3.58 2.1 2.72 4.21 2.968
上り 1.23 0.89 0.91 0.44 1.18 0.93
JR日立駅近くの海岸(3G) PING 207 340 197 260 417 284.2
下り 4.51 2.66 2.02 2.65 1.74 2.716
上り 0.41 0.44 0.41 0.41 0.44 0.422
JR水戸駅近くの飲食店 PING 241 250 138 1029 252 382
下り 1.45 5.32 5.04 3.43 2.46 3.54
上り 0.82 2.2 1.76 1.93 1.97 1.736
総平均 PING 291.05
下り 3.4045
上り 0.883

LGL21の通信速度(SPEEDTEST.NET※Kbps)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
自宅 PING 78 78 79 82 78 79
下り 18618 24229 18711 16275 20700 19706.6
上り 17043 7299 7911 17868 8792 11782.6
JR上野駅 PING 92 83 92 88 93 89.6
下り 9370 8917 9511 9574 19723 11419
上り 15817 11721 17929 17112 17922 16100.2
JR日立駅近くの海岸 PING 95 101 90 95 93 94.8
下り 28372 33297 30467 31864 30614 30922.8
上り 17002 18528 15047 16067 16528 16634.4
JR水戸駅近くの飲食店 PING 110 99 87 102 98 99.2
下り 16608 17119 18495 20211 21772 18841
上り 19000 19301 14883 16819 18455 17691.6
総平均 PING 90.65
下り 20222.35
上り 15552.2

LGL21の通信速度(RBB TODAY SPEED TEST※Mbps)
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
自宅 PING 90 125 196 164 118 138.6
下り 28.45 24.11 29.3 20.92 24.03 25.362
上り 15.17 15.7 5.4 15.97 10.32 12.512
JR上野駅 PING 108 96 139 102 123 113.6
下り 15.38 20.65 15.04 19.04 16.46 17.314
上り 15.03 15 14.22 15.39 15.57 15.042
JR日立駅近くの海岸 PING 184 136 121 115 161 143.4
下り 28.49 25.01 34.87 26.88 25.83 28.216
上り 12.27 11.39 10.96 9.67 13.37 11.532
JR水戸駅近くの飲食店 PING 130 136 119 136 122 128.6
下り 23.03 20.49 18.3 19.92 21.33 20.614
上り 15.95 15.93 15.81 15.96 14.22 15.574
総平均 PING 131.05
下り 22.8765
上り 13.665
※「3G」と書いてある箇所は、LTEではなく3G環境での速度計測となっている。通信速度の単位は「SPEEDTEST.NET」はKbps(キロビット/秒)、「RBB TODAY SPEED TEST」はMbps(メガビット/秒)

 4G LTEに対応したLGL21の方が全般的に良好な結果を残している。これは、まだユーザー数が少ないことと、ドコモのXiと比較して屋外エリアで利用できる帯域の幅が大きいことが奏功しているものと思われる。

 一方、L-01Eの計測結果で気になるのは、まず、速度である。Xiもスマートフォンが登場した2012年冬の時点では、応答速度も通信速度もFOMA(3G)よりも大変良好だった。それが約1年経った今ではユーザー数の増加や、屋外での帯域幅の狭さもあって快適に通信できるような状態とは言いがたい面があるのかもしれない。

 速度以上に気になるのは、地図上はエリア内であるはずの上野駅と水戸駅近くの飲食店で3Gでの通信になってしまったことだ。筆者は検証で利用した2台とは別に、私物の「ARROWS X LTE F-05D」(Android 4.0への更新済み)も通信できる状態で持ち歩いていたのだが、こちらでは、この2箇所でもLTEで通信することができた。検証時に限らず、L-01Eでは本来LTEエリアであるはずの場所で、スリープ解除後、数分〜数十分の間、LTEで通信できない事象がよく見られた。この場合も、F-05Dの方はやはりLTEで通信できていた。

