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» 2013年02月15日 16時48分 公開

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:地方から「郊外型大規模店舗」が消える理由 (2/2)

[牧ノブユキ,ITmedia]
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メーカーにとって迷惑千万な地方大規模店舗の応援販売

 こうした地方の郊外型大規模店舗でメーカーが恐れることがもう1つある。それが週末の応援販売だ。土日にしか集客が見込めない店舗だからこそ、そこに合わせてメーカーの応援を呼んで、売り上げを稼ごうとする。この連載でも繰り返し述べているように、こうした行為は労働基準法に違反するが、メーカーが自主的に応援しているという名目で、実際には公然と行っているのが常だ。

 もっとも、ここでの問題の本質はそうした労働基準法云々ではなく、応援販売に行ってもたいして売り上げが上がるわけではないという事実だ。応援販売で自社製品が飛ぶように売れるのであれば、こうした手間もノルマ達成のコストとして、積極的になる営業マンが多い。しかしながら、こうした店舗では、土日に集客量があるといってもその絶対数はそれほど多くなく、応援販売の効果はあまりない。時間帯によっては、店内にいる客の数より店員と応援販売員を足した数が多いという逆転現象さえ起きてしまう。

 こうなると、もはやなんのために応援に来ているのか分からないが、これに追い打ちをかけるのが、店舗側で設定する応援販売のシフトだ。もともと応援販売は自社製品を売るという暗黙の前提があって成立しているが、悪質な量販店になると売り場に応援販売員が過剰であるという理由で、一部の応援販売員を自社製品とはまったく関係のない売り場の品出しとして起用したり、ひどいケースになると誘導係として駐車場に立たせたりする。

 こうした地方の郊外型大規模店舗が増えるほど、応援販売の要求はエスカレートする。これが地方の小型店であれば断ることもできなくはないが、市内、もしくは県内で最も広い売り場面積を持つ店舗からの応援依頼ともなれば、販売店に頭の上がらないメーカーに断ることは難しい。応援販売は1人で同じ日に複数の店舗を掛け持ちするわけにいかないので、複数の店舗からの応援依頼があれば、営業担当本人はもちろんのこと、新卒の社員、場合によっては他部署のスタッフまで投入する応援販売が繰り広げられる。

 こうして、メーカーという名の傭兵によって、あらゆる意味で不毛な戦いを繰り広げる競合する地方の郊外型大規模店舗だが、救いがあるとすれば、各メーカー同士は横で情報を交換して、不測の事態に対応できる体制を構築しているケースが多いことだ。例えば、在庫定数を減らすときは、どのメーカーも(暗黙の了解のもと)足並みそろえて在庫を減らすし、ある店舗が閉店になるかもしれないという情報は瞬時にしてメーカー間を駆け巡り、ダメージを減らそうと共闘する。いつもは競合関係にあるメーカーであっても、こうした販売店事情をめぐる動きでは足並みをそろえるというのが、じつに興味深くもある。

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