「ドコモ光」は何がお得なのか? 他社にない優位性は?――NTTドコモに聞く(2/2 ページ)

» 2015年02月20日 20時59分 公開
[石野純也,ITmedia]
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ドコモ光パックで家族での割引を強調した理由

―― 家族でいくらという見え方だと、やはり1人1人がいくら得になるのかが分かりづらいのだと思います。そこを個人に分解して見せることはできなかったのでしょうか。

梶原氏 個人個人にするのか、家族にするのかは戦略によります。個人でもお得になるようにはしていますが、割引を含めたリテンション(既存顧客の維持)を考えると、やはりご家族は非常に強い。過去の例で言うと、10数年前にファミリー割引が入った時の効果は非常に高かったですね。その後1人で契約できる割引が出てきて効果が薄れ、いつの間にかファミリー割引が崩れ始めました。リテンション効果が大幅に下がり、キャッシュバック競争にもなってしまいました。

 光の回線を家の中でも自由に使えるという時、単位としては家族でくくり直した方が、囲い込み効果も高いですし、お客様の価値も高くなります。そこを強化したところが、戦略的には重要です。

 もちろん、(auやソフトバンクのような)個人の戦略が間違いだとは言いません。ご要望として、僕の分は僕の分で使いたいというのものもあり、そういったことが実現できないかは継続して検討しています。

―― 今はGmailなどもあり、ISPのメールアドレスにこだわっている方も、昔よりは減っていると思います。また、必要ならメールだけを残すこともできます。ISPを「ドコモnet」に一本化して、よりシンプルにするという方向はなかったのでしょうか。

梶原氏 確かに、(メールアドレスにこだっている人は)そんなにはいらっしゃらないと思います。

 ISPについては、各社と提携していることもあり、その方々とは積極的にISPチェンジを勧めないとお約束しています。立ち位置としては、公平にISPと接していくことにしています。むしろ、本当はドコモnetは用意しなくてもよかったと思っているのですが、新規の方や提携型でよりお安くしたい方が困ってしまわないよう、ドコモとしても用意するというスタンスです。

 社内にもISPを一本化した方がいいという意見や、OCNとだけやるという意見もありましたが、禁止行為規制があるので、選択肢は2つで、ドコモnetで一本化するのか、みんなとやるのかです。

 SoftBank光のように一本化する戦略もありますが、ほかのISPと全面対決になってしまいます。そうなると、OCN光やビッグローブ光と全面対決になり、取るか取られるかになる。それが本当に得策なのかということです。既存の業界の再編などではなく、一緒にやりたいということで、JAIPA(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会)にまず相談に行き、どうでしょうかというお話をしました。

 また、設定やメールアドレスの変更を何とも思わない方がいる一方で、設定が面倒だから変えないという方もそれぞれ3割、4割ずつぐらいいます。こういった方々が、そのまま移れるようにしないといけません。

 ちなみに、今はドコモnetでも個別のメールアドレスは付与しない形になっています。これは、ドコモメールをそのまま使っていただきたいからです。とはいえ、家庭用にメールアドレスが1個欲しいという声もあり、3月か4月には、メールアドレスを付与しようと思っています。急きょ変更して、それを準備しています。

ドコモ光の恩恵が少ない場合も

―― 料金について、固定側が安くなるとおっしゃっていましたが、そうでない場合もあります。例えば、うちはVDSL方式のフレッツ光ネクストで、マンションタイプのプラン2に入っていて、「にねん割」をつけると月額2750円です。ここにISPの料金900円を足しても3650円で、ドコモ光のマンションタイプで、しかもISPがタイプBに入っているので、むしろ固定側が値上がりになってしまいます。データパックは5Gバイトのものなので800円安くなりますが、差引で250円の値引きを得るために光を転用するのはかなり抵抗があります。

梶原氏 そのパターンは、一番悩んだところです。マンションをバラバラにする(戸数でタイプを設ける)のか、差をつけるのかは非常に悩みました。ただ、卸の原価が一緒なので、差をつけづらい。卸料金をもう少しなんとかしてほしいというのはありましたが、原価と相談した結果、(筆者は)便益が一番低い人になっています。

―― ちなみに、ドコモnetの情報があまり出ていません。サービス開始にあたって、もう少し詳しいスペックなどは出した方がいいのではないでしょうか。

梶原氏 スペックを申し上げると、1GbpsでIPv6にも対応しています。少なくとも、OCNレベルまでは持っていきたいと考えています。

―― moperaとは全く違うISPと考えてよろしいのでしょうか。

梶原氏 moperaは、もともとそこまで大容量のデータ通信を想定していませんでした。そのため、新しく受け皿を作る必要があり、ドコモnetを立ち上げています。技術の人間に言わせると、軽トラックに大きなエンジンを積んでも、積載容量が変わらないのと同じで、moperaをブラッシュアップするよりも、新しくISPを作った方がよかったようです。

取材を終えて:ドコモ光についての理解は深まったが……

 梶原氏の説明を聞き、ドコモ光についての理解は深まった。比較方法の是非はあると思うが、シェアパックを駆使すればセット割で先行していたauよりも、総額が安くなるケースが多いことも事実だ。KDDIの「auスマートバリュー」や、ソフトバンクの「スマート値引き」は、適用条件に固定電話が入っているのも、意外と忘れがちなポイントだ。確かに、固定電話が必要なければ、光回線の料金はドコモ光の方が安くなる。

 一方で、家族単位で課金され、データパックをシェアするという仕組みは、慣れていないこともあり、どうしても頭にすっと入ってこない。もともと、シェアパックが新しい概念ということもあり、考え方が難しい料金だったが、そこに連動した割引が加わり、さらに複雑になってしまった。

 ISPによってセット料金が変わるのも、やはり会社の事情であってユーザーには関係がないこと。ISPを変えない前提で転用するなら「いくらになるか」はまだ分かるが、なるべく得をしようとISPの変更まで含めて考えると、パターンがさらに多くなってしまう。建物の種類、ISP、家族の人数、データパックの種類、利用年数と、「変数」が多すぎるのだ。家族によるリテンション効果を高めつつ、長期ユーザーに還元したいという姿勢は理解できるし、共感もできるが、それをいっぺんにやるために考え抜かれすぎていて、ユーザーに伝わりにくくなってしまっている印象がぬぐえなかった。

 筆者は記者会見に出席し、個別で説明を聞き、その間も料金プランとにらめっこした結果、ようやくドコモの考え方や、自分がいくら安くなるのかは理解できた。とはいえ、そこまで常にドコモ光のことを考えられるのは、むしろ少数派だ。何時間も説明を聞いてくれるほど、ユーザーも暇ではない。取材で得られたような話を、いかに簡潔に伝えていくかが重要になる。その意味で、ドコモショップをはじめとする現場の力が試されるサービスといえるだろう。

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