インタビュー
» 2012年06月14日 16時43分 UPDATE

開発陣に聞く「ISW16SH」「IS17SH」「IS15SH」:新UI、テンキー操作、新しいエコ技――スマホ普及期にシャープが追求する“安心感” (1/2)

KDDIの今夏モデルは半数をシャープ製スマートフォンが占める。NFCを搭載する高性能モデル「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」、メモリ液晶を備える「AQUOS PHONE CL IS17SH」、スライド型テンキーを採用する「AQUOS PHONE SL IS15SH」。これら3機種はどんな狙いで開発されたのか。シャープに聞いた。

[松山悠達(ゴーズ),ITmedia]

 2012年夏モデルでは、各キャリアから複数のシャープ製スマートフォンが発表された。KDDI向けモデルは、世界初のFeliCaとNFCにダブル対応するハイスペックモデル「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」、時刻や着信状態を常時表示するメモリ液晶を設けた「AQUOS PHONE CL IS17SH」、物理型のテンキーを搭載したスライド型の「AQUOS PHONE SL IS15SH」の3機種。新機能を豊富に搭載した機種や、従来モデルに改良を加えた後継機など多彩なラインアップとなっている。

photophotophoto 左から「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」「AQUOS PHONE CL IS17SH」「AQUOS PHONE SL IS15SH」

 スマートフォンに対する世間の注目度が高まり、シェア争いが激化している中、シャープはどのような意図で3機種を市場に投入するのだろうか。通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 部長 後藤正典氏、通信システム事業本部 グローバル商品開発センター プロダクト企画部 福山享弘氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 北川友美氏に話を聞いた。

WiMAXとNFCを初搭載する「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」

photo シャープの後藤氏

 3機種に共通しているコンセプトは「安心して長く使えるスマートフォン」(後藤氏)だという。「Android端末が市場に出始めてから2年が経過し、フィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替えだけでなく、スマートフォンからスマートフォンへ買い替える人も増え、ユーザー層が多様化してきました。どんなお客様が使用しても使いやすいと感じられるように端末を仕上げました」と後藤氏は説明する。

 ISW16SHは1.5GHz駆動のデュアルコアCPUや4.6インチのHD液晶、0.4秒の業界最速の起動を実現する1211万画素CMOSカメラなど、「最高峰」を連想させるイタリア語の「SERIE」の名にふさわしいスペックを誇る。ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイといったケータイの定番機能もフル搭載するほか、シャープのスマートフォンとして初めてWiMAXにも対応した。「WiMAXをオンにした状態でも、通信していない場合は休止モードになり、バッテリーを節約する仕様にしました」(福山氏)

 注目は、FeliCaとNFCに両対応している点だ。「チップは別々ですが、通信用アンテナを1つにすることで軽量化を図っています。世界初なのでアンテナも新規に開発しました」(福山氏)。KDDIは通信業界の展示会「ワイヤレスジャパン 2012」でNFCとWi-Fiを連携させた新技術を紹介するなど、NFCサービスに力を入れている。後藤氏は「ユーザーに端末を長く使っていただくためにも、これから対応サービスが普及していくであろうNFCを国内メーカーとして先取りして搭載していくのが重要だと考えました」と話す。

 さらに、ISW16SHにはNFCを利用してBluetoothのペアリングを行う機能も採用した。「例えば、NFCを搭載したBluetoothヘッドフォンにISW16SHをかざすとBluetooth接続ができます。このようなBluetooth製品は、現在は海外のみで販売されていますが、国内で販売された場合、ISW16SHならいち早く体験できます」(福山氏)

大型化と性能の向上を図った液晶

photo 側面に溝を入れることで、液晶が浮かび上がるような効果を演出

 画面サイズの大型化がトレンドとなりつつあるスマートフォン市場。ISW16SHも4.6インチに大型化したが、液晶周りの枠を狭くする「狭額縁化設計」により、ボディの横幅は66ミリに抑えた。また、ボディのサイドに溝を入れる「クレッシェンドエッジ」というデザインを採用し、「液晶が浮かび上がり、画面そのものを持っているような感覚」(福山氏)で操作できる。

