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» 2015年02月10日 11時30分 公開

今さら聞けない「ビジネスインクジェット」とページプリンタの違いSOHO/中小企業に効く「ビジネスインクジェット」の選び方(第2回)(2/2 ページ)

[山口真弘,ITmedia]
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給紙枚数は?

ページプリンタ並の給紙容量を実現したエプソンのPX-M7050F。前面の用紙カセットと手差しトレイ、背面トレイに加えて、3段の用紙カセット(オプション)を増設することで、最大1831枚の6Way給紙に対応する

 同時にセットできる給紙枚数については、大量印刷を前提に大容量の給紙カセットを搭載するページプリンタに比べると、ビジネスインクジェットはやや後れを取っているというのが現状だ。特にローエンドモデルの場合、給紙枚数は100枚程度と、家庭用のインクジェットプリンタと大差ないこともある。PPC用紙の一束(500枚)の1/5しかセットできないわけで、かなり心もとない。

 もっとも、ミドルレンジクラスになると最低でも250枚はセットできる製品がほとんどで、さらに最近ではオプションの給紙カセットを追加することで合計500枚をセットできるような製品も増えつつあり、組み合わせ方によってはページプリンタの中堅機種と遜色ない構成も可能だ。ハイエンドな製品では1000枚を超える製品も存在する。

 ビジネスインクジェットは一度の印刷で数十枚、数百枚と消費することが少ないと予想されるため、通常のオフィスでは250枚、利用頻度が高いオフィスでは給紙カセットを追加するなどして500枚セットできるようにしておけば、用紙追加の面倒さを感じることはそうないだろう。

 ちなみに消耗品の交換については、インクカートリッジを用いるビジネスインクジェットに比べて、トナーを用いるページプリンタのほうが一般に交換頻度が少なくて済む(ただし、消耗品の交換自体はビジネスインクジェットが簡単だ)。

設置スペースは?

ブラザーの「MFC-J6970CDW」。A3のカラー両面プリントと両面同時スキャンに対応したビジネスインクジェット複合機だが、本体サイズは553(幅)×433(奥行き)×310(高さ)ミリ、重量は約16.5キロにおさまっている

 設置スペースについては、カラー対応モデル同士で比較した場合、ビジネスインクジェットのほうがコンパクトに設置しやすい。4色のトナーと感光体、ドラムを備える構造ゆえ、ボディが重く、やや背が高くなりがちな傾向のあるページプリンタに対して、ビジネスインクジェットは比較的軽く、やや背が低いことから、高さの制限がある場所にも設置しやすいだろう。

 特に複合機では、ビジネスインクジェットのほうが比較的コンパクトだ。その中でもA3カラーページ複合機は大型で重い(また本体価格も高い)ため、A3カラーを手軽に扱える複合機として、ビジネスインクジェットは重宝するに違いない。

 単機能のカラープリンタ同士では、設置面積に極端な差はないが、やはりビジネスインクジェットのほうが高さを抑えられる(給紙カセットを増設できるような製品では、それによって高さは増えるが)。

 例えば置き場所の棚の高さに制限があり、背が高いプリンタはどうしても置けないといった場合は、ビジネスインクジェットを選ぶことで問題が解決できる可能性もある。製品選びはあくまで目的本位であるべきだが、設置場所に余裕のないSOHO環境や仮設の事務所などでは、こうした特徴も知っておくとよいかもしれない。

 一方、ページプリンタはモノクロ単機能機も多いが、エントリーからミドルレンジのA4モノクロページプリンタは非常にコンパクトな製品も増えつつある。ビジネスインクジェットはカラー対応モデルが主流なので、モノクロの文書をたまに大量部数印刷するといった環境では、モノクロページプリンタをサブで用意するといったことも考えられる。

耐久性は?

 ビジネスインクジェットとページプリンタを比較した際、大きな違いと言えるのが耐久性だ。ページプリンタは、ローエンドの製品を除けば数十万ページの耐久性があるのが普通で、中には150万ページの耐久性を持つ製品もある。これなら1日1000枚、週5日印刷しても300週は持つので、5〜6年は使える計算になる。業務向けの保守サービスについても、ページプリンタは豊富だ。

 一方でビジネスインクジェットプリンタは、通常は数万ページ、多い製品でも30万ページ程度ということで、現状でページプリンタにまだ追いついていない。

 給紙枚数の項でも述べたように特性が違うので、1日に印刷する枚数がページプリンタの数分の1にとどまるのであれば、結果的に寿命を迎えるまでの日数はほとんど変わらないだろうが、これまでページプリンタの利用頻度が低かった環境にビジネスインクジェットを導入し、ほぼ同じ頻度で使うならば、寿命が到来するタイミングを早く感じる可能性はある。

静音性は?

 静音性、つまり動作音の小ささについては、印刷中については大きな差はないが、待機時の騒音の有無が異なる。FAX機能のない単機能モデルの場合、ページプリンタは駆動時で50〜60デシベル程度、待機時も20〜30デシベルといった製品が多い(ファンレスなどの放熱対策により待機時無音を実現している製品もある)。

 一方でビジネスインクジェットは、駆動時の50〜60デシベルというのはページプリンタと同程度だが、待機時は基本的に無音だ。どの機種を選んでも待機時に無音であるというのは、設置スペースの関係でデスクのすぐ脇にプリンタを設置しなくてはいけない場合など、意外と影響が大きい。

 もしオフィスにページプリンタとビジネスインクジェットの両方があり、その一方はデスクサイドに設置せざるを得ないのなら、ビジネスインクジェットを近くに置いたほうが、騒音さらには発熱などにも悩まされずに済むことだろう。


 次回からは、ビジネスインクジェットプリンタを「単機能モデル」「複合機」に分け、それぞれのおすすめ製品を紹介していこう。

ビジネスインクジェットの優位点

  • 1枚目の印刷が速く、少部数の印刷で待たされない
  • 特にカラーで普通紙印刷コストが低い
  • 消費電力が低く、節電効果が高い
  • 専有面積が比較的小さい
  • インクカートリッジなど消耗品が少なく、交換しやすい

ページプリンタの優位点

  • 大量部数を安定して高速に印刷できる
  • 普通紙でも再生紙でもシャープな印刷品質
  • 大容量給紙が可能な製品が多い
  • 消耗品は大型で数も多いが、交換頻度は低い
  • 本体の耐久性が高い


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