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» 2009年12月28日 15時15分 UPDATE

ITmediaスタッフが選ぶ、2009年の“注目ケータイ&トピック”(編集部田中編):日本市場へ攻め入る海外メーカーたち――そのとき、国産ケータイは (1/2)

2009年は、個人的にはiPhoneデビューしたことが大きなトピックだった。携帯市場に目を向けると、海外メーカーが日本で勢力を拡大する転機を迎えたと感じている。一方、国産ケータイは大きな話題は乏しかったものの、着実に進化、そして深化を果たした。

[田中聡,ITmedia]

 Appleの「iPhone 3GS」は言うに及ばず、2009年はSamsung電子やLGエレクトロニクス、Huaweiなどの海外メーカーが日本市場で存在感を高めた。では国産メーカーはどうだったかというと、「おお!」と声を出してしまうほど革新的なモデルは少なかったというのが正直な感想だ。とはいえ、ソフトウェアやデザインで日本らしいきめ細やかな工夫やこだわりを感じたモデルも多かった。

iPhoneの「メール」に足りないものを考えてみる

photo 「iPhone 3GS」

 2008年7月に「iPhone 3G」が発売されたときは、なぜか波に乗れず(流行りものに飛びつきたくないという単なるひねくれ根性のせいもあるが)、iPhoneをどこか冷めた目で見ていた。しかし2009年6月にiPhone 3GSが発売されると、冷めた目が次第に温まり始め、購入欲が湧いてきた。その理由は、3GSで操作性が向上したことはもちろんだが、iPhone OS 3.0でMMS(S!メール)をサポートしたことが大きい。

 筆者はソフトバンク端末をメインに使用しているので、iPhoneはできれば機種変更して使いたい。したがって“ソフトバンクケータイ”として使い勝手が劣るのはマイナス。電話とメールをこれまでと変わらず使えるかが重要なので、J-フォン時代からのメールアドレスを使えるMMSの対応は朗報だった。ではケータイとしての使い勝手はどうか。発着信履歴の一覧を選ぶといきなり発信してしまうなど、iPhoneならではの操作法に戸惑うこともあったが、おおむね問題なく使えている。

 文字入力もフリック操作が意外と快適で、画面を連打することはほとんどなくなった。とはいえ、文字入力には不満もある。それは「予測変換の精度が低いこと」と「平仮名から英数カナをワンタッチで変換できないこと」だ。もう1つは個人差があるとは思うが、変換候補の選択欄が小さいためか、たまに単語をタップしても認識されず、平仮名のまま入力される場合があること。候補をもっと大きく表示してほしい。また、最初の入力画面に表示される変換候補の数は3〜4だが、これを3〜4倍に増やしてくれると、候補一覧を呼び出す手間を減らせてありがたい。

photophotophoto 文字アイコンを上下左右にフリックすると、母音が「あ」以外の文字をワンタッチで入力できる(写真=左)。「おはよ」と打って「おはヨーグルト」が2番目に出るなど、iPhoneの変換候補にはたまに突拍子もない(?)単語が表れる(写真=中)。「矢印」アイコンを選ぶと、変換候補の一覧が表示される(写真=右)。ちなみに、矢印アイコンとメールの「送信」アイコンは隣接しており、間違って「送信」を押してしまうのが怖いので、筆者は矢印アイコンは押さず「次候補」を押している

 SMS/MMSは、やり取りしたメールが相手ごとにチャット形式で表示されるのが楽しい。筆者はこれまでソフトバンクのシャープ端末で「チャットフォルダ」を使い、特定の相手とやり取りしたメールを読めるようにしていたが、iPhoneならそうした設定は不要だ。一方、iPhoneのSMS/MMSにはフォルダが存在しないので、例えばアドレス帳に登録していない差出人からのメールを迷惑メール用のフォルダに振り分ける、といった設定はできない。また、iPhoneでデコメールを受信すると、画像やデコメ絵文字は添付ファイル扱いになり、画像ごとに吹き出しが表示される。これではせっかくのデコメも添付ファイルの多い煩雑なメールになってしまい、なんだか味気ない。

photophoto iPhoneのSMS/MMSでは、送受信したメールの本文や添付ファイルが吹き出しで表示される。ブログやSNSなどに投稿した画像をまとめて確認できるのも便利(写真=左)。デコメールの画像やデコメ絵文字は添付ファイル扱いになる(写真=右)

 「iPhone for everybody」キャンペーンでiPhone 3GS(16Gバイト)の実質負担額が0円になったことで、iPhoneユーザーがさらに増加するのは明白だ。その中にはiPhoneの“作法”に明るくない人も含まれるだろう。そうしたユーザーが違和感なく使えるために、少なくとも、最もよく使うとされている「メール」だけでも、既存のケータイに近い操作性を実現してほしいと思う。

