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» 2013年08月02日 18時16分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:孫社長が「UQへの2.5GHz割り当て」に猛抗議――「泣き寝入りはしない。行政訴訟で断固戦う」 (1/4)

7月26日の電波監理審議会で、2.5GHz帯の新たな周波数をUQに割り当てるとの答申が出たが、これに異を唱えたのが、ソフトバンクの孫社長と宮川潤一CTO。総務省の廊下で行われた囲み取材で、2人の「恨み節」を聞くことができた。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 7月26日、電波監理審議会は2.5GHz帯で新たに利用できる周波数帯を、UQコミュニケーションズに割り当てるのが適当と答申した。これにより、近日中に総務大臣からUQコミュニケーションズに認定証が渡され、正式に免許が割り当てられる。

 まさに、この2日間は嵐が通り過ぎさったかのようであった。

 7月25日の日経新聞朝刊で、2.5GHz帯の割り当てがUQコミュニケーションズになるという見込み記事が掲載された。その日の夕方にソフトバンク(WCP)の孫社長と宮川潤一CTOが総務省に押し寄せ、電監審の開催延期などを求めた。しかし、26日には予定通りに電監審が開催。何事もなかったようにUQへの割り当てが決定した。

 自分はサンフランシスコ国際空港で帰国ための便の出発を待っていた際、Twitterをチェックしたところで、日経の報道を知った。「帰国早々、慌ただしくなるかな」と思いながら飛行機に乗り、25日の15時30分頃に成田空港に着陸。飛行機から出るやいなや、ソフトバンクから「16時から総務省で:孫社長 が会見をやる」と連絡を受けるも、さすがに成田空港から総務省へ20分で行けるわけもなく、残念ながらあきらめることとなった。

 しかし、翌26日、電監審が開催され、またも総務省に孫社長と宮川CTOが駆けつけて記者に対して囲みを行うという情報をキャッチ。飯田橋で打ち合わせをしていたが、今度はタクシーを飛ばして間に合うことができた。

 総務省8階のクールビズで冷房も入っていない廊下で開催された約1時間半の囲みでは孫社長、宮川潤一ソフトバンクモバイルCTOの審査に対する「恨み節」を聞くことができた。

■7月26日18:22 総務省8階廊下

 ソフトバンク/WCP 孫正義社長、宮川潤一ソフトバンクモバイルCTO

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


孫社長 (審査は)みんな主観なんです。事務方が密室で5〜6人、その中で特に影響力のある人間が『こっちだ』というわけです。その議論のプロセスが全く見えないですよね。意見募集というのもこれまたガス抜きだと皆さん知っているじゃないですか。プロセスが形骸化しているのはみなさんご存じだから、審議会の前にすでに決定済みであるという報道がなされた。これまでも事前に報道されたことは大概、当たっている。

 国会で任命したメンバーというのはどういうことでしょうか。我々には何千万人のユーザーがいて、何としても通信を保全しなくてはいけない。その義務がある。

 それが日本の場合、平気で天下りが当該会社に続々と入っている。我々は一人も取っていない。少なくとも監督官庁からはね。

 アメリカでは考えられないこと。我々は今日、不服申し入れと資料開示請求をする書類を電監審の前田会長に渡した。総務大臣、副大臣、総務省総合通信基盤局長にもお届けした。大臣は不在で、直接渡せなかったが。

 審査は出来レースで、当該企業に総務省OBがいるかいないかで、有利不利が出ると思われるのは、ルール上、まずいのではないか。

 仮に審議上、正しいルールでやっていても、すでにそこに続々と上層部に総務省OBがいるということでは、疑われてしかるべきだ。総務省、OBのみなさんと、現職の方々が、どういう面談をしたのか、通話をいつしたのか、通話記録の提出、メールを証拠書類として提出して欲しい。

 ちなみにアメリカでは100%実施される。係争があったときはまずPC及びケータイのメールを即刻抑える。

 AT&TとT-mobileの合併が却下されたが、あのときも、あらゆるメールを提出を求められて、ボロが出てきた。

 日本の場合はそういうところまで、お上に逆らわないという風習だが、これでは事実上の泣き寝入りになる。日本の社会制度として良くないのではないか。これを正すべきだ。

―― ソフトバンクは900MHzの割り当てにおいては、今回と同じ方法で受け取っているが、それについてはどう思うか。

孫社長 我々は彼らが求めるプロセスで結果がおかしくなければ、不服だという理由がない。それは彼らがイコールフッティングというならば当然だ。もともと我々は800MHzを一度ももらったことがないにも関わらず、ドコモ、KDDIプラチナバンドをたっぷり持っている。我々はいまだに5MHz×5MHzしかもっていない。彼らは15MHz×15MHzを長年、使っている。

 プラチナバンドを持っていない我々がもらうのは当然ですよね。ということで、彼らが求める手続きに粛々と従った。

 我々がもらうことで、どなたかが不服があるのであれば、当然、不服申し入れをすればいい。我々はフェアに与えられたと思っているから、それに従う。結果がアンフェアだと思えば、どうしてだと問うのは当然。

―― 読者は、今回、なんでこんなことが起こっているのか、全然わからないし、理解できない。

孫社長 イコールフッティングで、本来20MHz幅があるなかで、申し入れをしたのが2社。お互いが10MHzずつだと思っていた。

 いままでの申請のプロセスでは、どういう申し込みをするのか(総務省に)聞かれていた。事前のやりとりはつねに存在する。我々は20MHz幅を総取りするのではなく、10MHz幅がフェアだろうと申請した。彼らは30MHz幅を持っているのに、20MHzをまるごと欲しいと言うとは思わなかった。

