インタビュー
» 2012年08月08日 11時00分 UPDATE

ウェザーニュースタッチ 「空でつながる」コンセプトの真相(前編) (1/2)

多くのスマートフォンユーザーが頼りにしている気象情報アプリ「ウェザーニュースタッチ」。7月末に行われたリニューアルは、少なからずユーザーに驚きを与えたが、ウェザーニューズがこのアプリに大きく手を加えたのはなぜなのか。石橋知博氏と西祐一郎氏に話を聞いた。

[松村太郎,ITmedia]

 気象会社ウェザーニューズが7月30日、iPhone・Android向け天気アプリ「ウェザーニュースタッチ」の大幅なリニューアルを行った。

PhotoPhoto ウェザーニュースタッチは、最新バージョンで空の写真を投稿する機能を強化した。従来通りの詳細な気象情報も各チャンネルで確認できるが、アプリ立ち上げ時の画面が大きく変わっている。目玉機能の「ソラサーチ」は、ユーザーからの賛否の声が挙がる一方、ウェザーニュースには大きなメリットがあった

 これまでウェザーニュースタッチは、ウェザーニューズが提供する気象情報をチェックするためのアプリという位置付けだったが、新しいバージョンでは会員登録をして使い始めるSNSアプリのような使い勝手に変わった。「ソラサーチ」という、自分の周囲や現在位置から指定した距離にある空の写真を検索し、六角形に配置した各窓に表示したり、自分で写真を撮って投稿したりして楽しめる機能が大きな目玉だ。

 この変更に対して、シンプルに気象情報を確認できることにメリットを感じていたユーザーからは、「なぜ会員登録が必要になったのか」「今まで便利に使っていた起動時にすぐに情報をチェックできるスピードが失われた」といった声がApp Storeのレビューに多く寄せられた。

 今回のリニューアルの狙いはどこにあったのか。そしてユーザーからの声をどう受け止めているか。ウェザーニューズ 取締役の石橋知博氏と、システム開発本部長の西祐一郎氏に話を聞いた。

Photo ウェザーニューズ 取締役の石橋知博氏と、システム開発本部長の西祐一郎氏

リポートは10倍――アプリリニューアルの5日間で起きたこと

 ウェザーニューズの石橋氏は、今回のバージョンアップが「お行儀の良い気象会社から、アグレッシブに転換しようとしていた矢先のバージョンアップで、少し急な変化になりすぎてしまった面がありました」と話す。ユーザーの意見は真摯に受け止め、可能な範囲で要望を反映していきたいという。「空気が読めない会社になるつもりはありません」(石橋氏)。会員登録をしなくてもアプリが利用できるよう、一部機能を調整したバージョンを近日公開予定だ。

 「App Storeのレビューは、利用者の反応を伺う上で、一つの重要な情報と認識しています。たくさんの人に使っていただける気象情報を提供するため、日々サイトからいただいているご意見等とあわせて、今後のバージョンアップにつなげたいと考えています」(石橋氏)

 ところで、このユーザーインタフェース(UI)の変更は、利用者からの反発を招き、使い勝手に関する厳しい意見が寄せられる一方で、ウェザーニューズにとってはこれまでにない手応えを感じられる現象も起こしていた。今回のリニューアルの大きな目的として、ウェザーニューズへの情報投稿のハードルを下げる狙いがあったという。同社の気象予報は、観測機器やセンサーに加えて、携帯電話、スマートフォン向けアプリの有料会員から寄せられる写真や体感情報などの「ウェザーリポート」によって予報の精度を向上させている。そのウェザーリポートの投稿が、無料会員でもできるようになったことで、投稿数が劇的に増えたのだ。

Photo 「無料会員からの投稿を受け付けることで、ウェザーリポートの投稿数はこれまでより圧倒的に多くなりました」

 「これまで晴れている日は1日約3000件、雨や台風などの際に約5000件寄せられていたウェザーリポートが、アプリをリニューアルしてから、1日に3万件届くようになりました。これまでにない、圧倒的な量のリポートが届き、分析する体制や受け入れるシステムなども心して取り組まなければならないと、襟を正しているところです」(石橋氏)

 例えば8月2日は満月で、アプリを通じて「満月の写真を撮影しよう」と促したところ、満月の写真だけで1万件届いたというから驚かされる。もともとウェザーニュースタッチは、“タッチ”という名称をわざわざ付けて、スマートフォンならではの進化を追求してきた。位置情報からその場所周辺の気象で注意すべき情報をプッシュしたり、といった進化を遂げてきたのもそのためだ。投稿の数がこれまでより圧倒的に増えたことも、スマートフォン化による効果と考えているそうだ。

 主に法人顧客に向けて気象情報を提供してきたウェザーニューズが、コンシューマー向けに情報提供を始めたのは1999年2月から。当初はiモード向けの気象情報サイトとしてスタートした。モノクロの小さな画面から始まったケータイWebで、どのように天気を表現すれば良いのかという試行錯誤が始まっている。

 当時からこれまでのニーズは、「テレビの天気予報を待たずに、最新の気象情報を手の平で知ることができる」というもの。その点でウェザーニュースタッチは大きな画面とタッチ操作を存分に生かした「手の平の気象庁」のような存在になっていたのではないだろうか。

 しかし石橋氏は同時に、より深い人と天気の関わり方へと、その価値を転換する動きを強めて行こうと考えている。これが、冒頭で同氏が話した「アグレッシブ」の意味だ。

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