スマホのデータ引越し方法指南「IIJmio meeting 10」リポートSIM通

» 2016年02月09日 06時00分 公開
[SIM通]
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 1月23日にインターネットイニシアティブ(IIJ)が実施したユーザーイベント「IIJmio meeting 10」。10回という大きな節目を迎えたこともあり、IIJ社員によるセッションやフリートークのほか、サムスンの18.4インチタブレット「Galaxy View」多くの端末や、「コミックマーケット89」で限定販売された「痛SIM」などの展示、さらにはラジオの公開録音も実施されるなどして、会場は大いに盛り上がりました。

IIJロゴ

 初心者向けセッション「みおふぉん教室」では、スマートフォンのデータの引越し方法について説明がなされました。

IIJ広報部・技術広報担当課長の堂前清隆氏

 新しいスマートフォンを買い替える際は、古いスマートフォンから新しいスマートフォンに電話帳や写真などのデータを移す必要がありますが、IIJ広報部・技術広報担当課長の堂前清隆氏によると、データの引っ越しは大きく分けて3つのパターンが存在するとのことです。

iPhoneから新しいiPhoneへの引っ越し

 1つはiPhoneからiPhoneへ引越す場合。この場合は、iPhoneの「バックアップ」と「復元」機能を用いることで、アプリもデータも全て一括で引っ越しができるとのこと。ですが堂前氏によると、バックアップ・復元をするには、iTunesを使いパソコンを経由する方法と、パソコンを使わずiCloudを使う方法の2つがあるそうです。

iCloudを使う場合

 中でも後者の場合は、無料でバックアップできるのが5GBまでであることに加え、MVNOのSIMは本体のセットアップ後しか通信できないため、新しいiPhoneのセットアップ中はWi-Fiの環境が必須なことに注意が必要だと堂前氏は説明しています。

「タップ&ゴー」とは?

 Android端末からAndorid端末の場合は、電話帳やGmailなどはクラウドに保存されているため、前の端末のGoogleアカウントで新端末にログインすれば移行可能とのこと。NFC対応スマートフォン同志であれば、双方のスマートフォンを背中合わせで重ねる「タップ&ゴー」を用い、Googleアカウントやアプリ情報をまとめて移行できるそうです。

※タップ&ゴーを使ってデータを受けるにはAndroid 5.0以降のOSでないと利用できません。データを送るだけならAndroid 5.0以前のOSでもNFCを搭載していればできます。

OSをまたいだ引っ越し

 一方で面倒さが伴うのは、異なるOSの端末へ移行する場合。AndroidからiPhoneへ移行する場合は、iPhoneにGmailなどグーグル製のアプリをインストールして対処できますが、iPhoneからAndroidへ移行する場合は、AndoridからiCloudが利用できないケースが多く手間がかかるようです。

電話帳の引っ越し

 最近ではアップルが、Androidからの移行がしやすいよう「Move to iOS」というアプリを提供していますが、これもMVNOのSIMではセットアップ中に通信ができない上、Wi-Fiが作業途中でオフになってしまうことから利用できないとのこと。そのため電話帳などはパソコン経由で移行する必要があると、堂前氏は話しています。

 この他にも、「Googleフォト」「おサイフケータイ」「LINE」など個々のアプリで移行時に注意すべきポイントについて説明がなされましたが、中でも注意が必要なのが、iOSやAndroidの一方だけでしか提供されていないアプリを利用している場合。該当するアプリが移行先の機種で見つからない場合は、代替を探す必要があるとのことです。またゲームアプリなどで購入したポイントやコインなどの仮想通貨も、他のOSには引き継げないことが多いため、機種変更前に使い切る必要があるそうです。

コンシューマサービス部 サービス企画部 リードエンジニア 松崎考視氏

 みおふぉん教室に続いては、MVNOのSIMを安心して利用する上で重要な、端末の動作確認に関するセッションが実施されました。端末にSIMを挿入したら通信できなかったというリスクを避ける上でも、MVNOが正常に動作するかを事前確認し、「動作確認済み端末」として情報を公開することが大きな意味を持ちます。

 それだけに、実際の現場でどのような方法で動作確認がなされているのかは気になるところ。前半は、IIJで実際に端末の動作検証をしているコンシューマサービス部 サービス企画部 リードエンジニアである松崎考視氏から、現場で実際にどのような検証をしているのか説明がなされました。

動作確認の手順

 松崎氏によるとIIJでの端末検証は、端末にSIMを挿入し、LTEに接続されるか、アンテナピクトが立ったか、音声通話ができるか、IPv6が使えるか……など、検証項目を1つずつチェックする形をとっているとのこと。その上で、挙動がおかしい端末の場合は検証チームに依頼して、より詳しい調査を実施しているそうです。

 IIJでの検証は、あくまでその端末で実際に動作したかどうかという結果だけであり、動作を完全に保証している訳ではないとのこと。ですが端末を実際に購入したり、メーカーから借りたりするなどして、可能な限り多くの機種を検証しているそうです。またOSのアップデート時にも問題が起きる可能性があることから検証を実施しており、特に人気の高いiOSに関しては、午前2時から会社に待機して全てのiOS端末をアップデートし、動作検証するなど素早い情報提供を心がけているとのことでした。

ネットワークサービス部 技術開発課 リードエンジニア 大内宗徳氏

 さらに後半では、検証チームで端末の検証を実施している、ネットワークサービス部 技術開発課 リードエンジニアの大内宗徳氏が、動作検証で問題が見つかった端末の、より詳しい調査方法について説明しました。

端末調査手法について

 こうした地道な解析によって、Android端末でAPNをサーチし続けて通信が不安定になる「APNサーチ問題」や、au系MVNOのSIMでiPhoneのデータ通信ができない問題の原因を突き止めるきっかけとなった、iPhoneでMVNOのSIMでを利用するとLTEにすぐ切り替わらない問題などの解決につなげていったようです。今後は基地局シミュレーターを導入することも視野に入れ、より高度な解析を実現したいと、大内氏は話しています。

端末の動作確認方法の実例

 さらに大内氏は“おまけ”として、Apple SIMの挙動について独自で解析した内容を披露。非契約状態と契約後、さらにはauの契約で動作する場合と、GigSkyの契約で動作する場合の挙動の違いなどについて、詳しい説明がなされました。

「石川温のスマホNo.1メディア」の公開録音も

 その後会場では、ラジオNIKKEI第1で放送されている「石川温のスマホNo.1メディア」の公開録音を実施。スマホ/ケータイジャーナリストの石川温氏と、IIJの堂前氏、そしてネットワーク本部 技術企画室の佐々木太志氏が登壇し、これまでのIIJmio meetingを振り返ると共に、今話題となっているHLR/HSSといった加入者管理機能の開放など、今後のMVNOとしての取り組みについてトークがなされました。

 さらにその後は、石川氏を含めた本日の登壇者全員が参加し、ツイッターや会場からの質問に答えるフリートークを実施。今回はツイッターから120を超える質問が寄せられとのことで、それら全てに登壇者が矢継ぎ早に答えていく姿が印象的でした。次回のIIJmio meetingは、4月の開催を予定しているとのことです。

(文:佐野正弘)

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