―― それであれば、開設指針の時に、20MHzで申請できる可能性をつぶしておけば良かったのではないか。

孫社長 ん? 20MHzで申請したことはおかしいことではない。それは彼らの主張。我々は10MHzを主張するのは正当だと思った。彼らはおかしいわけではない。

 それを20MHzまるごと渡すというのは我々が納得できない。もしかしたら、天下りがごっそりいて、影響を与えたのではないか。

 アメリカでは証拠保全として、通話やメールを提出する。裁判で争うのが当然の行為。証拠資料をもとにおかしいですよねと、裁判で争う。メールを削除するとなると、さらに重い罪になる。

 彼らはそんなバカなことはしないと思うが。元審議官や元電波部長が、ずらっと相手側企業にいるので、ひょっとしたら(審査に)影響を与えていると疑いたくなる。アメリカでは必ず係争として、証拠書類提出を求める。日本でも請求させていただいて、おかしいと思えば、行政訴訟、割り当ての取り消しを求めて争おうと思う。

 日本では文句を言う方がおかしいというクセがある。それ自体がおかしい。アンフェアだと思えば、確認するというプロセスはあるべき権利。日本のお役所は上から目線で、許認可を与えてやるというスタンス。我々と同じように泣き寝入りしてきたことが慣例としてあると思う。

 審議官にも技術に詳しい人がいないというのもあり方としておかしいと思う。

―― 今後、1.7GHz帯の割り当てもあるが、制度に対する改善の要望はどうするのか。

孫社長 今回のことで不服申し入れをして、認定取り消しというのをお願いする。公開でやるべきだと、改めて申し入れる。

 ユーザー数が最近伸びていないが累計契約者数の多い彼らと、我らはウィルコムを救済したのは最近で、救済したあとで純増が急増した。

 スタートからみれば、我々のほうが遙かに多くのユーザーに通信機能を提供しているのが見えている。それに対しても、どちらを優先するのか。過去にたくさんいるが伸びていないところか、これからバンバン増えていき、1〜2年後に逼迫するのが見えている我々なのか。

 しかも彼らはWiMAXで提供を受けて、今後は実質、TD-LTEで作ろうとしている。

 新設するところでは、既存のネットワークにおける逼迫の解消にはならない。逼迫しているといわれているなら、我々は900MHzのところで5MHz幅で逼迫しならがらも、がんばっている。

 彼らのWiMAXは30MHzで、我々は20MHzで逼迫しないように様々な努力をしている。公開の場で意見を戦わせないと、密室のなかで主観の評価でやるとどちらが正しいのかわからない。

 項目は公開されたが、 結果だけもらっても、そもそも審査が主観で行われている。審議官が何日かけてこのことについて勉強したのか。審議会にあがったのは昨日でしょ、それで今日。1日の間にどれほど審議する時間があったのか。結論が形骸化された審議会で、影響を与える上層部の人たちがOB、先輩後輩の関係である。

 天下り行政はおおよそみんな知っている。それをよしとするのが、我が国にとってよくないのではないか。少なくとも、我々のユーザーにとっては不利になる。

 株主にとっても不利になる。一般株主の半分ぐらいは外国人株主。世界の常識からいうと、日本のガラパゴス的なやり方をよしと、これから何年続けるのか。

―― グループ別の周波数割り当てを見るとソフトバンクが200MHz、ドコモが160MHz、KDDIが140MHzとなるが、ソフトバンクがもともと多すぎではないか。

孫社長 そのグループにウィルコムは入っていますか。ウィルコムは我々が頼まれて救済をしたのです。PHSの周波数はケータイには全く使えない。それから今回の周波数は音声には使えない。音声も逼迫している。あとは制限バンドだらけ。プラチナバンドも何倍も価値が違う。設備投資が1兆円ぐらい違う。かれらは15MHz×15MHz、我々は5MHz×5MHzで、3分の1しかない。足し算だけで、有利不利ではない。プロセスが大事だ。

―― 審査結果が公開されているが、どこがおかしいと思うか。

孫社長 僕は結果についてはまだ読んでないが、どれについても主観でしょ。もっともらしく書くのは上手。いい大学を出て、こういう筆記試験は上手に書く。それ自体がおかしいでしょう。おかしくないですか。公開の場で、堂々と議論し合うのは当然。

―― 開設指針の時にもっと意見を言っておくべきだったのではないか。御社は開設指針の際に歓迎のパブコメを出していたが、結果が出たあとで文句を言うのは後出しじゃんけん的ではないのか。

宮川CTO パブリックコメントの段階では10MHzをやりたいとお願いしていた。新規参入が1番、10MHzでの申請が2番、3番目が20MHzでの申請という枠を作ってくれた。10MHzで申請をすると、2社が合格になると総務省側も理解してくれた。我々に対して、10MHzで申請したらいいのではないかとアドバイスされた。

 我々自身は10MHzがいいのか、20MHzがいいのか、最後まで悩んだ。10MHzであるべきだと思って提出した。そのやりとりのなかで、新規が1番で、10MHzが2番というなかで、我々の骨子は(総務省が)理解してくれたと思っていた。それで、ずっとイコールフッティングでやるものだと持っていた。我々が思い込んでいたのが悪かったのだ。

孫社長 こういうビューティーコンテストの時は、イコールフッティングに近くなる、限りになく近くなると考えている。毎回、けんか腰でやる必要はない。公平に割れ当てられるときは争う必要はない。結果が不公平になるのであれば、不服を申し入れるのはおかしなことではない。

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