中国人に人気のカメラメーカーとして、「老舗」のキヤノンとニコン、それに「クール」なソニーが挙げられる。数年前には、観光地でキヤノンのEOSシリーズやニコンのDシリーズを首から下げていた「いかにもお偉いさん」の一行をよく見たが、最近ではαシリーズもよく見かけるようになった。キヤノン、ニコン、ソニーに続くのが、富士フイルム、パナソニック、オリンパス、韓国のサムスンだ。どのIT系メディアが行うデジタルカメラの人気調査でも、この順位は数年前から変わってない(微妙な変化としては、パナソニックとサムスンの順位が入れ替わったぐらい)。これ以外のペンタックス、サンヨー、カシオ計算機、リコーの製品も、中国全土の大都市に展開している「国美電器」「蘇寧電器」といった大手家電チェーンや「カルフール」「ウォルマート」といった外資系スーパー、それに電脳街のデジカメ専門店で販売されている。
冒頭でも紹介したように、日本人観光客の多くは携帯電話のカメラで気楽に写真を撮るが、中国ではそのように撮影する人はほとんどいない。中国の情報産業省(工業和信息化部)の統計によれば、2009年2月の時点で携帯電話は6億6000万台も普及していて、機能を通話とSMS(ショートメール)に絞ったバリュークラスの機種でない限り、カメラ機能が搭載されている。しかし、それにもかかわらず、デジタル一眼レフカメラを持たない人は、携帯電話でなくコンパクトデジタルカメラやコンパクトフィルムカメラを使う。
もちろん、自分の携帯電話にカメラ機能があることは多くの中国人が知っている。しかし、先ほど紹介したように、中国人は“記念”写真というものをとても大事に扱うため、画質の低い写真は残したくないのだ。確かに、中国で普及している低価格な携帯電話の写真画質は“記念”写真として末代まで保存するのには厳しい画質だ。かといって日本のケータイのような、妥協できる画質の写真が撮れるケータイとなると、価格的にはコンパクトデジタルカメラが楽に買えてしまう価格なってしまう。だから、それくらいのお金をだすならば、コンパクトデジカメとなるわけだ。
「まともな写真が撮れるデジカメが欲しい」「高い金を出すなら長く使えるいいものを」という中国人にとって、「愛国者」をはじめとした中国のデジカメメーカーの製品や、名もなき中国産ノンブランドのデジカメは選択肢に入らない。こうして、中国のデジカメメーカーは、地元の中国市場でも日系メーカーを超えられないのだ。
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