“Ivy Bridge”で自作を始めたいあなたに勧める“PCパーツ購入指南”イマドキのイタモノ番外編(4/4 ページ)

» 2012年07月06日 17時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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電源ユニットは最大消費電力×1.5。80PLUSも重視

玄人志向の「KRPW-PS700W/88+」は、出力700ワットで、80PLUS Silverの認証をうけた製品だ。ケーブルプラグイン式で使わないケーブルがじゃまになることもない。実売価格は1万円以下だ

 電源ユニットの選択で重要なのが出力だ。今回選んだ「KRPW-PS700W/88+」は、定格で700ワットまで出力できる。ただ、今回の構成なら550ワットクラスでも十分だ。この「550ワットで十分」と判断する理由を説明しておこう。まず、CPUやグラフィックスカードに実装したGPU、そして、搭載するSSDやHDDなど、選んだ各パーツのメーカーWebページにアクセスして、そこで公開している仕様を見ると、「TDP」や「消費電力」という形で、その製品のおおよその最大消費電力を記載している。これをすべて合わせ、加えて、消費電力に関する情報が明らかになっていないことが多いマザーボードを「100ワット」と見積もってこれも足し、さらに1.5をかけた値が、システムで必要とする電源容量の目安になる。

 最後に1.5をかけるのは、「電源ユニットの効率」が影響している。電源ユニットは、コンセントからの交流100ボルトを、PC内部で使う直流の12ボルト、5ボルト、3ボルトに変換するのが役目だ。交流から直流に変換するとき、どうしても変換ロスが発生する。このロスの度合いを示すのが効率だ。一般的に電源電源ユニットは、出力の50パーセント前後を使う状態で効率が最大になり、0パーセントや100パーセントの近くでは効率が悪くなる。理想的なのはアイドル時で出力25パーセントあたり、通常使用時で出力50パーセント程度、PCゲームなど高い負荷がかかったときで出力75パーセント前後を使う状態だ。1.5を掛けたのも、この効率を考慮するためだ。必ずしも1.5である必然性はなく、1.4や1.6でも構わない。要は多少の余裕をもたせて電源ユニットの出力を決定するのがいいということだ。

 なお、変換ロスは熱となって放出する。熱暴走という言葉に代表されるように、PCは熱に弱く、そこまでいかないまでも、PC内の温度を適度に抑えなければ半導体を中心とした部品の寿命を縮めることになる。そういう視点で考えると、熱を抑えるためにも効率は高いのがいいことになる。

 電源ユニットの選択で、もう1つ注目しておきたいのが「80PLUS」という表記だ。これは、電源ユニットの変換効率を示す指標で、20パーセント出力時、50パーセント出力時、100パーセント出力時で、それぞれ規定の変換効率を上回った製品に付与される。Platinum、Gold、Silver、Bronze、無印と5段階あって、50パーセント出力時の効率は、それぞれ92パーセント、90パーセント、88パーセント、85パーセント、80パーセント以上となる。グレードが高ければ高いほど製品も高価になる。現在の主流は「80PLUS Silver」だ。

 電源ユニットの選択では、ケーブルにも注意しておきたい。特に、グラフィックスカードで必要になる外部補助電源に対応するケーブルが重要となるが、いま販売している電源ユニットであればほとんどが対応している。ただ、利用できる種類に違いがあるので、グラフィックスカードに用意する外部補助電源コネクタの種類(PCI Express 6ピン、もしくは、8ピンそれぞれの個数)と、そこに接続するケーブルを電源ユニットが備えているかを、それぞれ、確認しておきたい。

 さらに、電源ユニットのケーブル構造もチェックしておこう。最近多いのは、ケーブルが着脱できるプラグイン式だ。必要なケーブルだけを接続することで、PCケースの内部がすっきりとなって内部のエアフローが向上する。

既製のPCとは違う、パーツひとつで変わってくるパフォーマンスも自作PCの魅力

 最後に、今回組み立てたPCのパフォーマンスをベンチマークテストで測っておこう。

,,Windowsエクスペリエンスインデックス(写真=左)。GPUの性能を測定するベンチマークテストのスタンダードである3DMark 11では、P8641という結果になった。バトルフィールド3のフレームレートからも分かるように、最新のPCゲームでもフルHDと高画質設定で快適に動く性能を発揮する(写真=中央)。PCを実際に利用する場面を想定した性能評価を行うベンチマークテストの「PCMark 7」では、スコアが5250となった。どの項目も5000ポイント台で、当初の目的どおりの“オールマイティぶり”を示す結果だ

 Windowsエクスペリエンスインデックスは、Windows 7に搭載されているツールで、誰もが利用できる性能指標だ。「3DMark 11」「PCMark 7」は、機能に制限があるフリー版もあるので、自作PCを組み立てたときには、性能チェックを兼ねて計測してみるといいだろう。

 メーカー製の“出来合い”PCの場合、購入したら、ずっとそのままのパフォーマンス(データストレージ系や起動時間などは低下していく)だが、自作PCは、パーツを交換すれば、まったく異なった性能を発揮し続ける。今回選んだパーツの多くは、ハイエンドモデルなので、当然高いパフォーマンスを発揮するが、決められた予算内でどこまでパフォーマンスを高めることができるのかを考えていくのも、PCを自作する楽しみの1つだ。予算を絞り込み、あえてローエンド構成にして、オーバークロックの設定を極めてハイエンド構成に相当する性能を狙うという、ハイリスクハイリターンも自作PCだからこそ可能になる。

 今回解説した基幹のパーツだけでなく、PCケースであればデザイン、ファンやCPUクーラーユニットなら静音といったように、それぞれのパーツで自作PCの性能と機能は大きく変わる。それは、自作したユーザーの個性を反映するといえるだろう。まずは、ウィンドウショッピングからで構わないので、PCショップや量販店のパーツコーナーに立ち寄って、数ある展示パーツを、じっくりと眺めてみるといいだろう。それだけでも“自作PC魂”が、ふつふつとたぎってくるはずだ。

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