 液晶には、光が入射する透過率を従来液晶から20%向上させた高透過CGSilicon液晶を採用し、バックライトの省電力化とより明るく鮮明な表示を実現した。「これまでの液晶との明るさの違いは、肉眼で見てすぐに分かる」(福山氏)というほどだ。周囲からののぞき込みを防止するシャープおなじみの「ベールビュー」にも対応している。

 画質調整を行う高画質エンジン「SVエンジン」は「3」に進化した。従来は画質調整の際に選べるモードが「標準」と「鮮やか画質モード」の2種類だったが、「ナチュラルカラー」と「ダイナミック」を追加。また、今まではワンセグとメディアプレーヤーのみに効果があるだけだったが、ブラウザやゲームなどすべての画面に適用されるようになった。「PCと同様の色空間の国際標準規格『sRGB』に合わせたチューニングを採用しています。ナチュラルカラーは肉眼で実際に見た色合いに近い色を再現するので、ネットショッピングも商品の実物をイメージしやすく、気兼ねなく楽しめます」(福山氏)

ホーム画面という概念がない新しいUI

photo シャープの福山氏

 シャープが夏モデルから導入を開始したのが、独自UI(ユーザーインタフェース)の「Feel UX」だ。KDDI向けモデルではISW16SHとIS17SHが対応している。Feel UXは「ウェルカムシート」と呼ばれるロック画面と、アプリ、ウィジェット、ショートカットが別々のシートに並ぶ「3ラインホーム」で構成される。「UXはUser Experienceの略です。ユーザーが感じるままに使える、という意味を込めてこのような名前にしました」と福山氏は説明する。通常のスマートフォンのホーム画面にはアプリ、ウィジェット、ショートカットが1つの画面に混在しているが、これを各シートに分けることで「どこに何を置いたのかが即座に分かり、ごちゃごちゃになることもなく、初めてスマートフォンを使う人でも迷うことなく使いこなせる」(福山氏)という。

 3ラインホームの「アプリケーションシート」では、アプリのフォルダ作成のほか、アプリとアプリの間にピンチ操作でセパレーター(区切り)となる横線の作成・削除ができる。上下にスクロールした際にセパレーターごとにスクロールが停止する仕様になっているため、アプリのカテゴリーごとに線を引いておけば、目的のアプリが探しやすい。スクロールの停止は設定で無効にすることも可能だ。「ウィジェットシート」と「ショートカットシート」では、ウィジェットやショートカットの追加方法を2種類用意した。シート上部から引き出せる設定メニューからの追加と、空きスペースを長押しすることで追加できるAndroid標準の方法だ。セパレーターごとの停止やウィジェットの長押しによる貼り付けは、KDDIの夏モデル発表会後に追加されたもの。さらに、3ラインホームのプリセットの壁紙も4テーマから12テーマに増加され、背景色を変えられるだけでなく、子猫や夕焼けなどの画像に変更できるようになった。「今後もユーザーの声を反映して操作性の向上を図っていきます」(福山氏)

photophotophotophoto アプリ、ウィジェット、ショートカットの3ラインで構成されたホーム画面。レイアウトやスクロール設定も可能

必要な情報へアクセスしやすい「AQUOS PHONE CL IS17SH」

 コンビネーション液晶を意味する「CL(Combination LCD)」を冠したIS17SHは、メイン液晶とメモリ液晶の組み合わせが特徴的なモデルだ。メイン液晶を点灯せずに、時刻や着信、メール受信の状態をメモリ液晶で確認できる。コンビネーション液晶を搭載するシャープのスマートフォンは「IS03」と「AQUOS PHONE IS13SH」に引き続き3機種目だが、「従来モデルを実際に使用しているユーザーからは好評をいただいている」(福山氏)という。「IS17SHはIS13SHをベースに開発を行い、RAMを512Mバイトから1Gバイトに増強し、OSにはAndroid 4.0を採用しました。4.0はRAMが1Gバイト以上ないと複数アプリの立ち上げ時に動作が遅くなるなどの不便が生じるため、シャープとしてはRAM1Gバイトを4.0適用の1つの目安だと考えています」(福山氏)

 ISW16SHと同じくFeel UXも搭載している。「ウェルカムシート」では、ロックを解除せずに天気や株価などを確認できるため、「メモリ液晶と一緒に活用することで、日常生活で頻繁に確認する情報へのアクセスはIS17SHが最もしやすい」と福山氏は自信を見せる。

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