「エンタメフリー・オプション」からKDDI傘下、iPhone SEまで――ビッグローブに聞くMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2017年02月21日 10時45分 公開
[石野純也ITmedia]
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大容量プランも導入、通信品質向上の取り組み

―― 現状、MVNOの契約者数は40万超とKDDIの決算で公表されていましたが、あれはWiMAX込みの数字ですよね。ドコモのネットワークを使ったMVNOは、どの程度の規模なのでしょうか。

中野氏 契約者数は非公開です。ただ、(シェアでは)最近、mineoさんに抜かれてしまいました。他社のことをどうこう言う立場ではありませんが、お客さまを大事にする姿勢は、まねていかなければならないと思っています。その辺も、もう1回検討していきたいですね。

―― そのmineoさんは、リアル店舗を渋谷などにオープンしました。ビッグローブさんは量販店中心だと思いますが、売り場の奪い合いがあり、競争環境も厳しいと思います。何かここを拡大していく策はあるのでしょうか。

中野氏 秘策はありません(笑)。私も有楽町や秋葉原に行きますが、Y!mobileさんやUQ mobileさんもいて、あのボリューム感にはちょっと対抗できません。専門店ではありませんが、そういった駆け込み寺のようなところを用意させていただいたり、Webやコールセンターは今より強化していきたいと思っています。

―― 先ほど20GB、30GBプランのお話がありましたが、大容量プランについては、どうお考えでしょうか。既存プランの容量を上げているところもありますが、こちらについてはいかがですか。

中野氏 20GB、30GBプランはやろうと思っています。エンタメフリーのような領域と、全体でたくさん使いたいという両方の要望に応えていきたいと考えています。既存プランの容量拡大については、お客様次第ですね。今、一番大きなプランは12GBですが、それでも使い切ってしまう方がいますので(※インタビュー後に20GB、30GBプランが正式に発表された)。

BIGLOBE SIM 20GB、30GBプランの追加で、幅広い月間容量をカバーできるようになった

―― より大容量のプランが欲しいという声もあったということでしょうか。

中野氏 それはあります。1人でも12GBだと足りないという要望や、家族でシェアしているのでもう少し容量が欲しいという要望は、実際に上がってきていました。われわれはシェアSIMを以前からやっていて、息子、娘が使って12GBがなくなってしまうことが多い。ISP会員が多いので、家族という単位で見られることが多く、シェアSIMは人気が高くなっています。

―― なるほど。確かにシェアすると容量は足りなくなりそうですね。より大容量のプランの比率が高くなれば、MVNOとしての収益性も高くなるのではないでしょうか。

中野氏 そうですね。ただ、実際、(20GB、30GBを選ぶ人が)MVNOを選ぶのか、大手3キャリアを選ぶのかはまだ分かりません。安いからMVNOを選ぶのであって、そこは楽観的に見ていますけどね。一方で、われわれはドコモさんから帯域を卸してもらって、それを使っています。設備を自前で持っているわけではないので、使われれば使われるほど利益が出るモデルでもありません。そのぶん、帯域を借りなければならないですし、方やスピード競争もあるからです。

 そこで、われわれとしてここ1年ぐらい取り組んできたのは、単純なスピードだけではないところです。動画やWebを見るときの快適さは、スピードテストだけでは語れない。表示するまでが速かったり、途中で途切れたなかったり、動画がカクカク動かなかったり、そういうところまで含めてのQoE(Quality of Experience=サービスの体感品質)だと思っています。これは、ここ半年〜1年でいろいろな技術を入れ、がんばってきたつもりです。

―― 具体的には、どういった技術でしょうか。

中野氏 TCPのウィンドウサイズだったり、パケットの再送タイミングのチューニングだったりをきちんとやることです。例えば、最初にデータを送ったとき、受け側と送り側の帯域がきちんと合っていないと届かず、再送要求を繰り返すと、帯域を余計に食ってしまいます。そういうことがあると、大事な帯域を十分に使えません。今ある帯域に対して、きれいに、スムーズに送ってあげる。そういったことを丁寧にやると、速度測定でスループットは出なくなりますが、使っている方は(動画などが)キレイに見えるようになります。ですから、速度測定だけでなく、全体のクオリティーを評価していただきたいですね(関連記事)。

 MVNOはキャリア(MNO)から借りた帯域を、いかに有効に、最適に使うかで、1回のスピードテストでポンと数値が出ても、何もプラスになりません。帯域がじゃぶじゃぶあるMNOと、MVNOでは事情が違います。どういった評価指標があればいいのかは、いろいろな議論があっていいと思っています。私は2016年6月までNECにいて、そういったプロダクトを出す側にいたので、そこを分かってもらうのが難しいことは分かっているのですが……。

取材を終えて:au回線を使ったサービスでどう差別化を図るか

 MVNOとして自ら販売する端末をいち早く導入したり、料金をいち早く下げたりと、積極的な攻勢を続けていたビッグローブだが、特にここ1年はやや派手なサービス発表もなく、淡々と事業を継続している印象を受けていた。実際、筆者の読み通り、事業環境の変化を踏まえ、サービス提供の考え方を変えていたようだ。

 一方で、エンタメフリー・オプションのように、他社のゼロレーティングとは考え方の異なるサービスも導入しており、KDDIグループの一員になったことで、MVNO事業に対する投資もしやすくなった。親会社のKDDIはauだけでなく、MVNOも含めて「モバイルID」を増やす方針を掲げており、ドコモ回線とMVNOを合わせて40万超の会員を抱えるBIGLOBEは、ユーザー接点を拡大する武器になる。

 とはいえ、MNOの単位で見ると競合であるドコモの回線が増え続けるのは、敵に塩を送るようなもの。現時点での方針は定まっていないが、au回線を使ったサービスも早晩開始することになるだろう。その際に、UQ mobileやJ:COM MOBILEなど、傘下の他企業とどのような違いを打ち出せるのかは注目しておきたいポイントだ。

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