「アプリケーションストア」で加速する海外ケータイのエコシステム:CommunicAsia 2009

» 2009年06月30日 04時08分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 CommunicAsia 2009の各メーカーブースでは、最新端末の展示のみならずアプリケーションストアの展示も目立っていた。端末メーカーによるアプリケーションストアといえば、AppleのiPhone向け「App Store」やRIMのBlackBerry向け「App World」、そしてNokiaの「Ovi Store」がすでにローンチされているが、Samsung電子やLG Electronicsも追従すると発表しており、両社ブースではそのデモが行われていた。

SamsungとLGのアプリケーションストアは7月から本格スタート

 Samsung電子が運営するアプリケーションストアが「Samsung Application Store」だ。2009年2月に英国でスタートしたが、当初はPCのWebブラウザ経由でアプリケーションを配布するサービスだった。7月からはPCのみならず端末から直接アプリケーションをダウンロードできるようになり、提供エリアもヨーロッパを中心に世界37カ国に広がる予定だ。

photophoto Samsung電子ブースで展示された「Application Store」

 対応プラットフォームはWindows MobileとSymbian S60。同社製のスマートフォンには今後、アプリケーションストア専用アプリがプリインストールされる予定である。7月の開始時には約1000本のアプリケーションが用意されるという。有料アプリの購入決済にはクレジットカードを利用する。ただし、将来的には通信事業者経由の課金なども検討中とのことだ。

 AppleのApp Storeと大きく違うのは、無料アプリをダウンロードするだけであれば、Samsung Application Storeにユーザー登録しなくて良い点だ。すなわち無料アプリしか使わない場合はクレジットカード情報などを登録する必要がないため、より手軽にアプリケーションストアを利用できる。

photophoto PC経由のダウンロードサービスはすでに一部地域で開始されている。端末のダウンロードメニューは、有料アプリと無料アプリで区分されている

 一方のLG Electronicsは「LG Application Store」のデモを展示していた。説明員によると7月14日からアジア各国でアプリケーションストアを開始するとのこと。アプリケーションの数は1400本、うち50本が無料だという。年末までにはアプリ2000本、世界24カ国、15言語への対応を予定している。

 対応プラットフォームはWindows Mobileのみ。有料アプリの決済方法は現在はクレジットカードだが、将来は事業者経由も検討するとのことだ。またLG Application Storeを元に通信事業者がアプリケーションストアを開始する場合は、積極的に提携したいということだった。

photophoto LG電子のアプリケーションストアはPCベース版のみがデモされていた。Windows Mobile端末のみに対応する

海外でもアプリケーション利用が加速する

 携帯電話上でのモバイルアプリケーションやコンテンツ利用が進んでいる日本に対し、アジアや欧州ではその利用率はまだまだ低い。要因の1つはメーカーごとに異なる多様なハードウェアプラットフォームの存在だ。通信事業者が配信サービスを開始するとしても、メーカーごと、そしてメーカーの各OSプラットフォームごとにアプリケーションを多数用意しなくてはならず、利用するユーザー側も自分が利用できるアプリケーションが分かりにくいという問題があった。

 これに対しメーカーによるアプリケーションストアは、端末から利用できるアプリケーションのみが提供される。そのためユーザーは手軽にアプリケーションのダウンロードを利用できるようになる。またメーカーが自社端末向けにUIを作りこむため、ストア利用までのステップが明快であり、ユーザーの活用も進むことが期待できる。これはAppleのApp Storeの成功例を見れば一目瞭然だろう。

 また現在は、メーカーが直接決済する方式が主流だが、グローバル市場でメーカーがすべての直接課金システムを構築することは困難な場合もある。例えばiPhoneのようなハイエンド端末であればユーザーのほとんどはクレジットカードを所有しているかもしれないが、新興国では金融サービスの不備などによりオンライン決済が困難な場合もある。そのためSamsung電子もLG Electronicsも従来の「通信事業者経由課金」方式の採用を検討中であり、現地オペレーターが発行するプリペイドカードによる支払いの可能性もある。

 このようにアプリケーションストアの動きが活発化する中、マルチプラットフォーム対応を謳うアプリケーションメーカーも数社が展示を行っていた。携帯電話向けにJavaやBrew対応のゲームタイトルなどを開発していたインドのFalcon Interactiveは、イスラム圏向けに特化したアプリケーションをiPhone/BlackBerry/Symbian/Java/Brewなど多数のOS向けに展開している。同社のアプリケーションは各国の通信事業者からダウンロードされていたが、今後は各端末メーカーのアプリケーションストアにも提供することで、販路を広げたいとのことだ。

photophoto マルチプラットフォーム対応アプリを提供するFalcon Interactive。主力ビジネスの1つがイスラム圏向けアプリケーションである
photophoto RIMもBlackBerry向けアプリケーションを展示。但し同社の「App World」はアジアでは未展開のため、アプリケーションタイトルを展示するに留まっていた

 このように海外では、モバイルアプリケーションの利用促進が端末メーカー主導で進んでいる。もちろんいくつかの通信事業者はアプリケーションストアの開始をアナウンスしていたが、各メーカーのアプリケーションストアが時期や規模で先駆けている以上、まったく無視するわけにはいかない。なんらかの形で提携する必要があるだろう。

 キャリア主導で始まり拡大した日本の垂直統合型とは違ったアプリケーションのエコシステムが、海外では主流となりそうである。

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