Samsung電子、LG、Huawei――海外メーカーが日本市場で台頭

 Appleは別格としても、2009年は海外メーカーが日本市場で台頭したことも注目したい。もちろん、これまでも海外メーカー製の日本端末は発売されていたが、海外版を日本向けに“焼き直し”した端末がほとんどで、日本のユーザーに受け入れられたようには見えなかった。しかし2009年は“日本発”の海外ケータイや、大きく注目を集めたデータ端末が登場した。

 特にインパクトが強かったのが、Samsung電子とLGエレクトロニクスだ。Samsung電子はソフトバンクモバイル向けに「OMNIA POP 931SC」と「OMNIA VISION 940SC」、LGエレクトロニクスはNTTドコモ向けに「L-04A」「L-06A」「L-02B」を日本仕様のケータイとして発売した(「L-01B」も2010年2〜3月に発売予定)。OMNIAは海外でも発売されているが、931SCと940SCは日本向けにアレンジされている。特筆すべきは、940SC、L-04A、L-06A、L-02Bは、これまで海外メーカー製端末がなかなか搭載できなかった「おサイフケータイ」に対応していることだ。940SCはソフトバンクのオリジナルサービスである「モバイルウィジェット」や「S!GPSナビ」も利用できる。

 LGエレクトロニクスは同社の日本向け端末を「LGジャパンモデル」と銘打ち、CMには蒼井優さんを起用。若者を中心に訴求している。Samsung電子もOMNIAのCMに坂本龍一さんを起用した。931SCのお絵かきメールを紹介したCMをよく見た人も多いのではないだろうか。端末の作りはもちろん、こうしたプロモーションからも、2社の日本市場に対する“本気度”が伝わってきた。

photo 左からSamsung電子製の「OMNIA POP 931SC」「OMNIA VISION 940SC」、LGエレクトロニクス製の「L-04A」「L-06A」「L-02B」

 また、イー・モバイルにデータ通信端末や、無線LAN機能を搭載した「Pocket WiFi」、ドコモとソフトバンクモバイル向けにデジタルフォトフレームを供給しているHuaweiも、2009年に日本市場で陰ながら存在感を示した。「陰ながら」としたのは、Huaweiはメーカー名を前面には出しておらず、製品のプロモーションはキャリアが行っているため。実際、Huawei端末には同社のロゴがないものが多い。

 Huaweiが現時点では黒子役に徹しているのは、「メーカー名を出さなくても商品が選ばれる」、つまり商品の質に自信を持っていることの表れとも考えられる。データ通信端末、Pocket WiFi、デジタルフォトフレームはいずれも通話機能を持たない端末で、日本メーカーが手薄なジャンルでもある。音声端末は「SH」「N」「P」などメーカー名がある種ブランド化されており、牙城を崩すのは容易ではない。それだけに、非音声端末で攻める同社の戦略は的を射ているといえる。

photophotophoto イー・モバイル向けの「D22HW」には、データ端末では珍しく、本体色にピンクとバイオレットを採用した(写真=左)。イー・モバイルの3Gネットワークを使って最大5台の機器で無線LANを利用できる「Pocket WiFi」(写真=中)。ソフトバンク端末から送られてきた写真を表示できるデジタルフォトフレーム「PhotoVision HW001」(写真=右)

 日本仕様の音声端末で国内メーカーと真っ向勝負を挑むSamsung電子とLGエレクトロニクス、斬新な非音声端末を続々と投入するHuawei――この3社は、2010年以降も日本メーカーにとって無視できない、いや3社の躍進次第では脅威を与える存在になりそうだ。

別世界のケータイ「Vertu」が日本上陸

photo 決定キーにダイヤ、ダイヤルキーにルビーをあしらった「シグネチャー プラチナ」(600万円)

 Nokia傘下の高級携帯ブランド「Vertu」が日本の上陸したことも、個人的には大きなトピックだった。Vertuは2009年2月に「Vertu銀座フラッグシップストア」を、9月には国内第2号店となる「ヴァーチュ 日本橋三越店」をオープンした。ボディにサファイアクリスタルや18金、ルビーベアリング、カーボンファイバーなどの高級素材を使っていることもあり、端末価格は67万〜600万円にも及ぶ。何度かVERTU端末を触る機会を得たが、ボディは重く、キーのクリック感もほかのケータイとはひと味違った。フェラーリのシートにも使われているレザーを用いた「アセント・ティー・アイ・フェラーリ ネロ・アッソルート」を手に取ったフェラーリの所有者が、「におい」で同じ素材と分かったという話も聞き、もはや別世界のケータイに思えた。

 どんなユーザーがVERTU端末を購入しているのかは定かでないが、Vertuが日本に進出したのは、高級携帯を求める富裕層が確実に存在すると判断したためだろう。一般的なケータイとはユーザー層は異なるが、Vertuの進出も、海外メーカーが日本市場に価値を見出した一端といえるだろう。

photo 左から「シグネチャー」「アセント・ティー・アイ」「アセント・ティー・アイ・フェラーリ」

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