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» 2015年10月29日 23時00分 UPDATE

総務大臣も出席:料金の公平負担に向けた課題は――総務省、携帯料金タスクフォースの第2回会合を開催 (1/2)

安倍内閣総理大臣の発言から始まった、携帯電話料金の値下げに向けた検討。提言をまとめるために設置されたタスクフォースの第2回会合では、消費者相談員の団体、キャリア、MVNOからの意見聴取が行われた。

[井上翔,ITmedia]
高市早苗総務大臣 高市早苗総務大臣

 総務省は10月26日、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の第2回会合を開催した。

 このタスクフォースは、「利用者にとって、より低廉で利用しやすい携帯電話の通信料金を実現するための方策を検討する」ため、同省のICTサービス安心・安全研究会に設置したもの。第1回の会合では、携帯電話の料金とサービスの提供条件に関する現状と課題を洗い出した。

 今回(第2回)の会合では、第1回会合で整理した事項に従って、消費者相談員の団体、大手キャリア(MNO)や仮想移動体通信事業者(MVNO)からの意見聴取とタスクフォース構成員との質疑が行われた。

 冒頭、あいさつに立った高市早苗総務大臣は、「ひとりのユーザーとして感じていること」と前置いた上で、以下のような指摘をし、忌憚(きたん)のない発言を求めた。

  1. 通信料金と端末代金が事実上一本化していること
  2. 頻繁に機種変更やMNP(携帯電話番号ポータビリティ)をしているユーザーと、同じ端末・キャリアを長期間使っているユーザーとの不公平感が生じていること
  3. (2番の結果として)長期利用者やライトユーザーへの経済的負担が過度になっていること
  4. MVNO(仮想移動体通信事業者)のさらなる普及が必要であること

消費者からの“苦情”から考える新たなサービスの形

全相協の石田氏 全相協の石田氏

 消費者からの相談を受け付ける相談員の団体「全国消費生活相談員協会(全相協)」からは、理事の石田幸枝氏が出席し、携帯電話の料金・契約・販売方法に関する相談事例とその分析、MVNOサービスの普及に当たっての課題について報告した。

公平な料金体系の構築

 携帯電話の料金については、不必要な通話・通信プランを契約させられていることに対する苦情が多い。例えば、消費者から以下のような相談が寄せられたという。(以下、引用部はタスクフォース資料の原文を一部体裁を整えて掲載)

 他社からMNPで1台、新規契約で1台スマートフォンの契約をした。定額のかけ放題プランは不要であったがつけないと通話が出来ないと言われた。半年で解約できると言われたので契約したが、実際は違った。

 携帯電話を他業者からの乗り換えでスマートフォンに変更した。あらかじめ月額料金などを問い合わせてから店に行ったが、通信容量が大きなものを勧められ言われるまま契 約した。後で家族に話したら、必要のないものだったと分かったので解約したい。

 スマートフォンで自分が利用しているパケット量は1カ月0.5ギガ位と知り、データ通信量の小さい契約にすれば安くなるかと思い、携帯電話会社に問い合わせたが、定額プランの選択しかできず、安くならないと分かった。不審だ。

 これらの相談から見えてくるのは、「消費者の利用実態に合った選択ができていない状況」(石田氏)が生じていることだ。

 かけ放題プランを事実上強制されてしまう問題について、各キャリアは1回あたりの通話時間を制限して価格を1000円下げたプランを相次いで投入した。しかし、キャリアによっては小容量のデータ定額プランを組み合わせられないようにしており、「料金の合計は決して安くなっていない」(同)場合もある。

 このような現状を踏まえて、石田氏は「利用量が少ない人は少ない料金を払い、利用量の多い人は応分の利用料を支払う、公平な料金体系が求められている」と提言した。

インセンティブ偏重の販売是正とキャリアによる販売店監督・指導

 端末やサービスの販売に関する相談も多く寄せられている。主な相談例は以下の通りだ。

 スマートフォンの機種変更に出向いた店で、スマートフォンのデータ通信量を抑えられるとWi-Fiルータの契約を勧められた。一緒に契約をすればタブレット端末をプレゼントすると言われ契約することにした。実際には Wi-Fiルータの繋がりが悪く全く使っておらず、タブレット端末も必要はなかった。解約を申し出たら、高額な違約金とタブレット端末代金も支払わなければならないと分かった。

 MNPだと端末0円というのでスマートフォン2台を契約した。ところが家でつながりが悪い。解約を伝えたら解約料と機種代が6万円位かかると言われた。不審だ。

 携帯ショップでオプションをつければ値引きするというので、10個位オプションを付け無料期間の2か月後に解約しようとしたが、方法がよく分からない。解約しにくくしており悪質だ。

