タッチインタフェースを導入したPCでは、タッチ操作を前提としたランチャーソフトを用意することが多い。ThinkPad T400sには、「SimpleTap」というソフトが標準で導入されている。これは、画面上端に配置された赤色の「SimpleTap」ボタン(起動ポイント)にタッチするか、デスクトップを2本指で2回タッチすることで起動する設定ユーティリティだ。SimpleTapでは画面の明るさや音量、Webカメラのオン/オフなどをタッチ操作で設定できるほか、任意のアプリケーションをボタンとして登録できるので、アプリケーションランチャーとしても利用できる。
このほかにも、マイクロソフトのマルチタッチ用アプリケーションである「Microsoft Touch Pack for Windows 7」もインストールされる。こちらは「Garden Pond」「Rebound」「Blackboard」といったタッチパネル機能を利用したゲームや、簡単な写真の編集が行える「Surface Collage」、スクリーンセーバーの「Surface Lagoon」が含まれている。

デスクトップの「SimpleTap」アイコンをタップするか、デスクトップを2本指でダブルタップするとタイル状に並んだアイコンが表示され、それぞれから設定メニューを呼び出せる(写真=左)。このタイルにユーザーが任意でアプリケーションを登録できるので、ランチャ−としても利用できる(写真=右)Internet ExplorerなどのWebブラウザを利用するときも、Windowsタッチは快適に使えた。Webページは画面に触れて、指を上下左右に動かすだけで、スクロールできる。また、ページ上でサッと指を右に動かすと「進む」、左に動かすと「戻る」動作になる。
Firefoxでも同様の操作が行え、Firefoxアドオンの「All-in-one gestures」を使ったジェスチャー機能も問題なく利用できた。All-in-one gesturesの標準設定では、Webページ上で右クリックしたたまマウスでジェスチャーを行うことでいろいろな操作ができるが、Windowsタッチの場合、画面を数秒触れたままにすると右クリック操作になるので、この状態から画面を指でなぞると各種ジェスチャー操作が行える。
文字入力は、画面左端をタッチすると表示されるOS標準のソフトウェアキーボードを利用する。このソフトウェアキーボードは、画面上のボタンをタッチして入力するモードと手書き認識モードがあるが、手書き認識モードは文字入力エリアが小さめで、筆者の指では書きづらかった。指の太いユーザーは、ボタン入力モードを利用するほうがいいだろう。
ここまでタッチパネルでの操作について触れてきたが、「あるとすごく便利か?」といわれると、即答はできない。画面を触れて操作できるというのは楽ではあるし、ペイントなどを使ってちょっとした図を作るのも可能だ。しかし、それが、マウスやトラックポイント、タッチパッドといったインタフェースより使いやすいかといえば、そこまでには達していない。タッチパネルが使いづらいわけでなく、使い慣れた入力デバイスがより使いやすいというのが正しい。特にキーボードの触感や、トラックポイントの操作性に力を入れているThinkPad T400sではなおさらだ。
重さが約1.79キロあるThinkPad T400sでタッチパネルを使う場合、画面を指で操作することになるので、その体勢は基本的にひじから先を持ち上げて使うようになる。この姿勢は短い時間で作業する程度なら耐えられるが、連続して長い時間行うにはつらい。ほかの入力デバイス以上に肩が凝ってしまう。また操作の正確性においても、筆者のように指が太いと、意図したところと別のポイントをタッチしてしまいがちだ。
キーボードやトラックポイントよりタッチパネルが使いやすいシチュエーションを考えると、屋外で立ったままThinkPad T400sを使うシーンが考えられる。「左手にPCを抱えて、右手で操作する」といった場合は、画面をタッチしながら使うほうが格段に便利で安心できる。また、ちょっとした操作を立ったまま行うときにマルチタッチ操作は便利だ。すべての状況でマルチタッチが必須というユーザーは少ないと思うが、そのような使い方を日常的にするユーザーであれば、ThinkPad T400sを購入選択リストの上位にしておくべきだろう。
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