国内事業は順調に推移、Sprintはネットワークが大きく改善――ソフトバンク決算会見

» 2014年08月08日 22時22分 公開
[田中聡,ITmedia]

 ソフトバンクが8月8日、2015年3月期第1四半期の決算説明会を開催した。売上高は前年同期比126%増の1兆9922億円。前年同期のガンホー子会社化に伴う一時益がなくなった影響で、営業利益は16%減(一時益を加味しないと35%増)、純利益は68%減(一時益を加味しないと90%増)となった。ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「ほかの2社(ドコモとKDDI)と比較して、営業利益は頭1つ突き抜けてきた」と手応えを話す。

photophoto ソフトバンク代表取締役社長 孫正義氏(写真=左)。連結業績(写真=右)

ボーダフォン買収以降、営業利益は8倍に

 国内の携帯事業は順調に推移しており、孫氏は2005年のボーダフォン買収以降、営業利益は8倍に伸びたことをアピールした。スマートフォンのパケット接続率と通話接続率が3キャリアの中でソフトバンクが1位を維持していること、第三者機関の調査ではMNP後の満足度はソフトバンク利用者が一番高かったこと、新幹線での通話品質もソフトバンクが高かったこと(こちらはソフトバンクモバイル調べ)を紹介した。

photophoto モバイル事業の営業利益は年々増加している(写真=左)。900MHz(プラチナバンド)対応のソフトバンクスマートフォンは、通話とパケットの接続率1位を維持している(写真=右)
photophoto MMD研究所の調査では、MNP後の満足度で(つながりやすさは僅差だが)ソフトバンクが1位となった(写真=左)。新幹線内の通話品質もソフトバンクが優れていた。ただしこちらはソフトバンクモバイルが調査したもの(写真=右)

 ソフトバンクモバイルが発表した、人間の感情を認識できる人型ロボット「Pepper」についても言及。来店者とコミュニケーションを取ってもらうためにソフトバンク銀座にPepperを導入したところ、集客効果が87%向上したという。2014年9月20日には、Pepper上で利用できるアプリの開発者向けイベントを開催する予定だ。

photo Pepperをソフトバンク銀座に設置したところ、集客効果が上がった

ワイモバイルは別動隊、スマ放題は好調

 8月1日にサービスインした子会社 ワイモバイルとのすみ分けについては「ソフトバンクモバイルが正規軍だとすると、(ワイモバイルは)別動隊。(端末の)機能や価格のすみ分けが必要だと感じている。ヤフーとより深めた連携にしたい」と説明。ワイモバイルは当初、ヤフーが子会社化する予定だったが急きょ中止になった。孫氏は「爆速で来て爆速で去って行った」と話して笑いを誘ったが、「そのとき(ヤフーが買収を発表したとき)の思想はそのまま生きている。(ヤフーとの)業務提携は、より密接になっている。格安スマホと十分競争できる価格帯にしたい」と意気込んだ。

 7月1日から提供している新料金プラン「スマ放題」の反響について孫氏は「現在は旧プランと新プランの両方を提供しているが、8割くらいのお客さんがスマ放題を選択(契約)いただいている」と好調ぶりを話していた。

Sprintのネットワークを改善、次は営業面を強化

 海外では、ソフトバンクが買収した米Sprintの業績を反転させるべく尽力している。償却前の連結営業利益(EBITDA)は18億ドルで、前年同期比で30%増となった。連結営業利益は5.19億ドルで、前期(2013年1〜3月)の4.2億ドルから黒字を維持している。ソフトバンクがここ最近のSprint事業で特に注力していたのが、ネットワークの改善だ。他キャリアから大きく差をつけられていたパケット接続率(LTEを含む)が、4月20日以降に大きく改善し、現在は「競合他社とほぼ変わらないところまで追いついてきた」(孫氏)という。孫氏は「Sprintの現場の努力とソフトバンクのノウハウがミックスされて、急激に改善された」と手応えを話す。

photophoto Sprintの営業利益も好調に推移している
photophoto
photophoto 4月から7月にかけて、通話とパケット接続率が改善された

 一方でユーザーの獲得は好調とはいえず、契約数の純減を止められていないのが現状だ。そこで、今後は営業施策を強化していく。「1年くらい前から、ネットワークの改善は14年度の半ばまでかかると言ってきた。それが終わる前に営業のエンジンを吹かしてもあまり意味がないので、攻勢をかけていなかった。いよいよここから、本格的に営業攻勢に入る。今後は価格競争が激しくなると思っている」と孫氏は予告する。

 新しい営業体制を作るべく、Sprintの新しいCEOにマルセロ・クラウレ(Marcelo Claure)氏が8月1日に就任した。マルセロ氏は、携帯端末の卸売り事業を展開するソフトバンク傘下・Brightstarの創業者で、孫氏は「山賊のような顔をしているストリートファイター。ソフトバンクとカルチャーが非常に似ている」と評価する。

photo Sprintの新CEO、マルセロ・クラウレ氏

 なお「Sprintはいつ純増に転じるか?」との質問には「やってみないと分からない」と話すにとどめた。

T-Mobileの件は「コメントしない」

 SrpintがT-Mobileの買収を断念したという報道がなされたが、T-Mobileの件について孫氏は「ソフトバンクとしては、特定の会社の買収する、しないについては、今までも一度も正式なコメントをしていない。今回も公式なコメントはない」と明言を避けた。ただ、「米国市場に、より健全で激しい競争をもたらすためには、2強よりは3強の方がいいと基本的に思っている。それは最初も今も変わっていない」として含みを持たせた。

 ゲーム事業はガンホーとスーパーセルが引き続き好調で、2014年4〜6月のiOSとGoogle Playにおける世界のアプリ売上ランキングでは、「Clash of Clans」が1位、「パズル&ドラゴンズ」が2位、「Hay Day」が4位につけた。

photo ゲーム事業も好調で、世界ランキング上位につけている

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