 契約した携帯電話のキャッシュバックのポイントが手続きの期限が切れたために、電子マネーカードに入れることができなくなった。納得がいかない。

 1万円のキャッシュバックがあるというのでスマートフォンを契約した。その後、プラン変更したらキャッシュバックが受けられないという。そんなことは聞いてない。

 携帯電話を長期契約しているが、携帯電話会社の顧客獲得の方法はキャッシュバックや実質0円で短期契約者に有利となっていておかしい。長期利用者を優遇すべきではないか。

 昨日、スマートフォンの機種変更をしようと店に行ったら3年経っているのに中途解約金を請求された。機種の代金は支払い済みで、3年目なのにどうして中途解約金がかかるのか。おかしい。

 これらの相談内容に加え、タスクフォース構成員からの質問を通して、不必要なSDカードとのセット販売に関する相談が寄せられていることも明らかとなった。中には、相談者の“自業自得”を否定できないものもある。しかし、サービス解約のしにくさ、インセンティブ(販売奨励金)目的の無理な販売、割引・キャッシュバックの条件の複雑化、ユーザーに対する契約条件の説明不足は解決すべき課題であることもまた事実だ。

 石田氏は、インセンティブに過度に依存しない販売の仕組みの構築と、MNOによる販売店の指導・監督が重要であると指摘した。また、販売時の契約条件の周知では、契約時における書面の工夫である程度解決できるとの認識を示した。

格安SIM・スマホは「デメリット」の告知が必要

 MVNOについては、絶対的な件数はまだ少ないものの、相談は増加傾向にあるという。実際に、このような相談が寄せられたという。

 併売店でMVNOのモバイルWi-FiルーターとSIMカードをセットで契約すれば使い放題と勧められ、料金も他より安かったので契約した。帰宅してすぐに接続したが、速度が遅くてつながらない。MVNO に苦情を伝えたが2〜3週間たっても連絡がこない。

 通信制限のない格安SIMを契約したが、累積で20ギガになると、約1週間速度制限がかかるとわかった。そんなことは書いてなかった。

 格安シムとスマートフォンをセットで契約したが、スマートフォンが故障していた。再度送られてきた端末も故障していたため返送した。交換や修理に1か月もかかり、代替機もないのは納得いかない。

 携帯電話の併売店で格安スマホを勧められた。スマホは使ったことがないと断ったが、使い方は教えると言われたので契約した。実際にスマホを使ったが、電波状況が悪い上、全く使いこなすことができない。併売店に相談したが、契約時の担当者はいなくなっていて対応してもらえなかった。カスタマーセンターに電話しても全くつながらない。

 MNOでは、通信用設備やユーザーサポートのために多額の投資を行っている。これが料金の“割高さ”の一因となっている。それに対し、MVNOでは、MNOから通信用設備を借りて事業を行うため、MNOほど多額の投資が必要ない。そのことを生かして、多くのMVNOサービスでは、いわゆる「格安SIM」として、MNOよりも割安な料金で使えることを訴求している。格安SIMの普及にともない、MNOよりも安く購入できる「格安スマホ」の売れ行きも好調だ。

 MVNOの中には、大手キャリアの名前を前面に出してPR活動を行っている事業者もある。このことが、消費者に「キャリアと同一のサービスが(より安い料金で)利用できる」(石田氏)という期待を抱かせてしまっている。また、格安スマホのサポートはMNOのスマホと比べると窓口が少なく、代替機は通常は用意されていない。そのことも、想像以上に知られていないようだ。

 結局、MVNOに関する相談の多くは、“安さには理由がある”ことが周知されていないことが原因となっている。石田氏は、航空業界におけるLCC(低価格航空会社)のように、通常(MNO)のサービスとは異なることを前面に出すと同時に、通信速度やサポート面での格安SIM・スマホのデメリットもより分かりやすく周知する必要性を訴えた。

「ライフライン」と考えると“割高”な携帯電話料金

 世界の携帯電話料金を見渡すと、ARPU(1契約者あたりの平均月額料金)ベースでは日本は「高くもないし、安くもない」水準だ。しかし、データ容量別のパケット定額(データ通信)料金に目を向けると、日本は明らかに「高い」部類に入る。

 石田氏は、ライフラインとして携帯電話を見ると、単身の多重債務者でも光熱費(電気・ガス・水道料金)の通常合計額とほぼ同じ1万円を毎月携帯電話に費やしていることから、「携帯電話は『高い』のは一般的な感覚ではないか」と指摘し、公平な料金負担の実現を、重ねて訴えた。

外国とのARPU比較データ容量別の料金 日本の携帯電話料金の平均月額(ARPU)は、外国と比べると決して「高い」とは言いきれない(写真=左)。しかし、特にデータ通信容量が少ないユーザーの支払額は「高い」(写真=右)(タスクフォース1回会合の資料より)
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