 これは筆者が今まで検証してきたXi端末での挙動面での経験則の話になってしまうのだが、L-01Eも含めてQualcomm製のLTE通信チップを搭載しているXiスマートフォンでは、程度の差こそあれ、このような現象がよく見られる。一方、他社製のチップを搭載している端末(F-05Dや「ARROWS X F-10D」)では、そのような現象は「弱電界」と言われる電波の弱い状態でない限り起こらない。ドコモのXi端末の多くがQualcomm製チップであることを鑑みると、この現象は看過できないはずなのだが……。

バッテリーの減り方を検証する

 L-01EとLGL21は、ともに2210mAhの容量を持つバッテリーを搭載している。前者は静止時のLTEエリアでの連続待受時間が約320時間、後者はLTEエリアでの連続待受時間が約420時間。いずれもにキャリアが定めた定義にもとづく理論値なので、実際の利用環境やインストールするアプリによって大きく異なる。

 そこで、満充電した両者を、自宅で12時間放置してどのくらいバッテリーを消費するのか試してみた。条件を極力そろえるため、出荷状態に初期化し、必要最低限の設定をした上で検証してみた。なお、Wi-Fi(無線LAN)やGPSのオン/オフは初期設定で異なる(L-01Eではオフ、LGL21ではオン)が、両機能はオフにして計測している。自宅は、ドコモ、auともにLTEエリア圏内だ。

 結果としては、L-01Eが2%、LGL21が6%消費した。単純に計算すると、L-01Eは約600時間、LGL21は約200時間持つことになる。連続待受時間はインストールしたアプリ、移動の程度――など、さまざまな要素が絡みあい、実際のところは環境によって大きく変わる。筆者が実際に各種テストのために持ち歩いて利用した際は、両者ともにバッテリーが特別持たない、という印象はなかった。Optimus Gに関しては、おおむねどのような環境でもある程度はバッテリー持ちを心配せずに使えそうだ。

photophoto L-01Eのバッテリー消費
photophoto LGL21のバッテリー消費

独自のハードウェア機能を比較する

photo アンテナを伸ばしてみると、L-01E(右側)の方が若干アンテナが長いことが分かる

 ハードウェア的には“ほぼ同一”であるL-01EとLGL21だが、それぞれに独自のハードウェアも用意されている。

 L-01Eは「モバキャス」のチューナーを搭載しており、モバキャスを利用した放送サービス「NOTTV」に対応している。そのために、LGL21のワンセグ用アンテナよりも若干長いアンテナを採用している。映像と音声は、MHL対応の映像デバイスに出力することもできる。変換アダプターを利用すれば、一般的なHDMI端子を持つテレビなどにも出力できる。

photophoto 付属の卓上ホルダを使うと枕元で見やすくなるかもしれない(写真=左)。MHLアダプターを介してHDMI端子を持つテレビに出力すれば、ワンセグ以上地デジ未満の画質でNOTTVの番組を楽しめる(写真=右)

 LGL21では、おサイフケータイ(モバイルFeliCa)のほか、NFC(Near Field Communication)チップを搭載している。前編でも触れた通り、LG独自の「LG Tag+」アプリと、添付品のタグを利用すれば、端末設定の自動設定やアプリの自動起動が行える。KDDIが提供する「NFCメニュー」や「NFCタグリーダー」(au Marketのダウンロードリンク)も利用可能だ。

photophoto LGL21では、NFC機能も搭載している。単独でオン/オフの切り替えができる。OSの機能として用意されるAndroid Beamも対応している(写真=左)。KDDIが提供する「NFCタグリーダー」は、au Marketからダウンロードして利用する。インストールすると、Suicaをはじめとする交通系ICカードや、Edyなど主要なFeliCa電子マネーの残額確認ができる(写真=中)
photophoto 端末機能やアプリの自動起動をタグに書き込んで行える「LG Tag+」
photo 筆者のモバイルSuicaの残額をLGL21で確認した際の様子

実際にGoogle Mapsが起動するように書き込んだタグをかざしてみた様子を動画におさめてみたが、ちょっと手間取ってしまった


 2つのOptimus G、L-01EとLGL21を2回にわたって比較してきたが、姿形はそっくりでも、意外と違いがあることが良くお分かりいただけたと思う。最終的には、店頭などで触り比べて、どちらの“G”が良いか判断してもらいたい。

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